『歌川広重 ~東海道五十三次と冨士三十六景』 後期その1

★簡単な紹介

太田記念美術館

前期:2016年4月29日(金・祝日)~5月26日(木)
後期:6月1日(水)~6月26日(日)

HP→http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/utagawa-hiroshige


後期展も行ってきました。
JR原宿駅表参道口から行く時は、
GAPの前の信号を渡ると、直ぐ先の「銀だこ」の角を曲がり裏道を進むと人通りが少なく、好ましい。
途中には世界で唯一のハッセルブラッドの直営店があります。

表参道を進み、太田記念美術館の看板があるソフトバンクと千疋屋の角まで行くのは、人間があまりにも多過ぎお勧めしません。


1:
東海道五十三次

図版はWikiにあるので参考に
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E9%81%93%E4%BA%94%E5%8D%81%E4%B8%89%E6%AC%A1_(%E6%B5%AE%E4%B8%96%E7%B5%B5)

今回は後半、27番目の袋井宿から。
全体に、前半と違い穏やかです。
鈴鹿峠がありますが、標高357m。
箱根峠は、846m。
単純に標高を比べても鈴鹿峠は箱根の半分以下。
こりゃ、楽だワ。
小田原⇔箱根⇔三島みたいな絵が作られんハズだわい。


1-1:
四十五番  庄野

副題で「白雨」が付けられている一枚。
にわか雨、夕立の意で雨が白く見える雨。
白く見えるとは、かなりの強い雨です。

斜線しかない驚異の絵。
峠道、強風で傾く竹林、風と雨を避け体を傾ける人々、家々の三角形の茅葺き屋根、強風に流される雨脚、等々。
全てが斜線(@_@)。
白人には考え付くこともない構図。
斜線を中心にした構図の絵はいくらでもありますが、
実際に斜線だけを描いた絵は、まずありません。

保栄堂版の本物を見るのは今回が初めて。
最近の復刻版と比べると、雨が薄い、弱い。
と言っても「薄め」、「弱め」です。
名所江戸百景の「おおはしあたけの夕立」と比べると、雨の表現はかなり弱い。

なぜ?

この先に待ち受ける鈴鹿峠の標高の低さですな。
箱根峠の半分だから、「白雨」と言ってもこの程度なんです。

成程、広重、流石、よく考えてるワイ(^.^)。

1-2:
四十三番目  四日市

これは、右端の合羽を着た人がいいんだなぁ(^.^)。
風になびく合羽の描写がとても巧い、いい(^.^)。
画面右側の風に飛ばされた笠を追い掛ける旅人が注目されている様ですが、
イマイチ目立ちません。
代わりに右側さん(笑)は、笠と合羽を黄色(石黄(せきおう))で強調しています。

1-3:
四十八番目  坂下

画面左側筆捨山の表現が最高(^.^)。
箱根と同じ様な表現ですが、いつまでも見ていたい(笑)。
箱根と違い生物じみた不気味さがなく、箱根と違う場所だと示しています。
急峻さはないし、峠道も傾斜が緩い。

そして、
落款と題名を入れる位置の絶妙な事(^.^)。
絵と全く関係の無いこう言う物を描き加え絵のバランスを取るとは…(^.^)。
日本の芸術家の素晴らしさであります(^.^)。

1-4:
その他

悪い絵はありません。
前期に展示され私が文句を書いた「第十九番 府中」でも他の絵から比べると出来の悪さが目立つだけです。
「お気に入りの絵をどうぞ、堪能して下さい」
この手の出来のいい作品しかありません。
流石、広重、素晴らしい。


2:
まとめ

とにかくハズレが無いのが天保4年、1833年から出された保栄堂版東海道五十三次』。
今回ハッキリ分かりました。

遠景だけを描いた絵が無く、近景、中景、遠景を組み合わせています。
この点が『富士三十六景』と完全に違う点で、親近感や現実感が全く違います。
『富士三十六景』はどうもよそよそしいんです。

『名所江戸百景』では近像型で強烈な構図と構成の凄い作品が多いですが、
東海道五十三次』ではありません。
木を画面中央付近に置いて画面を壊しそうな絵が『東海道五十三次』でも多く、
この点は『名所江戸百景』と同じです。
主な絵は、
「十六番 由比」、「二十七番 袋井」、「二十八番 見附」(ここでは舟竿)、「二十九番 浜松」、「三十七番 藤川」(ここでは棒杭)、「五十番 水口」
です。
その他にも木を中央付近に置いている作品もありますが、近景に置かなかったり、垂直に描かず近景の他の部分に溶け込ませています。
画面を半分にして力を弱めるのでこの手の構図は禁じ手と美術の教科書には書いてありますが、
力を弱めない技を持ってるのが広重です。
時代を考えると北斎の『富嶽三十六景』(甲州 三嶌越)の方が先で広重が参考にしたとも考えられますが、どうなんでしょうか?

