『川端龍子 特別展 没後50周年記念 -超ド級の日本画ー』

★簡単な紹介

2017年6月24日(土)~8月20日(日)
前期:6月24日(土)~7月23日(日)
後期:7月25日(火)~8月20日(日)

山種美術館

HP→http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/kawabata.html


久し振りの山種美術館
調べたら前回来たのは、2014年9月~11月の『特別展 輝ける金と銀 -琳派から加山又造まで-』(@_@)。
3年近くも来てなかった(@_@)。
だから恵比寿駅からの途中にあった紅茶屋さんが無くなってるはずダワ(^_^;)。


1:
作品番号:24
「草の実」
大田区立龍子記念館蔵、1931年

『特別展 輝ける金と銀 -琳派から加山又造まで-』にも来たヤツ。
見るのは2回目なので、落ち着いて見ると…
背景のススキの筆運びの速さの見事な事、見事な事。
あんな風には我等素人の横好きには描けん、描けん(溜息)。

タケニグサ以外は透明に描かれています。
はて?
透き通って何か、植物の幽霊みたい。
幽霊?
実体があるか無いか分からん存在。
へぇ~。
自然と添い寝し愛でる我等日本民族とっても、有用でない植物は「雑草」であり、
生えていても生えていないのも同じ。
オミナエシ、アレチノギク、モミジガサなんかは(→間違っていたら御寛仁を)、透明に描かれる訳かぁ。
でも、綿毛を付けた種、種は透けていません。
なぜ?
春になると雑草になる元だから、取り除くのが面倒な雑草の元だから。
それとも、生命の象徴と捉えているのでしょうか?
やはり、取り除くのが面倒な雑草の元だろうなぁ。

タケニグサの描写も見事だよなぁ。
立体感はあるし、植物の生きている感じ、生命感がある。


2:
作品番号:25
「黒潮」
山種美術館蔵、1932年

作品番号:47
「鯉」
山種美術館蔵、1930年

どちらも魚が描かれています。
「黒潮」にはトビウオ。
どちらもよく肉が付いています。
力強さを連想出来る描写です。
魚屋さんが河岸で仕入れそうな魚です。
そう、美味しそうな脂が乗ってそうな魚です。
ほんの少しの描き方の差なんですが、こんな描き方も我等素人の横好きには描けません。

見事です。


3:
作品番号:34
「爆弾散華」
大田区立龍子記念館蔵、1945年

1945年8月13日、終戦の二日前、川端龍子の自宅に米軍の爆弾が落ち、それをキッカケに描いた一枚。
描かれているのはナス、カボチャ、トウモロコシ、トマトの一部。
そして無作為に千切った金箔を貼ってます。
描かれている野菜は夏野菜。
今が盛りに野菜。
象徴している物は、明らかに若者。
戦禍で命を落とした若者。
千切られた金箔は日本の宝。
戦禍で失われた日本の宝。

単純な構成、単純な絵。
痛々しいけど、ニュースにもならん。
犠牲者は単なる数字。
失われた家も物も単に数字。
だから、こういう単純な絵になる訳です。

被災した川端龍子の家に写真がありましたが、
焼けていなかったのでB29の焼夷弾ではありませんな。
と言う事は、海軍の空母から飛来した戦闘機、F4UコルセアかF6Fヘルキャットが爆弾を落としたに違いないでしょう。


4:
作品番号:36
「金閣炎上
東京国立近代美術館蔵、1950年

これは、ダメだ(溜息)。
市川崑演出、市川雷蔵主演、宮川一夫撮影の『炎上』(1958年)に完敗。
宮川一夫の白黒でシネスコで撮った炎には全く敵わん。
(私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1136.html)
(Wiki→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%8E%E4%B8%8A_(%E6%98%A0%E7%94%BB))


