開館50周年記念 『美の祝典 II 水墨の壮美』

★簡単な紹介

出光美術館

2016年5月13日(金)~6月12日(日)

HP→http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html


国宝、「伴大納言絵巻」10年振りの公開だそうですが、全く興味が無く、
長谷川等伯の屏風が何点か展示されるんで行ってきました。


1:
おやまぁ、流石出光美術館、ビックラ(笑)。
作品も見事なら、展示順もこれまた見事でした(笑)。


2:
国宝「伴大納言絵巻」

興味はなくても、「美味い不味いは食してから言うもの」を信条にしていますから、
まずは見てみる。

状態はかなり悪いです。
シワ、ヒビだらけ。
でも、細い墨線の線描が並ではありません。
これもねぇ、素人に出来ぬ技であります。
この墨線だけでも国宝になるのも納得。


3:
屏風

3-1:
最初が長谷川等伯の2点

作品番号35:松に鶴、柳に白鷺図屏風
作品番号36:竹鶴図屏風

まぁ当然なんですが、筆の描写が巧い(笑)。
竹の幹の真っ直ぐな事。
鶴の生き生きとした描写。
それも野生の強さ、逞しさに満ちた立ち姿。
こんな風には我等素人の横好きには永遠に描けんですヨ、本当に(笑)。

両方の屏風の奥行き感、立体感を感じさせる空白の使い方の巧さ。
東京国立博物館の国宝「松林図屏風」と同じです。
漂う静謐感。
そして、緊張感。
この緊張感は実は、この後、池大雅与謝蕪村の屏風を見るとハッキリ分かります。

400年以上前の桃山時代の作ですから、当然汚れ、変色、剥落は避けられません。
しかし等伯の作品では、「松林図屏風」も含め、この古色が味わいや趣と言ったものを良くしていますね。

期待通りの素晴らしさです(^.^)。

3-2:
作品番号44:西湖図屏風
狩野元信

等伯より古く桃山時代の作。
彩色されていますが、これも古びいい味わいになっています。
この古び具合が今回の展覧会の展示順では大変効果的になっています。
等伯の墨一色の世界から煌びやかな彩色の世界へ一気に進まず、古びた風合いが目と心の緩衝域になり、
とても心地良く、彩色への慣れる時間になっています。

また西湖という異国情緒の画題で、一息つく効果もあります。

因みに、「西湖」は富士五湖の一つではなく、中国の方ですから「せいこ」です。

3-3:
作品番号59:十二ヵ月離合山水図屏風
池大雅

作品番号60:山水図屏風
与謝蕪村

どちらも1700年代中盤の作品。
等伯、元信の作品と比べると汚れ、退色、剥落がとても少なく、エラくキレイです。
そして彩色も淡く、湿潤な気候も表し、全体に丸い、優しい雰囲気が漂ってます。

ここで等伯の作品の緊張感が大変よく分かりました。
等伯の屏風の緊張感は、ある意味、とても写実的でいかにも自然そのものなんです。
大雅と蕪村の屏風の丸さ、優しさも自然にありますが、どちらかと言えば芸術的であり、人工的なんです。
二つの違いは良し悪しではなく、好き好きです。

この二つの対比が大変面白く、興味深い(^.^)。
大変巧い展示順と展示法です。

3-4:
展示順の効果

等伯→元信→大雅、蕪村
の順番は、
緊張感→一息つく→丸さ、穏やかさ
の変化になっています。

まず、入り口付近で等伯の緊張感に出逢い、鑑賞者は「襟を正す」です。
お、ちょっと気を抜かずに見るか、と心構えができます。
そして元信では心と目に一息。
最後、出口近くでは穏やかになれる。
出口を出て右を見れば皇居の森と日比谷のビル群の光景。

とてもよく考えられ、効果的な展示順です(^.^)。

4:
その他、出光美術館の所蔵の逸品の数々。

作品番号42:破墨山水図
雪舟等楊
室町時代

22cm×35cmの小品。
とても巧くまとめてあります、まぁ当然だけど(笑)。
これ位ならどこにでも飾れるから、欲しかったなぁ(笑)。
東京国立博物館の国宝「秋冬山水図」と比べるとエラく保存状態が良くキレイです。