まぁ、とにかく、ハズレ無し。
見ていて楽しい作品ばかりです(^.^)。
世界最高の絵画の一つです(^.^)。





タグ 広重 太田記念美術館 東海道五十三次 保栄堂版 北斎




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美の巨人たち『葛飾北斎 「富嶽三十六景 山下白雨」』 と 日曜美術館『富嶽三十六景 北斎が見た富士を探せ』

○放送
美の巨人たち『葛飾北斎 「富嶽三十六景 山下白雨
2016年4月16日(土)
TV東京系
(放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/160416/)

日曜美術館『富嶽三十六景 北斎が見た富士を探せ』
2013年1月5日(月)
NHKEテレ


1:
どちらの番組も北斎富嶽三十六景の内、題名に地名が入ってない作品2点
山下白雨

凱風快晴

どこから見て描いたかを探りました。

PCと解析ソフトを使うと、
稜線の形
山頂の形
描かれている物の形と状態
から場所を特定出来るとか。

1-1:
まず、
凱風快晴
は、

朝日を浴びた富士山が見える→山梨県側
山頂がほぼ平らに見える
稜線の勾配が右の方が急に見える→北東側

以上3点を満たす場所が、

三つ峠(標高1785m)
ここからの富士山を更に標高を2倍にするとほぼ同じ形になる(@_@)。

1-2:
山下白雨
は、

山頂の剣ヶ峰が中央に見える→南西側、静岡県富士宮市白糸の滝
左側稜線下部に山塊がある→おそらく御坂山地だが、白糸の滝から御坂山地は見えない
→富士山の標高を2倍にし、更に上空2,500mから見る

そうすると、ほぼ同じ形になる(@_@)。

1-3:
先に放送された日曜美術館を観た時は、本当に驚きました。
20世紀になり、コンピューターが出現するまでは、おおよその場所は特定出来ても、
断定は出来なかったはずです。

北斎の「凱風快晴」と「山下白雨」だけでなく、
コンピューターや細密、精細に分析出来る機器が登場するまで、分析、特定出来ず理解が進まなかった絵画が多いはずです。
赤外線写真が発明、実用化されるまでは油彩の下に何が描かれているか全く不明でしたからね。

今後、作品を破損、劣化させることなく今迄以上に細密、精細に、正確に分析、解析出来る機器が実用化されると、
絵具の混ぜる割合、混ぜ具合、筆圧、筆致、重ね塗りの回数、方向、様々な癖、等も分かる様になり、
フェルメール、カラヴァッジョ、向井潤吉等の超絶技巧の秘密が明らかになるのも近いかもしれません。
更に贋作の鑑定も早く精確になるでしょう。


2:
二つの番組で調査、分析、特定、否、断定(笑)したのは、

「美の巨人たち」に出演したのは、
日本地図センター常務理事
田代博氏

「日曜美術館」の方は録画したBDを引っ張り出してきて再生すると、
筑波大学附属高等学校 東京都文京区
田代博先生

???

勤め先は違えど同じ名前だから調べてみると
同じ方でした(@_@)。
田代博氏のHPのプロフィール→http://yamao.lolipop.jp/profile.htm




タグ 凱風快晴 山下白雨 北斎 富嶽三十六景




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『博物館に初もうで』 2016年

★簡単な紹介

○場所
東京国立博物館

○期間
2016年1月2日(土)~1月31日(日)

HP→http://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=dtl&cid=5&id=8124


1:
今年も行ってきました。
昼前に到着すると、入場券購入行列が去年より少々長かった。
それでも、券売機に到着するのは去年とそれ程変わらず。


2:
でも、天候が良かったせいか、入場者数は去年より多かったみたい。
本館のミュージアムショップは、何と、支払い待ち行列が出来ていた(@_@;)。


3:
本館の階段の踊り場には大きな活け花があり、見物人と写真撮影で少々渋滞。
展示室へ行くと、そのまま混んでました。

見たかった長谷川等伯の『松林図屏風』、ここも人出が絶える事が今回は無し。
ヤレヤレ(溜息)。
特に右隻はその右横に解説があるので、読んでからそのまま見るの人の滞りがあり、大変な盛況(笑)。
オマケにこの国宝も撮影可なので、写真を撮る人が多く、絵に近付くのを遠慮しました。

それでも、長谷川等伯の腕前と絵心は並外れていて、これだけの群衆に囲まれていても、
空間感覚、奥行き感、静謐な雰囲気は人々の頭の間から漏れこちらにまで漂ってきます(笑)。
そして、世俗を離れた人類の至宝とガラス一枚で隔てられた我等煩悩に満ちた人々との差が面白かった。
長谷川等伯自身、自分の描いた屏風が450年後にこれ程人が押し寄せると想像したことがあったでしょうか?