5:
印象に残ったのは以上の作品ですが、
どうも川端龍子とは同じものが無く、心に響く作品がありません。

そうなると、逆に他の作品を見たくなるんですが、
展示点数が70点程と少ない。
川合玉堂の様に好みの絵師だと展示数が少ないと「纏まりがあって良い」ですが、
川端龍子の様に好みに合わないと「物足りない」になります。





タグ 川端龍子 川合玉堂 山種美術館 炎上 市川崑 市川雷蔵 宮川一夫






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『特別展 輝ける金と銀 -琳派から加山又造までー』 その2

続きです。


1:
「秋草鶉図」
展示番号:17
酒井抱一
酒井抱一が好きなんで、この絵もいいなぁ(笑)。
手堅く巧く描いてます。

「秋草図」
展示番号:29
酒井抱一です、これも。
だからいい(^.^)。

「湖畔の夕」
展示番号:16
横山大観
上下のバランス、墨のぼかし具合、我等素人の手に敵うはずなし(笑)。


2:
「カッコいい」系の絵。
ビックリしたり視線釘付け系の絵もいいですが、
もう少し軽い印象のカッコいい系の絵も存在します。
今回の展覧会だと、

2-1:
「草の実」
展示番号:39
川端龍子(→「りゅうし」です。「たつこ」ではありません(笑))
大田区龍子記念館蔵
濃紺の地の絹本に焼金、青金と銀泥で秋の雑草を描いた作品。
平安時代の紺紙金泥経(展示番号:40、41)に着想を得て描いたとか。

実に動き、スピード感が有る絵です。
秋の雑草の代表にススキが実に鋭い。
あの指をよく切る葉の端の鋭さそのものを連想出来る、容易に連想出来る鋭い描写です。
それから、タケニグサ(@_@)。
こんな草、描くんだぁ(@_@)。
(参考、タケニグサ(「季節の花300」から)→http://www.hana300.com/takeni.html
Wiki→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B1%E3%83%8B%E3%82%B0%E3%82%B5)

水彩で描き直し不可能ですから、一気に描いてます。
巧い絵師は迷いなく一気に描いているのが一目で分かりますが、この川端龍子も例外ではありません。

日本画でもこういう疾走感のある絵を描けるのは、まぁ、当然なんですが、改めて感心しました。

いい絵ですよ、これも。

2-2:
「春颱」(はるはやて)
展示番号:68
牧進

この絵、カッコいい(笑)。
いや冗談ではなく、カッコいいです、本当に。

調べて驚いたんですが、川端龍子の内弟子だった(@_@)。

プラチナ地(@_@)に同系色で右側に牡丹を描き、左側に黒でアゲハチョウを描いています。
どちらも右から来る風になびいています。
「やたらと色を使い写実的に自然を描写する必要が無い」、と一目で教えてくれる絵です。
プラチナを中心に明度高目の無彩色でまとめ、颱(はやて)に耐える牡丹とアゲハがカッコいい。
こういう色使いには、不意を突かれ、目の覚める思いです(^.^)。


3:
加山又造

加山又造と言えば今年2014年初めに「美の巨人たち」でやり、初めて関心が向きました。
(参考、私の記事「雲龍図」→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1631.html)


「華扇屏風」
展示番号:48
琳派を初め、日本人なら昔からどこかで見たことある模様が多く、その模様がリズムを作り出しています。
そのリズム感が心地良い(^.^)。
そして、もう一つの主役が単なる色ですが、群青。
銀箔を中心にした冷たい中に群青が映えます。
全体に寒色や収縮色でまとめるのは誰にでもできますが、そこへ明度を落とし色の力を弱くした膨張色の群青を入れるとは…(溜息)。
やはり商売で日本画を描いていけるプロの色彩感覚は並ではありません。

「満月光」(まんげっこう)
展示番号:49
夜の風景、火山には積雪、小さな満月、近景に秋の草花。
近景に中に群青のリンドウの花、これが、やはりと言いますか当然といいますか、天才的な色使い。
我等素人絵描きにはこんな所に群青なんて色を入れようなんて思いつかないよなぁ…(溜息)。


