『生誕140年 吉田博展 山と水の風景』 その1

★簡単な紹介

2017年7月8日(土)~8月27日(日)
前期:7月8日(土)~7月30日(日)
後期:8月1日(火)~8月27日(日)

東郷青児記念 損保ジャパンニッポン興亜美術館

HP→http://www.sjnk-museum.org/program/current/4778.html


1:
川瀬巴水と同じく「新版画」に取り組んだ一人。
川瀬巴水と同じく、葛飾北斎歌川広重に匹敵した一人。

川瀬巴水と同じく、美しい、良い、衝撃的(^.^)。


2:
展示は、水彩から始まり、油彩へと続きます。

これが、まぁ、悪くはありません。
作品として突出している物は、残念ながら、特に無し。
「すでに絵は描かれ過ぎている」状態。


2:
ところが、70点程続くと、
突如、
絵が動き出した、輝き出した(@_@)。

視線と心を捉える絵が現れました。

版画です、新版画です。

吉田博の才能が突然、開花、結実しました。

2-1:
作品番号:4-14
『モレーン湖』、油彩
作品番号:4-26
『モレーン湖 米国シリーズ』、木版

作品番号:4-12
『グランドキャニオン』、油彩
作品番号:4-23
『グランドキャニオン 米国シリーズ』、木版

この二組は、どちらも油彩を最初に描き、
それを木版画にしています。
油彩の重たさ、厚さが無くなり、動き出したのが木版画。
空気の動き、光の変化、こう言ったものを感じられるんです。
突然、いつまでも見ていたい魅力に満ちます。

この変化、正に衝撃的(^.^)、(@_@)。
なんで、こんなに変わるんでしょう?
直ぐに分かるのは、木版画は描き込み過ぎていない事。
摺りに80回とかやっていますが、省略しているのは誰が見ても分かります。

でも、質感の違いとかもあるし、よく分からん。

分かるのは、いい(笑)。
心と視線を捉える力と魅力がある、って事。

2-2:
瀬戸内海集、木版画

作品番号:4-50
『光る海』
作品番号:4-51
『帆船 雨後の夕』
作品番号:4-52
『帆船 朝』
作品番号:4-53
『帆船 午前』
作品番号:4-54
『帆船 午後』
作品番号:4-55
『帆船 霧』
作品番号:4-56
『帆船 夕』
作品番号:4-57
『帆船 夜』

凪の瀬戸内海と帆船を描いた一連。
潮風、船体に当る柔らかな波、空気の質感が伝わる、伝わる(^.^)、(@_@)。
故ダイアナ妃が『光る海』を執務室に掛けたのも分かります。
穏やかこの上無し。

素晴らしい(^.^)。

こういう自然は日本にしかなく、日本でしか生まれないんじゃないでしょうか?

2-3:
作品番号:4-85
『渓流』

これまた、日本でしか生まれないんだろうなぁ。
流れに透けて見える岩を描くのは、自然と距離を置かない日本文化故でしょう。
ロッセリーニの映画に『無防備都市』なんてのがあり、
原題が”Roma citta aperta”
「開かれた都市ローマ」の意。
城門を開ける、降伏の意があります。
ヨーロッパの都市と言うのは、城壁で囲い外敵と肉食獣から防いでいました。
武力で攻めて来る蛮族はいるし、異邦人は未知のウィルス病を持ってくる恐れはあるし、狼は人間を食べる。
だから、自然に対し距離を置くのは当然。
そうなると、自然に近付かない、細かい事を見ない、感じない、関心を持ちません。

まぁ、そう言っても、ジョン・エヴァレット・ミレイの『オフィーリア』は、ちゃんと流れを描いてましたナ(笑)。
1851年から1852年にかけて描かれたので、かなり自然に対しヨーロッパ人が強くなったから描けた、
とイヂワルな考え方も出来ますが(笑)。