その他、
田能村竹田
青木木米
富岡鉄斎
浦上玉堂
谷文晁
渡辺崋山
等々、日本画史の巨匠ばかり。
お気に入りの作品の前でしばしご堪能を、状態(^.^)。


4:
まとめ
人出もそれ程多くなく、ゆったり、ゆっくりと見て楽しめました。
展示順が素晴らしい(^.^)。

次回は『美の祝典 III 江戸絵画の華やぎ』。
館自慢の酒井抱一
「八ッ橋図屏風」
「風神雷神図屏風」
「紅白梅図屏風」
が展示されます(^.^)。

楽しみ(^.^)、楽しみ(^.^)。
待ちきれません(^.^)。




タグ 出光美術館 長谷川等伯 狩野元信 池大雅 与謝蕪村 酒井抱一 田能村竹田 青木木米 富岡鉄斎 浦上玉堂






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ジャンル : 学問・文化・芸術

『没後180年 田能村竹田』

★簡単な紹介
2015年6月20日(土)~8月2日(日)
出光美術館、東京丸の内

HP→http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html


田能村竹田と言えば、私にとっては『開運!なんでも鑑定団』なんです。
『なんでも鑑定団』は放送開始時から観てますが、私が観た限りでは、田能村竹田の本物、真筆が出たことが一度も無い。
贋作の多さから変に印象付けられてしまいました(笑)。
それに東京国立博物館にある重要文化財『西湖春景銭塘観潮図屏風』を描いた池大雅の後輩に当たり、また、同じ文人画家だから、
好感が持てます。

今迄にいくつか見たことはありますが、まとめて見るのは初めて。

だから、期待に胸を膨らませ見に行ってきました(^.^)。


1:
期待と違わず、素晴らしい!(^^)!。

1-1:
「筆使い」


池大雅と同じく、筆使いが素晴らしい、とても素晴らしい(^.^)。

例えば、小さい同じ物をいくつも描く木々や葉の描写は、集中力が途切れず形だけでなく筆圧も変わりません(@_@)。
また、広い部分を薄墨で塗り潰しても、ムラが出来ない巧さ(@_@)。
学校以外で水彩をやったことのある方なら、難しさを分かって頂けると思います。

今回驚いたのが、
展示番号:3 『春隄夜月図』(重要美術品)
墨で描いた輪郭線と同じ様に細い線の描写、これが驚異(@_@)。
ペンで描いた様に鋭い。
広重の『江戸名所百景 「おおはしあたけの夕立」』の雨の墨線にも驚きましたが、この墨の輪郭線にも息を呑む思いでした。
あの柔らかな獣毛で出来た筆でこれ程の鋭く、硬い線を引けるとは、竹田の技に完璧に圧倒されました(@_@)。

もう一つ驚いたのが、
展示番号:55 『東山図』
頼山陽の家を訪れ、飲食で歓待され、酔余で描いたのですが、使ったのが、
何と、
破れ紙!(@_@)。
東山や、林の描写はともかく、背景や近景を薄墨で塗り潰しています(@_@)。
ここでも、下手さが分かるムラが皆無(@_@)。
これにもやられました(笑)。

何たる筆使いの巧さ!(^^)!。
まぁ、180年後も作品が残る本物の芸術家ですから、これ位の技術があって当然なんでしょうが、
それでも、毎度のことですが、驚きます(@_@)。

1-2:
「雰囲気」


だからと言って、単なる絵を描く技術に秀でただけの人間ではありません。
田能村竹田も画面から雰囲気を漂わせ、放射し、見る人間の関心と心を捉えます。
その力はゴッホの様な「能弁」と言うべきものではなく、遥に穏やかですが、やはり力強さがあります。
俗世間を離れ、こういう穏やかな山や里なら行ってみたいと思わせ、見ていて飽きません。