群青の使い方に完全に打ちのめされました(笑)。
でも、こんな絵描きの知識が無くても、雰囲気を味わえる絵、2枚です。
いい絵ですよ、本当に。


★まとめ
じっと見つめていたい(=いい)絵が多く、満足しました(^.^)。
今回気付いたのは色使い。
極彩色を使って絵を描く必要は全くありません。
銀箔、プラチナ箔を背景に使い、無彩色系でも十分色を表現出来るのが分かりました。

加山又造の装飾画(「華扇屏風」展示番号:48)
牧進の植物画(「春颱」(はるはやて)展示番号:68)

逆に背景の明度を極限まで落として描くことが可能なのも教えてくれました。

川端龍子「草の実」(展示番号:39)

白人の写実描写は色に関しても、囚われ奔放な描写が出来ていません。

日本人の絵画に関する才能や感性は、やはり、世界最高峰です。
(また同時にゴッホの才能の素晴らしさ、絵の魅力と力強さも再認識しました)




タグ 酒井抱一 川端龍子 牧進 加山又造 横山大観 山種美術館 ゴッホ



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『特別展 輝ける金と銀 -琳派から加山又造までー』 その1

★簡単な紹介

山種美術館
2014年9月23日(火、祝日)~11月16日(日)

HP→http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

はろるどさんの記事→http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/b295f13f5a22a81ee30d9daa5b9bc54d


1:
日本画でお馴染みの金(箔)、金泥、銀(箔)、銀泥、プラチナ箔等を主題にした展覧会。
秀作が多く、中々満足した展覧会でした(^.^)。

2:
名樹散椿
展示番号:23
私にとっての目玉は速水御舟(=はやみぎょしゅう)の「名樹散椿」(=めいじゅちりつばき、→今回見に行くまで「散椿=さんちん」と覚えていました(^_^;))。
参考、美の巨人たち→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/130323/index.html

最初に見たのは画集か美術本だったのは間違いないですが、いつかはよく覚えてません(^_^;)。
それを久し振りに2013年の「美の巨人たち」で観て、中々の出来に感心し「特別展 百花繚乱」で展示されるので行こうと思ってたら、
思い出した時には終わってました(^_^;)。

2-1:
さて、実物を見てみると、これが実にキレイな絵です。
全体的な印象が「キレイ」です。
「美しい」というより「キレイ」という感じです。
単純な金地の背景、地味で写実的な椿の葉と幹と枝の色、地味にまとめた緑の苔、意外と少ない赤、紅、桃、白の花。
尾形光琳の金地に緑青と群青だけで描いた「燕子花図屏風」を思い出していただけると、「美しい」と「キレイ」の差が分かると思います。

キレイさと同時に、何やら気味の悪さ、気持ち悪さ、もある絵です。

ある種の魅力が有り、見飽きない絵です。

2-2:
この絵の特徴であり、この特別展のお題の「金」。
この「名樹散椿」の背景は、
金砂子を敷き詰める「撒きつぶし」技法
で描かれています。
金泥を塗ったり金箔を貼るのと違い、実に滑らかで、細かい梨地の平面になっています。
油絵には絶対存在しない面であり、質感です。
金のキンピカ感を完全に打消し、実に落ち着いた雰囲気にしています。

今回の展示で嬉しいのは、技法の見本が幾つか展示され効果の違いがその場で分かる点。
名樹散椿」でも、金泥、金箔、撒きつぶしでの効果の違いが分かります。
これだけ大きな背景を金箔にすると絶対ムラが出来、かなりうるさい背景になり絵の印象が全く変わるはずです。

そして、撒きつぶしの金砂子のおかげで椿と苔を巧く引き立てています。

2-3:
椿の花と葉はTV放送や本ではよく分からなかったのですが、意外や写実描写でした。
琳派の「燕子花図屏風」の様な意匠化された描写だと思っていたので、見事に期待を裏切られました(笑)。
琳派の様に意匠化された花と葉でも違う趣になり、それも悪くないはずです。
パンフレット等の小さな図版を見れば分かります。