人混みが少々薄れると近付いて細かい所を観察。
やはり、筆致が見事。
『開運!なんでも鑑定団』でよく耳にする「筆に迷いが無い」です。
特に幹の筆使い。
一気に力強く描いてます。
素人には真似の出来ない技です。
葉の描写の力強さ。
近景は墨で描いているのですが、どんな筆を使っているのか、イマイチ分からん描写です。
普通の筆ではないかもしれません。
硬め毛の筆の様な、紙を使ってる様な、そんな感じです。
中景の薄墨で描いてる葉も強さを失っていません。

去年気になった幹の真っ直ぐ具合、改めて便利なネットで調べると、等伯が描いた様な真っ直ぐな幹もありますな(^_^;)。


4:
北斎の有名な、
凱風快晴
山下白雨
神奈川沖浪裏
木曽路ノ奥阿弥陀ヶ滝(諸国滝巡りから)
も展示されていたのですが、こちらも人波が途絶えず、更に屏風と違い小さいので遠くから見るのは不可能なので、
今回は諦めました。


5:
今回は『松林図屏風』だけを見て東京国立博物館を後にしました。

帰りに国立西洋美術館に寄り、迷いましたが結局館内には入りませんでした。
代わりに、出入口のそばにある有名なブールデルの『弓をひくヘラクレス』でちょっと面白い事がありました。
丁度午後1:00過ぎでしたが、ヘラクレスの狙いの先に太陽があり、
まるでヘラクレスが本当に怪鳥ステュムファリデスを射ようとしてるみたいでした。
屋外の彫刻には時間が重要で、こんな見方があるとは…(@_@;)。



タグ 長谷川等伯 松林図屏風 北斎 凱風快晴 山下白雨 神奈川沖浪裏 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ滝 ブールデル 弓をひくヘラクレス






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『平成27年度特別展 没後100年 五姓田義松 -最後の天才ー』

★簡単な紹介

2015年9月19日(土)~11月8日(日)
神奈川県立歴史博物館

HP→http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/toku/yoshimatsu/index.html


NHKの「日曜美術館」で紹介され(HP→http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2015/1011/index.html)
興味をそそられ見に行ってきました。


1:
日本での油彩の先駆者と言うんですが、800点の展示作品の大部分はスケッチ。
油彩より水彩の方が多いんじゃない?

驚いたのが、殆どが風俗画に分類される物。
市井の人々を描き続けた、と言う事です。
北斎広重歌麿写楽等の誇張した物と違い、西欧の写実で描き、この点がとても新鮮。
更に当時の風俗が分かり、これまたとても貴重。

また、風景画は小林清親の浮世絵と同じく、日本なのに(笑)、空がとても広い。
東京とその近郊は150年前までそれ位建物が少なく、どこでも空を眺める楽しみがあったのです。


2:
で、作品自体はどうかと言うと、
これが、どうもなぁ…
心に響くものが無い(溜息)。

写実力、鉛筆の表現力、水彩の技術、当然ながら我等素人の好事家とは違うレベル。
また、病んだ御母堂を描くとは、とても強い心を持っていたのは間違いありません。
現在と医療のレベルが段違いに低い時代ですから、逆に、諦めが早かったと捉えられないこともありませんが、
自分を育ててくれた母親の衰えていく姿を見つめる心の強さ、驚きです。

それでも今回の目玉、
『老母図』
でさえ雰囲気が無い、
少なくとも私CYPRESSを震わせるものが漂ってません。


3:
悪くはない作品ばかりだし、幕末から明治初期の風俗、風景が良く伝わり貴重ですが、
残念ながら好みではありませんでした(涙)。




タグ 五姓田義松 神奈川県立歴史博物館 小林清親 北斎 広重 歌麿 写楽




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『浮世絵師 歌川国芳展』 後期展

★簡単な紹介

2015年8月1日(土)~8月30日(日)

前期→8月1日(土)~8月16日(日)
後期→8月17日(月)~8月30日(日)

そごう美術館

HP→https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/15/kuniyoshi/index.html


展覧会は終わっちゃいましたが、好きな絵師の展覧会なので記事にしました。



平成狸合戦ぽんぽこ』がまたTV放送されると言うんで、後期展も見てきました。
尤も、このアニメが放送されなくても行く気でしたがね。

歌川国芳はかなり『平成狸合戦ぽんぽこ』に影響を与えてる気がします。


1:
2回見ても、やはり大らかで仄かなユーモア、笑いが漂い、どれを見ても宜しいなぁ(笑)。
三国志や合戦物の武者を見た当時の西洋人の驚きを想像するのも難しくないし、奴らの驚きの表情を想像するのも楽しい(^.^)。

『開運!なんでも鑑定団』(TV東京系、2015年8月18日(火))で放送された
『龍宮玉取姫乃図』(作品番号:174)も前後期通じて展示されました。
放送された物よりかなり保存状態も良く、汚れも少ない。
(鑑定団放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20150818/05.html)