2:
日本画と言うと、少々誇張されマンガっぽい表現が少なくありません。
だからと言って一流の絵師はそんなマンガ風の絵しか描けないのでは決してありません。

今回の竹田だと、
展示番号:41 『蘭図』

墨だけで地面に生える蘭を描いてます。
誇張が少なく西洋風な描写です。
筆に勢いがあるので、成長の躍動感があります。
解説に「蘭は高潔の象徴である」と書いてある通り、
濁りの無さ、爽やかさとでも言うべき雰囲気もあります。

大した絵師です。


3:
今回の回顧展の大部分が山水画で、基本的に同じ構図になっています。
上下にジグザグに線が出来、更に各斜線と並行する斜線が入ります。
そこへ垂直線が入り、絵によって上昇、下降の力を与えたり、安定させる錘の役目にしている作品もあります。

画面上に変に偏った力が無く、安定しています。

穏やかさを湛える絵が多いのはこの構図の安定感からも来ています。


4:
今回は竹田と関係のある人の作品も展示されていました。
展示番号:63 『新緑帯雨図』
青木木米
この方、京焼の陶工の方が本業じゃないでしょうか?
開運!なんでも鑑定団』に依頼される木米は焼き物しか出ませんからね(笑)。
この方、指先が器用だったのは間違いありません。
こんな出来のいい絵まで描かれちゃ(笑)、
大したもんです。


5:
今回の出光美術館も、大いに楽しみました!(^^)!。



タグ 田能村竹田 池大雅 青木木米 開運!なんでも鑑定団 出光美術館



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『博物館に初もうで』と『松林図屏風』

★簡単な紹介
2015年1月2日(金)~1月12日(月、祝日)
東京国立博物館
HP→http://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=dtl&cid=5&id=7633

本年第一弾の美術品巡り、東京国立博物館『博物館に初もうで』へ行ってきました。
入場料はHPだと分かりにくいんですが、
何と、
大人¥620
です。
特別展でないので、安い!(^^)!。


1:
初日2日(金)の午前中に何とか間に合いました。
いつもの様に上野駅公園口から出て横断歩道を渡り、動物園交差点(笑)で右折すると、
東京国立博物館の巨大な姿。
そして、私が嫌いな群衆(笑)。
え~、もうこんなに並んでるの(涙)、
とガッカリし、近付いて細かいところが見えるてくると、
本館前でやってる太神楽を見物してる人でした(笑)。

それでも入場券購入待ち行列は在りましたが、短く、5分程並んで買えました。
それも¥620です(笑)。


2:
国宝「松林図屏風」
長谷川等伯
(参考画像 東京国立博物館のHPから 右隻だけ→http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A10471)
今回のお目当てへ。
会場は御存じの通り日本最大級の大きさですから、来場者は暇人が多いらしく(笑)、
多かったですが気落ちする程の混み具合ではありませんでした。

それでも今回の目玉ですから、一番人気で人出が途絶える事がありませんでした。

実物を見るのは今回が初めて。
1500年代の絵で御年450歳にはなってるのに、恐ろしく保存状態がいい。
これにまず驚きました(@_@)。

全体に漂う静謐さと想像力を刺激してやまない奥行き感、立体感、
素晴らしい!(^^)!。
見ていて飽きません。
開高健先生がよく書いた名品の条件である「押し付けがましさが無い」です。

この木立ちの奥に何が在るんだろう、
この靄が晴れると何が見えるんだろう、
黒澤明の『羅生門』と同じく人の心の怪しさ、信頼出来ない事を表してるのか、
等々、いくらでも想像出来ます。

こりゃ国宝になるはずです。

この絵、花押は押してあるんですが、落款が書いてありません。

さて、気になるのが松の幹が少々真っ直ぐ過ぎる点。
特に右隻の中央、手前の松。
梢の描写がかなり写実描写なので杉並みの真っ直ぐ幹が目立ちます。
単純化してる可能性が大きいですが、何か意図がある可能性も。
どうも、分かりません(笑)。

次回見た時にまた考えてみましょう。

もう一つ気になるのは古い絵なので、汚れは避けようもなく、
薄墨なのか汚れなのか分からない部分が在ります。
出来た時は全体的にもっと明るかったのではないでしょか?