日本の絵師、工芸家、陶芸家の波の表現の巧さは自然と添い寝している日本の自然観のためとしか思えません。
国土が狭く、海に近いだけでなく、河川にも近いので、やはり水の流れは身近な存在です。

『渓流』で泡立つ水は広重を思い起こさせますが、その上、小さな落差に落ちる流れに透けて見える岩の表現と質感は、
吉田博独自であり、この上なく見事で素晴らしい。

作品番号:4-44
『黒部川 日本アルプス十二題』
こちらは、『渓流』と違い、流れから離れた作。
黒部川の急流、流れの速さが大変良く分かります。
これも、見事です。


3:
と、まぁ、自然を描いたのは中々の秀作揃いなんですが、
どうも、日本の都会を描いた作品には、キレが無い、甘い。
川瀬巴水が描いた魅力に匹敵するものが無いですな。
『東京拾二題』は、全体に暗く、『瀬戸内海集』の持つ力がありません。
シティボーイではなく、自然児、だからと捉えて間違いないはずです。
都会が好きじゃなかったでしょう。

その代り、海外の都会を描いた
作品番号:4-32
『ルガノ町 欧州シリーズ』
は、明らかに気合いの入り方が違います。
やはり、日本とは違う異国情緒が大いに刺激になったと分かります。


4:
まとめ

吉田博の木版画は、輪郭線とボカシで水彩風であり、水彩の影響が多い。
若い頃から水彩に親しみ、その後、油彩もやります。
両方の質感と特徴を十分心得ていたと思います。
木版画の墨線ではなく、同系色を使った輪郭線は水彩の特徴以外の何物でもありません。
水彩をやった事のある方なら何回も経験されたことがあると思いますが、
乾いた紙の上に色を塗ると、色と紙の境目が非常にクッキリ残ります。
この境目が意外と邪魔で、境目をボカすには紙を濡らす必要があります。
この時、紙の乾き具合が分かるのが難しく、私CYPRESSの場合、とうとう分かりませんでした(笑)。
そう、下手糞だったです(笑)。
風景画だと、雲なんか境目をボカさないと、柔らかな質感を表現出来ません。

同系色を使った輪郭線で物の形をハッキリ表し、強調、全体に力と締りを与える。
ボカシを色の境目やグラデーションに使い、自然な質感を与え、更に全体に穏やかな雰囲気を漂わせる。
素晴らしい。

更に、水彩表現を生み出すための摺りの数がとんでもない(@_@)。
作品の解説によると、
作品番号:5-32
『東照宮』
で86回。
作品番号:5-33
『陽明門』
で約90回。
葛飾北斎の『凱風快晴』で7回、川瀬巴水の一例で27回、
病気です(笑)。

まぁ、我等素人には水彩も描けんのだから、こんな木版画も摺れるはずありません(笑)。


5:
全181点の内、66点が展示替えされますので、
後期展も行きます。






タグ 吉田博 川瀬巴水 葛飾北斎 歌川広重 ジョン・エヴァレット・ミレイ ロッセリーニ





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『日曜美術館 未踏の頂へ ~吉田博の挑戦~』

★簡単な紹介

○放送
2016年7月10日(日)
午前9:00~9:45
NHK Eテレ


1:
ついこの間まで千葉市美術館で大回顧展をやってたんだよなぁ…(溜息)。

2016年4月9日(土)~5月22日(日)
HP→http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2016/0409/0409.html

新聞に代表作「日本アルプス十二題 劔山の朝」の写真入りで公告が出ていたけど、白黒の活版だったんで全然魅力が分からず、
オマケに場所が千葉なんて辺境だから、見に行こうなんて全く思わず(溜息)。

現在郡山市美術館で巡回開催中

HP→https://www.city.koriyama.fukushima.jp/bijyutukan/022-now.html

この番組によると、次回東京でやるのは、何と来年2017年(@_@)。
でもやらないよりは遙かにいい!(^^)!。
でも、丁度1年後じゃん(@_@)。

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
2017年7月8日(土)~8月27日(日)