2:
広重北斎と違い、構図や画面構成に凝るのではないので、あれこれ考えず見て楽しめばいい絵ばかり。

そんな中でも目立ったのは、

2-1:
作品番号:137
『暑中の夕立』
後期展示作品

夕立の中に立つ美女三人の図。
着物の裾と袖のたくし上げ具合からかなり強い雨だと分かります。

雨の描写が秀逸、素晴らしい。
広重の『おおはしあたけの夕立』の細く鋭い雨脚とは違うなぁ、と思ってよく見ると、
太い雨脚で豪雨を表している、
と思ったら違う(@_@)。

圓山應擧の『龍門鯉魚図』(大乗寺蔵、兵庫県美方郡香美町)の瀧の表現と同じと言っていいでしょう。

10本程の細い縦線を描き、その左右を白く飛ばして雨脚を表現し、背景をその雨脚の分だけ飛ばしています。
画面上幅広の雨脚で豪雨を表し、更に背景を部分的に飛ばし見通しの悪さで豪雨を強調しています。

その背景は水溜りやそこに広がる雨が作る波紋です。

これ程見事に雨脚を描いた絵画を見たこと、記憶にありません。
雨を描いた他の絵画と言えば、

川合玉堂の『彩雨』(昭和15年、国立近代美術館蔵)は霧雨にけぶる紅葉と水車小屋を描き、
そこに表現される秋雨の雰囲気は80年近く経った東京都心でも変わらぬ正に「日本の秋」です。
大変素晴らしい作品ですが、雨自体は描いていません。

広重の『おおはしあたけの夕立』は遠景で橋とそこを渡る人々を描いているので、
写実表現としては少々物足りません。

美人画として分類されていますが、それだけではない素晴らしい絵です。


2-2:
作品番号:30
『坂田怪童丸』
全期間展示

これも水の絵です(笑)。
金太郎が瀧の中で巨大な鯉を捕まえている絵です。
「坂田の金時が自分よりデカい鯉を捕まえてるな」と前回は通り過ぎた(^_^;)。

今回、よく見ると、よく出来ている(^_^;)。
鯉が坂田怪童丸に負けじともがいているのを白い水玉で表し、簡単な表現ですが、
意外と効果的。
色を載せないで紙の白を活かすために、版木に水玉型にくり抜いてます。

更に、鯉の体半分に薄く水色を掛け、まだ瀧の中にいるのを表し、これでも鯉の力強さを表しています。

絵師の国芳だけでなく彫師、摺り師も大したもんです(^.^)。


2-3:
作品番号:47
『宮本武蔵と巨鯨』
後期展示作品

国芳の代表作の一つ。
もう一つの代表作である『相馬の古内裏』(作品番号:45)の代わりに展示。
う~ん、この絵、主役がどう見ても宮本武蔵じゃなくて鯨(笑)。
オマケに鯨の体の白い水玉斑点が意外にキレイ。
巨大で大らかで、宮本武蔵なんか全く気にしていません(笑)。


3:
最後に繰り返しになりますが、いい意味で軽さがあり気楽に見て楽しめる浮世絵ばかりでした。



タグ 国芳 広重 北斎 平成狸合戦ぽんぽこ



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『春信一番!写楽二番!』特別展 錦絵誕生250年 フィラデルフィア美術館浮世絵名品展

★簡単な紹介
2015年6月20日(土)~8月16日(日)

前期:6月20日(土)~7月20日(月)祝日
後期:7月22日(水)~8月16日(日)

殆どの作品が前後期で展示替えされます。

三井記念美術館

HP→http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html


人生初の3週連続絵画展鑑賞(^.^)。
今回も地下鉄日本橋駅を降り、お江戸日本橋をノンビリ渡り、豪華お金持ち仕様の三井記念美術館へ。


1:
行ってきました。
観ました。

大まかな構成は、

墨摺り

紅摺り絵

錦絵

錦絵の発展、興隆

歴史展の趣が強い。
初期の墨摺りはかなり地味です。
紅摺り絵もまだまだ、って感じです。
北斎広重写楽歌麿、の様なぶっ飛んだ絵師が出るのはまだまだ先の事。


2:
今回、写楽の大首絵を楽しみに行ったんですが、
前期(:6月20日(土)~7月20日(月)祝日)の展示品の保存状態が非常に悪い(涙)。
上記のHPにも図版があり傷み具合が分かりますが、実際にはもっと酷く傷んでます。
最近できた美術館ならとももかく、1876年創立ですよ、1876年。
(因みにこのフィラデルフィア美術館、ダリのあの奇作『茹でたインゲンマメのある柔らかい構図(内乱の予感)』
を所蔵してる所
参考、同美術館HPから→http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51315.html?mulR=696806922|6)