さて、花と葉を写実的に描いていると言う事は、この屏風が単なる装飾画ではないと分かります。
花の美しさ、葉の健康さを表しているのは間違いないでしょうね。

2-4:
それに比べ幹と枝は、少々違っています。
奇妙な動きがあり、琳派の「八ッ橋図屏風」のたらし込みで描いた橋の様です。
特に枝の動き、これが蛇みたいで、少々気味悪いんです。
名樹散椿」の気味悪い、気持ち悪い印象の原因がこの枝の動きなんです。
そう思うのは、Scott Smith “The ruins”を読んだからで、これに出て来る「植物」を思い出すんです。
(参考”The ruins”、日本語訳「ルインズー廃墟の奥へ」
私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-773.html
Amazon→http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89%E2%80%95%E5%BB%83%E5%A2%9F%E3%81%AE%E5%A5%A5%E3%81%B8-%E6%89%B6%E6%A1%91%E7%A4%BE%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88-%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9/dp/4594056059)

2-5:
では、解釈。
単純化した苔が生えた盛り土、
動きがある幹と枝、
写実描写の葉と花。

御舟自身を描いたのではないでしょうか?
美しい花、健全で健康的な葉。
これは御舟の描く絵画。

真っ直ぐには程遠い曲がりくねった幹と枝。
花と葉を付け、育てる物。
つまり御舟の心です。
人に知られず人に伝える必要も無い御舟の気味の悪さ、気持ち悪さ、です。

また絵を描き完成するのに必要な御舟の心の戦いで、それは余人には窺い知れぬ格闘。
描いてみると、曲がりくねる枝みたいなもの、と言う事でしょか?

苔が生えた盛り土は、気候風土や御舟の人生です。
散った椿の花弁は御舟の経験です。

、とまぁ、少々と言うかかなり「曲がった」解釈でした(笑)。



タグ 速水御舟 名樹散椿 山種美術館



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『特別展 小林古径 生誕130年記念 古径と土牛』

ふ~ん、小林古径って川瀬巴水と同じ年1883年の生まれなんだ。
ふむふむ。
古径:2月11日~1957年4月3日
巴水:5月18日~1957年11月7日
ご覧の通り亡くなった時も同じ年(@_@)。

山種美術館へ行ってきました。

あ、ところで、
小林古径は「こばやしこけい」
奥村土牛は「おくむらとぎゅう」
です(笑)。

1:
全体に、何か、イマイチ。
私の好みじゃありません。

照明が暗いためではなく、やたらと緑青と群青が目立ち、これが目障り。
緑青は多くの作品。
群青は、
16番 「白華小禽」の鳥
22番 「西行法師」の両脚の脚絆

西行法師の脚絆は両脚を強調し、諸国行脚を表す意図だとは分かるのですが、
それでもねぇ…

2:
それから誇張、変形の絵画的表現、これも好みに合わず。
色の方では、
熟した柿を描いた作品が有るんですが、葉っぱが金泥なんです。
金箔を使って金ぴかにしてないのはいいんですが、柿の実が熟す頃は柿の葉は紅葉するんです。
モミジやイチョウと違い一色ではなく、赤、朱、橙、濃赤茶、黒、緑とかが一枚の葉の中に入り、これもまた美しいんです。
それを金泥一色にするとはねぇ…

この絵にはガッカリし、絵の番号と題名さえ記憶に残ってません(溜息)。
それ以降の絵にも何か、この絵のおかげで集中出来ず、気を入れて見れず(溜息)。


3:
そんな中でも悪くなかったのが、
13番 「清姫」
の連作8枚。

安珍・清姫伝説を描いた物。

(参考→ Wiki  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E7%8F%8D%E3%83%BB%E6%B8%85%E5%A7%AB%E4%BC%9D%E8%AA%AC )