2:
版画は川瀬巴水の様に従来の浮世絵に西洋に技法を加え、新たな浮世絵の世界を作った物。
川瀬巴水同様にとてもいい。
ただそれだけ(笑)。

油彩や水彩の風景画も変にいじらず、技巧に走らず、これまた良いデス(^.^)。


3:
テレビで見た限りでは、文句なしに素晴らしい(^.^)。
後は、実物を見て心奪われるか、ガッカリするか、デス。
来年が楽しみであります(^.^)。






タグ 吉田博 川瀬巴水






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『歌川広重 ~東海道五十三次と冨士三十六景』 前期その2

2-3:
良い絵

出来のいいのが多い。
「江戸名所百景」は興の乗り具合の差が激しい。
「六十余州名所図会」はどうもやる気になっていません。

2-3-1:
第十三番  原

富士山が枠線を突き破ってどっか~ん(笑)。
富士山の高さを強調し、面白い表現です。

2-3-2:
第十五番  蒲原

突如現れるほぼ白黒、墨絵の世界。
これは目に新鮮。
雪の表現は決して悪くありませんが、川瀬巴水と比べるとちと劣ります。

なぜ一連の東海道五十三次の中にここで雪の蒲原を入れたのでしょう?
やはり気分転換でしょう。

2-3-3:
十九番  島田

一見大した事ない絵。
オマケに題名と落款を対角線上の目立つところに置き、
バランスを取ってます。
実に大雑把な絵の構成です。
目立つのは空間。
川原です。
大井川の川原です。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」
の大井川です。
雨が降り増水するとこの広大な川原が川になる、と大井川の大きさと困難さを暗示してる訳です。

2-4:
出来がイマイチの絵

どうも質が落ちる絵があります。

2-4-1:
第十九番  府中

安倍川と渡る人々。
川渡りを描いているのは全部で五つ。
(小田原、興津、府中、島田、金谷)

この「府中」はショボイなぁ(涙)。
かなり頑張って絵を作った雰囲気が強い。
画面水平線付近、安倍川の対岸辺りを何やら白い帯状物体で隠している。
その土地の特徴を描きたいんだろうけど、無かったんだろうなぁ…
例えば、一つ前の18番「江尻」なら久能山からの眺望(清水の港、三保の松原、駿河湾、伊豆半島、富士山)があります。
でも、ここ府中は無かったんでしょう(溜息)。
それで水平線付近に白い帯状物体を描き「こりゃ何だね
?」と思わせるしかなかったんでしょう。

2-4-2:
二十四番 金谷
二十五番 日坂(にっさか)

この二つはそれ程悪くはないんですが、
九番   小田原
十番   箱根
の組み合わせと同じなんで、二番煎じ。


3:
冨士三十六景

これ、ダメだわ(溜息)。
東海道五十三次」と比べちゃ気の毒。
広重、やる気なかったんだろうなぁ…(溜息)。
出来具合が「東海道五十三次」と全く違います。





タグ 広重 東海道五十三次 冨士三十六景 太田記念美術館 川瀬巴水





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『日曜美術館 民家巡歴 向井潤吉の戦後』

○放送
2016年2月21日(日)
NHKEテレ

放送分HP→http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2016/0221/index.html

世田谷美術館分館 向井潤吉アトリエ館 HP→http://www.mukaijunkichi-annex.jp/

向井潤吉って江戸時代に確立された「日本古来の茅葺き民家」を描く洋画家だよなぁ、って記憶があり、
『美の巨人たち』でやったなと調べると、2004年7月10日に放送されましたな。
『開運なんでも鑑定団』でも出た記憶があり、調べると2012年2月21日に偽物が出ていた(@_@)。
去年2015年に世田谷美術館へモネの「ラジャポネーズ」やエドゥアール・マネの「笛を吹く少年」を見に行った時に
向井潤吉アトリエ館」の宣伝をしてたけど、「笛を吹く少年」の魅力の圧倒され全く関心が向かいませんでした(笑)。