まぁ、とにかく、こんな事を考えなくてもいつまでも見ていたい絵です。


3:
『雪景山水図屏風』
狩野永祥
京狩野(きょうがのう)の十代目だそうです(1810~1886)
幕末から明治初めの絵師ですな。

題名の通り雪景色で、銀箔かプラチナ箔で覆った様な全体にキレイなベージュになってます。
これは紙の色なのか、下地として塗った顔料の色なのか、不明。
キレイな色と雰囲気のいい絵です。


4:
重要文化財『西湖春景銭塘観潮図屏風』
池大雅
(参考、画像とこの絵について↓
http://www.emuseum.jp/detail/100270/000/000?mode=simple&d_lang=ja&s_lang=ja&word=%E6%B1%A0%E5%A4%A7%E9%9B%85&class=&title=&c_e=®ion=&era=¢ury=&cptype=&owner=&pos=1&num=4)

この絵、凄いヨ(笑)。
全体にマンガっぽい描写で特に左隻の木々の描写がマジックやマーカーみたいな筆致なんで、
馬鹿にしてると足を掬われます、間違いなく(笑)。
重要文化財になっているんですから、素人が描ける様な絵であるはずありません。

『松林図屏風』の様なある種の緊張感が在る絵と違い軽い雰囲気を漂わせている絵なんです。
この「軽い雰囲気」に騙されると損しますよ、諸君(笑)。

さて、このマジック風筆致、全くムラが在りません。
一つ二つならともかく、これだけの量をムラなく描けるのですから並の技量ではありません。
隅々まで描写を一つづつ見て行くとマジック風筆致以外でも長い線描も途切れが無く、また筆圧も変わってません。

長谷川等伯と変わらぬ技量の持ち主ですよ、池大雅!(^^)!。
しかも軽い雰囲気を漂わせているんです。
凄い絵師です、池大雅

この『西湖春景銭塘観潮図屏風』のおかげで池大雅が好きになりました!(^^)!。


5:
『江戸名所百景 霞かせき』
歌川広重
(参考画像 国立国会図書館→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail002.html)

この絵がこの展覧会で一番心を動かされました。
広重と北斎の絵は構図が我等凡人には予想もつかん絵を描くんですが、この絵もその一枚。
正に「ぶっ飛んだ」絵です。
北斎と広重の浮世絵はマンガ風が多いんですが、その「マンガ風」に騙されると、これも、損します(笑)。

凧を主題にした絵、他に在るでしょうか?
凧なんかを絵の主題にしようと考えるでしょうか?
この絵の主題は、画面天辺中央の「魚」と書かれた凧です。
正確に言うと凧に付いている2本の尻尾です。
この2本の細い糸が絵に完璧な安定感を与え、絵を完成させています。

こんな構図の絵、歴史上、他に存在したでしょか?

素晴らしい、実に素晴らしい絵です。

オマケにこの糸が実に細く摺られています。
版木が山桜、木ですよ、木。
デューラーの銅版画ならこれ位摺れそうですが、浮世絵は木ですからね。
よく彫り残した部分が潰れたり崩れなかったもんです。
彫師と摺師の実力が凄いんだね。
『ボストン美術館浮世絵名品展 北斎』で見た『凱風快晴』の墨の輪郭線の細さに驚きましたが、
今回もやられました(笑)。

他に書く必要もないんですが一つ書けば、
画面中央、中景の凧は明らかに富士山を象徴してます。

言葉を奪われた一枚です。

圧倒的な力を持った絵です。

素晴らしい!(^^)!。


6:
黒田記念館
重要文化財『湖畔』
重要文化財『智・感・情』
重要文化財『舞妓』
『読書』
黒田清輝筆
(画像はHPに在り→http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1703)

ここは入場料無料(^.^)。
上の4作品の圧倒的魅力には全く敵いませんでした(涙)。




タグ 長谷川等伯 狩野永祥 池大雅 歌川広重 東京国立博物館




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Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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