日本画の透明色を塗り重ねた透明感、お得意の霧と湿度、
これらが生み出す奥行と見通しの悪さ、
こう言った物がこの伝説の恐ろしさ、不気味さによく合っています。
(「奥行」と「見通しの悪さ」って矛盾してる様ですが、日本の湿潤気候を巧く表現しているんです。
日本の空気感を表現し、絵に奥行、立体感が有ると言う事です)

それでも蛇に変身した清姫が鐘に隠れた安珍を焼き殺す
「鐘巻」
はいかにも日本人らしく、また日本画らしく淡泊過ぎで恐ろしさ無し。
女の恋心、一念、怨念、ってこの程度か、って言う絵で全然怖くない。
油彩で怨念に満ち溢れた表現の方が絶対いいでしょう。


4:
こんな訳で、駄目でした、私には。



タグ 小林古径 奥村土牛 山種美術館



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再興院展100年記念 速水御舟 -日本美術院の精鋭たちー

★簡単な紹介

2013年8月10日(土)~10月14日(月、祝日)

山種美術館

★感想

1:
今回は夏休みなんで、さっさと行ってきましたゼ(^.^)。

前回の川合玉堂の時と違って空いてたぁ(^.^)。


2:
御舟は「ぎょしゅう」って読みます。
「おふね」ではありませんゾ(笑)。

御舟って言えば、
まず、「名樹散椿」(=めいじゅさんちん)。
『美の巨人たち』でもやってました。
(→ 2013年3月23日放送 http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/130323/index.html )
もう一つが、「炎舞」。
これも『美の巨人たち』でやってました。
(→ 2004年11月6日 ゲ!、きゅ9年前(汗))

で、両方とも山種美術館に有るんですが、今回は、「名樹散椿」は展示されてません(涙)。
(→ 山種美術館の紹介 http://www.yamatane-museum.jp/collection/collection.html )


3:
重要文化財でもある「炎舞」。
今回の作品番号60。
見ました。
大きくない絵(120cm×52cm)で、この程度の大きさなら日本の狭小住宅にも掛けられます。
有名な絵で、ずいぶん昔から知ってますが、実物を見るのは今回が初めて。
暗黒の中の炎は色と対比の美しさで、ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール、昔のディズニーのアニメ、宮崎駿の『天空の城ラピュタ』とか
直ぐに思いつく絵は多い。

この絵も文句なく美しい。

高く上る炎の周りを蛾が何匹も舞ってる絵です。
装飾的な絵なんで、蛾はまことにキレイに描かれ図鑑の挿絵みたいです。
雰囲気は、何か、凄いですよ。
不気味って言うじゃないですが、心を捉える強力な絵です。
この絵が自宅に有ったら、何か気になってしょうがないです。

当然な事ですが、こんな絵、描けねぇーゼ(@_@)。


4:
「墨牡丹」
作品番号38
これも、昔『美の巨人たち』でやったなぁ…
(→ 2009年10月31日 http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/091031/ )
墨絵に彩色してあるんですが、花を墨で描いてあるんです。
葉や茎は緑にしてあってね。
いやぁ~、視線釘付けですよ、この絵も。
異様な迫力が有ります。
彩色、カラーなのに花が真っ黒なんですからね。
どんな絵になるか、誰にでも分かると思いますが、実際に見ると、それでも驚きます。

黒い花ねぇ…、北海道で萎れたクロユリを見たことあるけど、黒い花を絵にすると、
不思議な絵になるんですなぁ…
黒い花がほとんど自然界に無いから視線を捉える絵になる訳で、
逆に花の色が黒しかなかったら赤い花の絵は、とんでもない迫力の絵になる訳です。