悪い絵じゃないと番組を観ると…


1:
やはり、いいねぇ~

日本の極普通の自然とその自然と寄り添い添い寝する民家、
とても美しい、魅力的(^.^)。

向井潤吉が描く民家は日本の自然と気候に合わせて作られた自然発生的な物。
だから日本の自然との相性が悪いはずがない(^.^)。

川合玉堂川瀬巴水、この辺の私が好きな絵師と同じ雰囲気を漂わせています。
川瀬巴水は都会の版画が少なくないんですが、当時の東京はまだ郊外の自然と同じ雰囲気を残していたんですなぁ…

そして、去年2015年の年末に見た雪舟等楊の「秋冬山水図」から、おそらくそれ以前からも続く日本の自然独自の雰囲気も漂わせています。


2:
先日フェルメールと共に見た17世紀のオランダ絵画の樹木と自然は、茶褐色。
この番組の向井潤吉を初め、日本の絵画では美しい緑。
17世紀日本では緑青を使い樹木、植物、自然を描いていたんですが、
この違い、差は何なんでしょう?


3:
向井潤吉アトリエ館では、現在「向井潤吉 西日本紀行」展を開催中。
行くぞう(^.^)。




タグ 向井潤吉 世田谷美術館 川合玉堂 川瀬巴水 雪舟等楊





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特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その4 後期 「昭和20年代、及び晩年の作品」

2014年1月25日(土)~3月2日(日)

(→気が付けばもう直ぐ閉会(@_@;)。急いで書き込まねば(笑))

1:
後期展も行ってきました。
まぁ、書く事は同じ。

素晴らしい、実に素晴らしい(笑)。


2:
そんな中で今回気になったのが、石垣の表現。
墓石みたいに平面と直角で出来てる様に見える作品が一部在りました。

#380 『埼玉縣 野上町』の下水か用水の右側の石垣
#381 『東海道 うつ乃や』「東海道風景選集」の手前から2番目、3番目、4番目の家の土台の石垣
    (→写生も同じ表現)
#407 『津島神社』(愛知県)の石垣
    (→写生も同じ表現)

ところが、
#399 『鯉のぼ利』(香川県 豊浜)の画面右側の下水か用水の石垣が平面でなく一つづつの石の形が違いゴツゴツしています。
    (→写生では省略し平面的)

他の作品もよく見るとやはり石垣の表現が少々平面的になり過ぎている物が多い。
(→#369 『白川城址之桜』、#392 『岡山乃かねつき堂』、#394 『錦帯橋乃春宵』等)

逆に
#430 『吉野 蔵王堂』
みたいに明らかに樹齢1,000年はある木から作られた柱の表現は見事で、余計に石垣の稚拙さが目立つんです。

川瀬巴水程の腕前の人間がこんな表現になるとは、残念であり不思議です。


3:
もう一つは、人物が主役になるもの
#470 『鵜飼』(長良川)



車の描写
#439 『歌舞伎座』

は風景画に比べるとかなり表現力が落ちます。


4:
それでも、殆どの作品は、素晴らしい、実に素晴らしい(笑)。

川瀬巴水新版画、大好きです(^.^)。




タグ 川瀬巴水 新版画



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特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その3 中期 「昭和初期から10年代の作品」

2013年12月7日(土)~2014年1月19日(日)
場所:大田区立郷土博物館
HP→ http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/hakubutsukan/kawasehasui_seitan_130nen_kinen.html


1:
行ってきました、「中期」も(^.^)。
どれも、これも、あれも、それも、素晴らしく、
ちと疲れたと思ったら2時間も歩き回り見てました(笑)。

夜と夕方の描写は相変わらず、文句なく素晴らしい。

NHK Eテレ「日曜美術館」で紹介された
96番 『矢口 「東京ニ十景」』
108番 『馬込の月 「東京ニ十景」』
は今回も引き続き展示されてました。


2:
版画だから実際の風景とは勿論違いますが、それでも作品の元になった風景は有り、
川瀬巴水が感銘を受ける程の風景は有ったのです。
田園風景はどれも美し出来栄えですが、実際の風景もさぞや美しかったであろうと思わせるのが、