こんな保存状態の悪い摺りしか存在してないんでしょうか?
これじゃ後期は行く気にはならん。

でも、他の作品は全て保存状態が良かったのご安心を。
墨摺り、紅摺り絵は中々浮世絵展でも見る機会が無いので、お勧めです。


3:
その他には、広重北斎のぶっ飛んだ作品も無く、ガッカリ。
痛みの激しい写楽のおかげゆっくり見直す気も失せました。

しかし、
この錦絵展の展示室(展示室4~7)の前に展示室1と2に当美術館所蔵の素晴らしい工芸品が展示されました。
出品目録は上記HPにPDFファイルがあるので、そちらを参照して下さい。

その中でも、展示室2に一つだけ(実際には4種類の果物と1種類の野菜)展示された、あの
安藤緑山
『染象牙果菜置物』
(展示番号:K12)
が断トツ、抜群に良かった。
浮世絵を含めこの牙彫が一番良かった。
この牙彫を一番長く見てました(笑)。

作られた野菜は、
ナスが3個
果物は、
ミカン
仏手柑
柿が枝付きで2個
イチジクが2個

中でも柿の細い枝の表現が凄かった。
これも、どう見ても柿の枝で象牙から作られたとは思えない、質感、色、艶。

この柿が2個ついた枝、ほ、欲しい(笑)。

更にスタッフの方に伺うと、何と、展示されてない安藤緑山がまだある(@_@)。
恐るべし、三井家!


3:
とまぁ、こんな感じで私の心を揺さぶる浮世絵はありませんでしたが、
浮世絵の歴史を見るには中々良い展覧会です。

それにしても安藤緑山はやはり文句無く素晴らしいし、
それを所蔵している三井家の財力と美術品を見る極める目の確かさ、
大いに感服しました(溜息)。



タグ 広重 北斎 写楽 歌麿 安藤緑山



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『美の巨人たち フィンセント・ファン・ゴッホ 「星月夜」』

★放送
2105年6月6日(土)
TV東京系

放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/150606/index.html

図版Wikiから→http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/cd/VanGogh-starry_night.jpg


1:
さて、この絵、20年位前に上野で見ました。
調べてみると、
MoMa展第一回
上野の森美術館
1993年
の事でした。

この時、アンリ・ルソーの代表作『眠れるジプシー女』も来てましたなぁ(遠い目)。
有名な絵で黒山の人だかりでしたが、画集で見た通り、静謐さと不思議さに満ちた中々の絵でした。
そして、『星月夜』の前も黒山の人だかり。
それでも暫くすると人だかりが薄れ、近付き隅から隅まで見て調べると、
「?」。
「あれ?」
よく見るとあちこちにキャンバスの地が見え、塗り残しが(@_@)。
下塗りも無く、純粋なキャンバスの繊維の目がハッキリ見える(@_@)。
な、何だ、これ?
1980年頃からゴッホの絵が来ると欠かさず見に行ってましたが、塗り残しがある作品は見たことなし。
色の塊で配置を考えたりしないで、一気に描きあげたのは明らかでした。

何だか手抜きみたいで、急速にこの絵に対する熱が冷めて行ったのを今でもハッキリ覚えています。

さて、今回の放送でもアップの連続で塗り残しが記憶通り、ある、ある、ある(笑)。
ゴッホの他の絵と違う『星月夜』、どんな風に放送されるか興味深く観ました。


2:
筑波大学の芸術系、齊藤泰嘉教授は星空の描写は北斎の『神奈川沖浪裏』から来ているのではないかと指摘しています。
(『神奈川沖浪裏
参考Wiki→http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0a/The_Great_Wave_off_Kanagawa.jpg)

2-1:
この『神奈川沖浪裏』の画面構成は「規矩の法」だけでなく、「三遠法」が使われているとも齊藤泰嘉先生は指摘。
三遠法」文字通り下記の3種類の遠近法から成っています