5:
まぁ、こんな訳で今回も驚きの絵が何点か有りましたが、気に入った絵は別。
気に入ったのは、

作品番号9
「朧月」
下村観山
墨画淡彩

作品番号20
「山科秋」
速水御舟
彩色

5-1:
「朧月」
竹を描いた絵で、月は題名の通り気付かない位淡く描いています。
色を使ってるのは、月の光のみ。
月を描いてる訳ではありません。

竹がいい感じなんです。

それと、観山の落款が中々お茶目です(^.^)。

5-2:
「山科秋」
秋の里山を描いた絵。
群青と緑青で木々を描き、黄土で枯れた草を描いてます。
そして橙色を群青と緑青の中に点々を入れ、柿を表しています。

この橙色が非常に効果的で、絵にリズムと動きを与え絵を魅力的にしています。
そして橙色の点々が意外と美しいんです。


6:
さて、全体としては、イマイチ。
何か、自分の好みに合ってませんでした(涙)。
今回の目玉の一つ、屏風の「翠苔緑芝」も何かイマイチ。
全体にやたらと緑青が目立ってました。


7:
日本画の力強さの秘密の一つが、この緑青なのがこの展覧会で分かりました。
緑の中では珍しい膨張色で、画面から飛び出す色なんです。
ゴッホの絵と違い日本画は穏やかな絵ばかりなんですが、視線を捉えるのはこの緑青のおかげと気付きました。

だからと言って誰でも緑青を使って日本画を描けば力強い絵になるはず無し。
緑青を沢山使えばやたらと目立つばかりで、お下品な絵に成り下がります。
こういう緑を使う日本画を描くのは、色使いではかなり難しい。



タグ 速水御舟 下村観山 院展 山種美術館



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『特別展 生誕140年記念 川合玉堂 ~日本のふるさと・日本のこころ~』

『特別展 生誕140年記念 川合玉堂 ~日本のふるさと・日本のこころ~』
山種美術館
2013年6月8日(土)~8月4日(月)

HP→ http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

私の記事の中で何回か出て来た日本画家川合玉堂の回顧展に行ってきました。
それも何とか終わる前に、ヤレヤレ。

久し振りに玉堂の本物をみましたが、やはり、スゲーね。
当然だけど素人には描けん(笑)、あんな絵の数々。

1:
今回行ってまずビックリしたのは、
「ここは年金クラブか?」
(笑)

入場者の9割はどう見ても65歳以上の女性ばかり。

美術館の入場者の大部分はいつでも女性なんですが、今回は特に多い。
それも高齢者ばかり。
ジジィ共はどうした。
こういう美しい物を見ないから健康に長生き出来んのだゾ。

2:
ブリヂストン美術館、国立西洋美術館、大原美術館、に並び、
山種美術館も個人コレクションが元。
この山種美術館は山種証券創始者山崎種二のコレクションが元。
(参考→ 山種美術館HP、当館の概要 http://www.yamatane-museum.jp/aboutus/profile.html )

昔の金持ちは金の使い方を知っておりました。

堀江貴文みたいな下品な人間とは違います。

孫正儀にも美術品を収集して美術館を作って欲しいもんです。


3:
さて、川合玉堂の絵について。

3-1:
まず落款。
あの「玉堂」って言う字。

本職は画家なのに(笑)、
なんであんな力強く、カッコいい字を書けるんだろう(笑)?

玉堂の本物を初めて見たのは、国立近代美術館蔵の『彩雨』
(参考→ http://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=2716 )
1940年昭和15年の絵なのに、50年以上経った東京の都心の秋と同じ雰囲気を漂わせビックリしましたが、
落款の「玉堂」にもビックリしたなぁ…

こういう名画家が書いた素晴らしい漢字を見ると、漢字が絵から生まれたのがよく分かります。

3-2:
次に湿潤な空気。

日本画はこの玉堂と横山大観位しか知らないし、本物を見たのは玉堂のみ(汗)。
だもんで、あんまりエラソーな事、書けんのですが、でも書く(笑)。

TVや画集で見ても分かるのは、漂う雰囲気、そして空気と光。
日本在住の日本人だけあり、まず、湿潤な空気の表現は、最高です。
紙や絹の上に描かれた本物は、当然ながら驚きの表現力(@_@)。