142番 『馬入川 「東海道風景選集」』

(参考 渡邊木版美術舗 http://www.hangasw.com/shop/hasui/index6.html )


3:
巴水の風景画は人物を後姿で描いた作品が非常に多い。
その極め付けが、

170番 『相州 前川の雨 「東海道風景選集」』

(参考 渡邊木版美術舗 http://www.hangasw.com/shop/hasui/index.html )

風景画なんで人物の表情を描く必要が無いだけではなく、人物が進む方向を示し、
視線がその人物の動きを追うようにし、
絵に奥行、空間の広がりを与えています。

この絵だと、自然と道なりに画面下手へと進み、この道の先、この左カーブの先はどうなってるんだろう、
と好奇心を刺激します。


4:
同じ版木で摺りを変えた作品も見て楽しい。

152番 『清洲橋』
153番 『清洲橋』 戦後摺 濃版
154番 『清洲橋』 試摺 朱色版

177番 『暮る々雪 (江戸川)』 多色摺版
178番 『暮る々雪 (江戸川)』 藍摺版
179番 『暮る々雪 (江戸川)』 戦後再版

5:
版画なのに筆で描いた様なタッチが有るのが、

323番 『田子之浦之夕 「東海道風景選集」』

(参考 渡邊木版美術舗 http://www.hangasw.com/shop/hasui/index6.html )

手前と近景の雑草の草地、これが筆で描いたみたいなんです(@_@)。
こんな摺りの技が有るとは、素人には信じられん(@_@)。


6:
夜景が美しいのは、

185番 『夜之池畔(不忍池)』

不忍池に写る電燈やネオンサインの赤が美しい。
エラく横に広がりの有る風景ですが、昭和7年当時、東京では今と違って高い建物が非常に少なかったから
この作品位町に広がりが有り、空が広くて当然、極普通の事でした。


7:
他の作品と違い、動きが有るのが、

168番 『日光華厳之滝』

落ちる水の表現が非常に巧いんですが、
他の作品に漂う雰囲気に完全に負けています(涙)。
全然目立ちません。
落ちる水の轟音が聞こえる絵なんですけどね。


8:
墨の効果が大変素晴らしいのが、

214番 『河口湖』 前景樹木有版

213番は同じ絵で前景樹木無版ですが、作品の印象が全く違います。
墨で塗り潰した松の木が4本入ると絵に動きが現れ、物語を感じさせます。
生命感、人間の生活や命を感じる絵に変わります。
私は絶対前景樹木有版がいい。


9:
今回、最も良かったのが、

300番 『佃住吉神社 「新東京百景」』

夕景の中の鳥居、小屋、川面、洗濯物を乾かす物干し、逆光の中の街並みの遠景、
それだけの絵。
とても穏やかですが、同時にとても力強い絵です。
鳥居の存在感が強力で、正に町の鎮守様です。
そしてその鳥居とバランスを取っている細い物干し。
慎ましやかな、正直な一般庶民の暮らしぶりの象徴と考えて間違いありません。

絵の構成を考えると直線が主題の絵。
画面上手には大きな、画面半分を占める鳥居。
画面下手下半分には夕景の中に屹立する物干しの竹(か細い丸太)。
主題の鳥居を活かしバランスを取ってるのが下手下半分に有る竹製(か細い丸太)の物干し。

均衡のとれた非常に巧い絵です。

興味深いのがこの絵の原画。
この絵の重要な点は物干しの位置と向き。
鳥居の垂木が斜線になり、かなり斜めの向きの力が強いのでそれと釣り合うには、
この物干しの様な細い線では水平線と垂直線にならねばなりません。
現実の風景の中ではそんな画家が望む様な構図は、まず存在しません。
画家がバランスを取るために実際の風景を変更したり、省略したり、加えたりするものなのです。