深遠→手前の高い位置(山や波)から下を覗きこむ視点
高遠→下から上を見上げる視点
平遠→広く平らな場所を見る

更に画面中央(手前の波と奥の富士山)は西洋式の線遠近法が使われ、
三角形の相似形に組み合わせになり画面に奥行を与えていると齊藤先生は指摘しています。

そして、ゴッホの『星月夜』も同じ構成になっていると齊藤先生は指摘しています。

平遠法→画面中央から右側寄り
神奈川沖浪裏→波の底と船
星月夜→村の風景

深遠法→画面左側
    神奈川沖浪裏→船の舳先
    星月夜→糸杉の奥の大地

高遠法→画面左側
    神奈川沖浪裏→大波
    星月夜→糸杉と一面の夜空

線遠近法→画面中央付近
     神奈川沖浪裏→手前の小波と奥の富士山
     星月夜→小さい方の糸杉と奥の教会の尖塔

2-2:
瞬く星の数は「11」個。
この「11」と言う数は、
旧約聖書創世記、第三七章九節から来てるらしい。

>ヨセフ叉一の夢をみて之をその兄弟に述べていひけるは我また夢をみたるに
日と月と十一の星われを拝せりと

太陽と月はヨセフの両親、11の星は兄弟たちを表し、
兄弟たちから虐げられていたヨセフが将来彼らを救うという予知夢なんだとか。

つまり、ゴッホは創世記のこの部分を描こうとしてのではないか、
宗教画なのではないか、
とこの番組は解釈してます。

説得力がありますね。

2-3:
造形家の青木世一氏が『星月夜』の立体模型を作り、
『神奈川沖浪裏』の波を加えると、
見事に夜空と波が一致します(@_@)。
違和感皆無(@_@)。

2-4:
もう一つこの番組では解釈していて、それが次の事。
糸杉は西洋では墓地に植えられる事が多く死を象徴している、
(私も自己紹介の記事でこの件を書いています→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-category-12.html)
そして死に引かれていく自分をこの絵でゴッホは繋ぎとめようとしていたのではないか、
月と11の星に願いを込めて。

ゴッホがこの『星月夜』を描いたのは、自分の精神状態に不安になりサン・ポール・ド・モーゾール修道院に入院していた時ですから、
この意見も説得力があります。


3:
改めて、ガッカリする事無く(笑)、落ち着いて見ると、

3-1:
また齊藤先生の解釈と青木氏の実証のおかげで『星月夜』の魅力や実力が分かってきました。
また、齊藤先生のおかげでゴッホの描写力と構成力にも感心しました。
ゴッホが『星月夜』を描いた時、北斎の『神奈川沖浪裏』を参考にしたか、手元に在ったか、分かりませんが、
塗り残しの多さから急いで一気に描きあげたのは間違いありません。
だとすると、参考にしたとしても手元に置いて見比べながら描かなかったと考える方が妥当でしょう。
大波、小波の形だけでなく、三遠法の構図も含め全てを覚えていて、まるで下描きがあるの様に描いたと考えても間違ってないでしょう。
ゴッホの描写力を考えると、実は簡単な事だったのではないでしょか?

3-2:
また今回気付いたのは、この『星月夜』、少々バランスが崩れています。
夜空が強過ぎ、地面が空を支え切れていません。
自分の精神状態の不安を表す意図的なことなのか、
それとも絵のバランスと取ろうにも取れない精神状態だったのか、
今となっては謎です。

ゴッホも模写した広重の『大はしあたけの夕立』の不安定の影響もあるかもしれません。
(参考→http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312294)

3-3:
この放送のおかげで興味が湧いてきて、また見たくなりました。
でも、マンハッタンは熱海より遠い(笑)。
オマケにこの美術館、入場料がエラく高い。
何と、$25だぜ、\2,500以上(@_@)。
(参考→http://www.moma.org/visit/infoplans/japanese_plan#generalinfo_ja)



4:
今回番組のプレゼントが『星月夜』の収蔵元ニューヨーク近代美術館で売ってる『星月夜』柄の折り畳み傘。
この傘、日本でも売ってます。
東京は表参道のMoMA DESIGN STORE。
NY近代美術館の初の海外出店だとか。
通販もあり。
興味がある方はどうぞ。
HP→https://www.momastore.jp/momastore/products/detail/product_id/1443/



タグ ゴッホ 星月夜 北斎 神奈川沖浪裏 広重 大はしあたけの夕立 三遠法 規矩の法



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テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

『ボストン美術館浮世絵名品展 北斎』

★簡単な紹介
東京展
2014年9月13日(土)~11月9日(日)
上野の森美術館
HP→http://ukiyoe.exhn.jp/


1:
日曜日の12時過ぎに着いたら、少々の入場制限をしていて、中はこちらも盛況、盛況。


2:
やはり初期(1700年代)の作品は、大したことないなぁ(溜息)。
才気煥発にはまだ、まだ時間が掛るゾ、って絵しかありません。
誰の絵だか分からんです。
使ってる顔料も若い頃は、朱が多い。


3:
また、6番目のコーナー「華麗な花鳥版画」も、弱い。
残念ながら偉大な絵師の筆使いには敵っていません。
逆に考えると実力者北斎ですから、時間と研究する気があったら應擧や琳派の絵師に匹敵する植物の浮世絵を作れたのではないでしょうか?