今回の展覧会だと、

31番 渡所春暁
44番 渓谷春靄
46番 渓雨紅樹
47番 雨後山月

が素晴らしかった。

特に47番「雨後山月」は38cm×51cmとお手軽な大きさで、是非持って帰りたかった(笑)。

3-3:


「雪」と言えば、個人的には浮世絵。
広重の東海道五十三次「蒲原 夜之雪」とか川瀬巴水の「雪の向島」(参考→ http://www.hangasw.com/shop/hasui/ )
等が素晴らしく、好きですが、今回の展覧会でも視線釘付けの絵がありました。

33番 雪亭買魚
38番 雪志末久湖畔
51番 湖畔暮雪

胡粉(=日本画の白)の使い方がとても巧く、素晴らしい。
余白が多く一見白っぽいのが日本画ですが、真っ白なのは胡粉のみ。
その胡粉を雪にだけ使い、雪の白さを強調してます。
色としての強さから重さに見え、雪の重量感が伝わってきます。

この中でちょっと違うのが、51番「湖畔暮雪」
(参考→ http://utm.sankei.jpchn.glbdns.microsoft.com/life/photos/130707/art13070708480002-p3.htm )
構図からこの絵の雪が一番重く見えます。
画面左下1/4に家が5軒連なり、その屋根に雪が積もり、よく目立ち視線を掴んでます。

この絵の特徴はこの5軒の家です。
今回の展覧会の絵には珍しく直線的なリズムが有る構図になっています。

ん~、いい、しかも46cm×57cmとまたしてもお手軽な大きさ、
これも欲しい(笑)。

3-4:
夕暮れ、黄昏

毎週日曜日、『笑点』、『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』が放送される頃、
労働者が感じる物悲しさ、理由の無い不安感、

働くオヂさん、オバサン、感じるでしょう(笑)?

でも、夕方、黄昏時って働き始める以前って、それでも、不安感はなかったけど
物寂しさは感じたでしょう?
学生時代とか子供の頃、働き始めてからでも夏休みや正月休みの最初の頃とかにね。

この展覧会でもそういう絵が有りました。

54番 残照

まぁ、凄い絵です。
まず、一目で奥多摩や奥武蔵、秩父の山と分かる絵。
奥多摩の御岳に移り住んでから描いた山の風景ですから、奥多摩と分かって当然ですが、
それでも素人には描ける物じゃありません。

夕方を描いてますが、ビックリするのが、
画面から漂う物寂しさ(@_@)。

私にとって名画の条件の一つが、
雰囲気。
授業以外で絵を描いたことがある方なら分かると思いますが、
自分の描いた絵から雰囲気なんか出て来ません。

3-5:
煌めく空気

湿潤な空気を非常に巧く表している玉堂を始め日本画家。
湿潤な日本ですが、365日毎日湿潤なわけではないのは皆さん御存じの通り。
光が煌めく日も有ります。

そんな光や空気を日本画で表した絵がこの展覧会に有りました。

41番 山雨一過
(参考→ http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html )

この絵にも驚きました(@_@)。
梅雨前、雨上がりの透明な煌めく空気を描いてます。
湿気が徐々に減り、透明感を増す空気、これを見事に描いてます。

この空気感を表しているのが、よく見ると、峠の切り通しの間に有る、
遠景の山並みと湧き立つ雲。
薄い群青と胡粉が非常に効果的で、普通の人間には考え付かないのではないでしょうか?

こんな表現法、色使いが有るんだぁ…

視線と心を捉えられながら、同時にビックリしてました。
スゲー絵です。

やはり並の画家じゃありませんゼ、川合玉堂!(^^)!。


★まとめ

素晴らしい絵の数々。
川合玉堂の実力にビックリ。

非常に満足しました。



タグ 川合玉堂 山種美術館



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気になる監督は堤幸彦。
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