この絵の原画の写生は、物干しの位置と向きが完成作品通りになっています(@_@)。
巴水が絵のバランスを考え、物干しを理想的な位置と向きにしたと考えると問題有りません。
ただ、他の作品の原画になる写生を見ると、そこまで考えて描いてないのが多い、と言うか殆ど。
何か巴水の心に触れる物が有り、それで描いた、と思わせる写生ばかりです。
絵としての完成度をあまり求めていなかった気がします。
だから、この写生は、ある意味、非常に不自然。
こんな完璧な絵になる風景は有り得ません。

でも、ひょっとしたらこの写生通りの風景が巴水の目の前に広がっていたのかもしれません。

こんな訳で、この写生は非常に、物凄く、気になります。
巴水の研究家か渡邊木版美術舗の大将にこの点を質問したい気持ちで一杯です。


9:
次回「後期」も絶対行くゾ。
楽しみ(^.^)、楽しみ(^.^)。



タグ 川瀬巴水 大田区立郷土博物館



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『日曜美術館 郷愁に染まる風景 ~版画家 川瀬巴水~』

★放送
2013年12月22日(日) 再放送
午後8:00~9:00
NHK Eテレ


放送分HP→ http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2013/1215/index.html


1:
いや~、いいね。
皆いい絵ばかり。

好きな版画ですから、文句のつけようが有りません(笑)。

だから、単なる提灯記事です、今回も(笑)。


2:
あのアップルのスティーヴ・ジョブスも日本に買いに来た(@_@)。
版画を買った店にジョブスの名刺が残ってる(@_@)。


3:
一番面白かったのは、
大田区の郷土博物館でも展示されてた
『三十間堀の暮雪』
の吹雪の表現の再現。
大正9年の作なんで、関東大震災で版木が焼失し、どうやってるか正確なところは不明ですが、
どうやら同じ表現が出来ました。
版木の彫り方によるのではなく、摺り方に工夫したので、当時でも全く同じものは無かったろうと
再現した彫師と摺り師の方が言ってました。


4:
ファンには堪らん45分間でした(^.^)。



タグ 川瀬巴水 日曜美術館



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テーマ : 絵画
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特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その2 「前期 「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」」

この回顧展、前中後期の3回に分けて展示されます。
前期(2013年10月27日(日)~12月1日(日))は、

「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」

まずは、「前期」、行ってきました、見てきました。


1:
いや~、いいね。
版元だった渡邊木版美術画舗のHP(→ http://www.hangasw.com/shop/hasui/index.html )で見た通りの素晴らしさ。
皆欲しかった(笑)。

2:
川瀬巴水は有名な『馬込の月 「東京二十景」』(上のURLをクリックすると見られます)をはじめ夜を描いた風景画が多く、更に雨と雪の夜の風景画も多い。
いい物ばかり(^.^)。
アクセント、画面を引き締める小さな点としての月、街灯、灯火、これの使い方が絶妙でどの作品も素晴らしい(^.^)。
そして夜を表す色の透明感、これも堪りません(笑)。

今回、夜だけだと、
6番 金澤…ながれのくるわ 「旅みやげ第一集」
9番 夜の新川 「東京十二題」
42番 出雲松江(おぼろ月) 「旅みやげ第三集」
83番 尾州亀崎 「旅みやげ第三集」
99番 荒川の月 「東京二十景」
100番 瀧之川 「東京二十景」
107番 大森海岸 「東京二十景」
108番 馬込の月 「東京二十景」
112番 日光杉並木
115番 三宝字池(石神井)
127番 大宮見沼川

夜+雨または雪は、
21番 松の島の夜雨 「深川岩崎別邸 繪はがき」
13番 雪に暮るる寺嶌村(=てらしまむら) 「東京十二題」
39番 但馬城崎 「旅みやげ第三集」
48番 木曽の須原 「日本風景選集」
62番 新大橋 「東京ニ十景」
74番 狩勝峠 「浮世絵紋様集 新日本八景」
132番~134番 雨の大宮