4:
やはり5番目「為一時代の風景版画」、7番目「為一期のその他の作品」、8番目「最晩年の作品」の各作品は文句なく素晴らしい。
肖像、人物画の人でなかったのも、明らか。

展示番号48 「富嶽三十六景 甲州三嶌越(みしまごえ)」
(参考 アダチ版画のオンラインストア 現在の再版→https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hokusai061/)
画面中央右寄りに大木を置いた、スゲー構図の絵。
構図の教科書には上下にしろ、左右にしろ、画面を半分に切る構図は力が分散、半減するから、避けよ、好ましくないと書いてあるんですが、
この絵もそういう戯言を笑い飛ばす強力な絵。

力が分散、半減するなら補ってやればいい、と教えてくれる絵です。
大木の枝と雲でバランスを取っています。
右の枝は「右にある富士山を見て下さい」。
左の枝は「右側の富士山だけじゃなく、左側からも見てみな。ほら峠の稜線からも麓側から富士山に行くだろう?」
って感じなんです。

展示番号34 「富嶽三十六景 凱風快晴」
(参考 アダチ版画のオンラインストア 現在の再版→https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hokusai048/)
当時物の摺りのいい物を見ると、色でバランスと取ってるのが一目で分かります。
また鱗雲が作るのんびりとしたリズムも心地いい(^.^)。

展示番号33 「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
(参考 アダチ版画のオンラインストア 現在の再版→https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hokusai040/)
現在の再版と違い、空に墨が多く、かなり雰囲気が違います。
「疾風怒濤」そのものです。
規矩(=きく、規=コンパス、矩=定規)の法で作られた代表作と、それも当時物と向かい合うと、やはり感慨があります。


5:
まぁ、とても素晴らしい作品ばかりだし、初期の作品も後期物に劣るとは言え、若い頃の足跡を当時物で辿れる楽しみ、稀な機会、贅沢(^.^)。
あーだら、こーだら、書く気になりませぬ(笑)。
それに、お客さんが多く、ゆっくり納得出来る程見られなかったのも、事実。
逆に考えれば、それ位北斎好きが多い事で、喜ぶべき事(^.^)。

また、日曜日に行ったのでお子さん連れの方も多く、これも喜ぶべき事(^.^)。
興味を失い騒ぐ子共は一人もいませんでした(^.^)。

当時物と言う事で、北斎本人だけでなく、彫師、摺り師、版元、そして買う人、
当時の人々がどう感じ、どう作ったとか、想像しやすく、また、考えるのが楽しい(^.^)。

北斎、いいよなぁ、大好き(^.^)。



タグ 北斎 富嶽三十六景 上野の森美術館 ボストン美術館



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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
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『ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展』 印象派を魅了した日本の美

2014年6月28日(土)~9月15日(月)
世田谷美術館

HP→http://www.boston-japonisme.jp/top/

閉会間際になってようやく行ってきました(^_^;)。

田園都市線の用賀駅から臨時直通バスで往復しましたが、道路が狭い(@_@)。
どう考えても路線バスが通る道路じゃない(@_@)。
流石、人口東京23区で最大区(@_@)。

砧公園内に在り、公園に入ると美術館までは大きな木の並木を歩き中々気持ち宜しい。
天気も良く、湿度は低く、日差しの強さが心地良かったぁ(^.^)。

この美術館もトイレがキレイ。
壁は大理石。


1:
さて、展示物の方は…
ジャポニズム展と銘打ちながらも、日本芸術の素晴らしさを強調する展覧会となってしまいました。

日本物とそれに触発された西洋物。
何か、西洋物にイマイチ弱い物が多かった。

殆どの西洋物が返り討ちに遭ってました(T_T)。

好みの違いによるもので、私は日本物が好きなのが、ハッキリした展覧会です。

作品について書きましょう。


2:
やはり、広重北斎が別格の素晴らしさ。
これに敵う西洋物が一点も在りませんでした。
まぁ、これは私の意見ですから、感想、印象が違う方もいらっしゃるでしょう。
私は広重北斎が好きなんで、贔屓目を否定するつもりはありません(笑)。

さて、今回の展示品では、

北斎
展示番号001 富嶽三十六景 武州千住

広重
展示番号002 東海道五拾三次之内 三島 朝霧
展示番号003 名所江戸百景 大はしあたけの夕立
展示番号004 名所江戸百景 亀戸梅屋鋪
展示番号005 名所江戸百景 真崎辺より水神の森内川関屋の里を見る図
展示番号006 名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣
展示番号018 名所江戸百景 水道橋駿河台
展示番号074 名所江戸百景 深川洲崎十万坪
展示番号109 東海道五拾三次之内 岡崎 矢矧之橋
展示番号117 東海道五拾三次之内 沼津 黄昏図
展示番号128 名所江戸百景 する賀てふ
展示番号131 名所江戸百景 鉄砲洲稲荷橋湊神社
展示番号137 名所江戸百景 神田明神曙之景
展示番号139 名所江戸百景 愛宕下籔小路
展示番号143 東海道五拾三次之内 四日市 三重川
展示番号145 東海道五拾三次之内 鞠子 名物茶屋