これだけ夜が描かれるのは、照明が発達、普及してきたから。


3:
明け方、夕方の絵も多く、これもいいんだなぁ(^.^)。
夕方と明け方の光と影が美しくなる瞬間を非常に巧く切り取っています。

10番 深川上の橋 「東京十二題」
12番 木場の夕暮れ 「東京十二題」
28番 谷中の夕映 「東京十二ヶ月」
34番 越中庵谷峠
36番 大坂高津 「旅みやげ第三集」
43番 出雲松江(三日月) 「旅みやげ第三集」
49番 出雲 美保ヶ関の朝 「日本風景選集」
55番 浜町河岸 「双作版画會」
58番 歌舞伎座 「双作版画會」
61番 神田明神境内 「東京二十景」
78番 肥前 雲仙嶽 「浮世絵紋様集 新日本八景」
80番~81番 池上市之倉(夕陽) 「東京二十景」
82番 秋田土崎 「旅みやげ第三集」
86番 別府之朝 「旅みやげ第三集」
124番 裾野付近
126番 大宮氷川公園


4:
昼間の絵も勿論素晴らしい。

中々興味深かったのは、完成した作品の一部にはその下絵になったスケッチも一緒に展示された事。
見に行くか、図録(\2,000)を買って見ると分かりますが、川瀬巴水、スケッチも丁寧に描く方です。


5:
今回、「前期」の展示品で一番良かったのは、

12番 木場の夕暮れ 「東京十二題」

です。
夕暮れ時の物寂しさが漂い、この雰囲気が非常に強力で素晴らしい。

川合玉堂が奥多摩の山並みの夕方を描いた『残照』と同じ位素晴らしい(^.^)。

夕焼けの空と黒い建物の影と言うどこにでもある夕方の風景ですが、、子供の頃に誰もが一度は関心を捉えられた身近な美。
でも、何回も見る事が出来るありふれた美で、いつしかその美しさを感じなくなる夕方の風景でもあります。
しかし、そんなありふれた感動とは程遠い美でも、ある時ふと見上げると子供の頃からその美しさは全く変わってないのに気付きます。

つまり、古典的な美の典型(→変な日本語(笑))なんです。

この絵の主人公(?)、中心は、高く聳える電柱、そして煙突の様な物。
普段は画題はおろか都市の景観の中では邪魔者扱いされている物ですが、この絵の中では大変力強く、絵を引き締め、立派に主人公になっています。
こんな物でも絵の主題として使い一つの佳作を作り上げるのが川瀬巴水の実力です!(^^)!。
電柱や煙突の様な物にまで関心を向ける心掛け、大変素晴らしい(^.^)。


6:
次は「中期 「昭和初期から10年代の作品」」。
絶対行くゼ(^.^)。
楽しみ、楽しみ(^.^)。




タグ 川瀬巴水 大田区立郷土博物館



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特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その1

な、なんと、川瀬巴水の回顧展をやる(@_@)

場所は大田区立郷土博物館
詳しくは、HPで
→ http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/hakubutsukan/kawasehasui_seitan_130nen_kinen.html 

私が川瀬巴水を知ったのは、TV東京系の『美の巨人たち』2006年1月28日放送の回で、
HP→ http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/060128/

川瀬巴水については、
Wiki→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E7%80%AC%E5%B7%B4%E6%B0%B4

川瀬巴水の版画は現在も「後摺り」が手に入ります。
渡邊木版美術画舗
HP→ http://www.hangasw.com/shop/hasui/index.html

行くぞ(^.^)。
欲しい(^.^)。
全木版画集DVD付きなんて豪華本まで在る(^.^)。
これも欲しい(^.^)。

まずは、大田区立郷土博物館へ行くゾ(^.^)。



タグ 川瀬巴水 大田区立郷土博物館



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最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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