これらは、
構図、色使い、誇張、省略、素晴らしい。
余白とべろ藍の使い方が絶妙。
絵が持つ力が強力。
視線釘付け、目を離せません。

富嶽三十六景、名所江戸百景、東海道五拾三次、これらをまとめて置くと、
一番目立ち視線を引き付けるのは、藍色、べろ藍(=プルッシャンブルー)です。
TV等でご覧になった方も少なくないでしょう。
べろ藍が視線を引き付けるのですが、
それだけに頼っている絵は一枚も在りません。
逆にべろ藍の強過ぎる力を殺し、非常に巧みに利用しています。

こんな巧みな、しかも単純な色に使い方している西洋物の絵、今回に展示物に皆無。
絵を描く方なら御存じと思いますが、べろ藍(プルッシャンブルー)はエラく目立ち色のバランスを崩し使いにくい。
オマケに他の色と混ぜると濁り、これまた使いにくい。
だもんで洋画ではあまり使われない色です。

こんな難しい色を使う感性と技術と決断。
正に大胆不敵。


3:
今回の広重、全て素晴らしく、全て欲しいんですが(笑)、
印象が一番強かったのと言うか、この絵に触発されたと解説された絵がしょぼくエラく目立った広重が、

展示番号137 名所江戸百景 神田明神曙之景

正に画家の心の、ある意味、強さが現れた絵です。
大胆不敵な構図で、全く迷いが在りません。

木の幹を中央に描き、絵を縦に半分してます(@_@)。
木の幹が主役になってます(@_@)。
絵画の教科書には、画面の中央にこういう細い物を持って来ると画面が半分になり力が弱くなり望ましくない、と書いてあります。
そんな事を笑い飛ばす大胆不敵構図(@_@)。

それに引き替えこの絵から触発された言われる作品は(T_T)、

展示番号136 マルタ・クンツ 仕事の後の休息
展示番号138 ジョン・ラファージ ヒルサイド・スタディ(二本の木)
展示番号141 フィリップ・レスリー・ヘイル 風景
展示番号142 エドヴァルド・ムンク 夏の夜の夢(声)

比べ物にならん魅力の弱さ(溜息)。
絵が弱い(溜息)。
しょぼい(溜息)。
絵の主題、主役を一本の木にしてないからです。


4:
今回西洋陣で一番強く広重北斎に負けていなかったのが、納得のゴッホ

展示番号045 フィンセント・ファン・ゴッホ 子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人

メトロポリタン美術館の「糸杉」は細かめのタッチで糸杉を描き込みお喋りな絵で力強かったのですが、
この絵はお喋りではありませんが中々の力強さ(^.^)。

色使いも浮世絵に倣ったのか、習ったのか、4色(緑系、赤系、白系、黄色系)でまとめています。

有名な絵で40年前から知ってますが、今回気付いたのが背景に入っている橙色の点々。
これが意外にも明るく鮮やかな橙色でした。
今迄見た画集では気付きませんでした。


5:
さて、今回の目玉のモネの「ラ・ジャポネーズ」。
題名から考えると何やら日本と関係ありそうですが、否。
奥方カミーユの肖像画。
顔に光りを当て強調していることから分かります。

ゴッホの上記「子守唄」は色でまとめた「感性優先型」とも言える絵ですが、
この絵はかなり考えて描いています。

カミーユは三角形の構図。

着物の三角形の構図。
着物を捩じり、画面下部に動きを与えてます。
安定した画面下部の動きに少々別の動きを与える団扇が2個。
これで画面下部に少し変わったリズム感が生まれます。

壁と床の明暗によるバランス。
着物の赤と補色になり、着物を強調する壁のくすんだ青緑。
カミーユの顔に右上から光を当て、それに直交する(90度で交わる左上→右下の線)団扇の数々が作る線。
また右上からの光線と重なり、繋がる団扇もあり、この右上からの線にも力を与えてます。
色と線で安定させています。
団扇の向きを変え、リズム感を発生。

こんな具合で、写実的描写の色使いですから、浮世絵と違い色数も多くなってしまい、
浮世絵と違い空白、余白が在りません。
「余白を活かす」で色を強調出来ません。
勿論悪い事ではなく、油絵、それも伝統的な手法で描けばこうならざるを得ません。
むしろ、大変良く出来た油絵です。

でもねぇ、好みの絵じゃない(笑)。


6:
そして、展示最後に在るモネの4枚。

展示番号144 トルー・ヴィルの海岸
展示番号146 積みわら(日没)
展示番号147 睡蓮の池
展示番号148 睡蓮

並んで展示されているのが広重。

展示番号143 東海道五拾三次之内 四日市 三重川
展示番号145 東海道五拾三次之内 鞠子 名物茶屋

広重と比べると色を使い過ぎのモネ
二人共技巧の限りを尽くしてるんですが、私にはモネはくどい。
完全に好みの差になりますね。

想像力を遊ばせる空間である余白。
これが在るのが浮世絵です。


7:
まぁ、最初にも書いた通り、自分の好みがよく分かった展覧会でした。




タグ モネ ゴッホ 広重 北斎 世田谷美術館



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最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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