特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その3 中期 「昭和初期から10年代の作品」

2013年12月7日(土)~2014年1月19日(日)
場所:大田区立郷土博物館
HP→ http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/hakubutsukan/kawasehasui_seitan_130nen_kinen.html


1:
行ってきました、「中期」も(^.^)。
どれも、これも、あれも、それも、素晴らしく、
ちと疲れたと思ったら2時間も歩き回り見てました(笑)。

夜と夕方の描写は相変わらず、文句なく素晴らしい。

NHK Eテレ「日曜美術館」で紹介された
96番 『矢口 「東京ニ十景」』
108番 『馬込の月 「東京ニ十景」』
は今回も引き続き展示されてました。


2:
版画だから実際の風景とは勿論違いますが、それでも作品の元になった風景は有り、
川瀬巴水が感銘を受ける程の風景は有ったのです。
田園風景はどれも美し出来栄えですが、実際の風景もさぞや美しかったであろうと思わせるのが、

142番 『馬入川 「東海道風景選集」』

(参考 渡邊木版美術舗 http://www.hangasw.com/shop/hasui/index6.html )


3:
巴水の風景画は人物を後姿で描いた作品が非常に多い。
その極め付けが、

170番 『相州 前川の雨 「東海道風景選集」』

(参考 渡邊木版美術舗 http://www.hangasw.com/shop/hasui/index.html )

風景画なんで人物の表情を描く必要が無いだけではなく、人物が進む方向を示し、
視線がその人物の動きを追うようにし、
絵に奥行、空間の広がりを与えています。

この絵だと、自然と道なりに画面下手へと進み、この道の先、この左カーブの先はどうなってるんだろう、
と好奇心を刺激します。


4:
同じ版木で摺りを変えた作品も見て楽しい。

152番 『清洲橋』
153番 『清洲橋』 戦後摺 濃版
154番 『清洲橋』 試摺 朱色版

177番 『暮る々雪 (江戸川)』 多色摺版
178番 『暮る々雪 (江戸川)』 藍摺版
179番 『暮る々雪 (江戸川)』 戦後再版

5:
版画なのに筆で描いた様なタッチが有るのが、

323番 『田子之浦之夕 「東海道風景選集」』

(参考 渡邊木版美術舗 http://www.hangasw.com/shop/hasui/index6.html )

手前と近景の雑草の草地、これが筆で描いたみたいなんです(@_@)。
こんな摺りの技が有るとは、素人には信じられん(@_@)。


6:
夜景が美しいのは、

185番 『夜之池畔(不忍池)』

不忍池に写る電燈やネオンサインの赤が美しい。
エラく横に広がりの有る風景ですが、昭和7年当時、東京では今と違って高い建物が非常に少なかったから
この作品位町に広がりが有り、空が広くて当然、極普通の事でした。


7:
他の作品と違い、動きが有るのが、

168番 『日光華厳之滝』

落ちる水の表現が非常に巧いんですが、
他の作品に漂う雰囲気に完全に負けています(涙)。
全然目立ちません。
落ちる水の轟音が聞こえる絵なんですけどね。


8:
墨の効果が大変素晴らしいのが、

214番 『河口湖』 前景樹木有版

213番は同じ絵で前景樹木無版ですが、作品の印象が全く違います。
墨で塗り潰した松の木が4本入ると絵に動きが現れ、物語を感じさせます。
生命感、人間の生活や命を感じる絵に変わります。
私は絶対前景樹木有版がいい。


9:
今回、最も良かったのが、

300番 『佃住吉神社 「新東京百景」』

夕景の中の鳥居、小屋、川面、洗濯物を乾かす物干し、逆光の中の街並みの遠景、
それだけの絵。
とても穏やかですが、同時にとても力強い絵です。
鳥居の存在感が強力で、正に町の鎮守様です。
そしてその鳥居とバランスを取っている細い物干し。
慎ましやかな、正直な一般庶民の暮らしぶりの象徴と考えて間違いありません。

絵の構成を考えると直線が主題の絵。
画面上手には大きな、画面半分を占める鳥居。
画面下手下半分には夕景の中に屹立する物干しの竹(か細い丸太)。
主題の鳥居を活かしバランスを取ってるのが下手下半分に有る竹製(か細い丸太)の物干し。

均衡のとれた非常に巧い絵です。

興味深いのがこの絵の原画。
この絵の重要な点は物干しの位置と向き。
鳥居の垂木が斜線になり、かなり斜めの向きの力が強いのでそれと釣り合うには、
この物干しの様な細い線では水平線と垂直線にならねばなりません。
現実の風景の中ではそんな画家が望む様な構図は、まず存在しません。
画家がバランスを取るために実際の風景を変更したり、省略したり、加えたりするものなのです。

この絵の原画の写生は、物干しの位置と向きが完成作品通りになっています(@_@)。
巴水が絵のバランスを考え、物干しを理想的な位置と向きにしたと考えると問題有りません。
ただ、他の作品の原画になる写生を見ると、そこまで考えて描いてないのが多い、と言うか殆ど。
何か巴水の心に触れる物が有り、それで描いた、と思わせる写生ばかりです。
絵としての完成度をあまり求めていなかった気がします。
だから、この写生は、ある意味、非常に不自然。
こんな完璧な絵になる風景は有り得ません。

でも、ひょっとしたらこの写生通りの風景が巴水の目の前に広がっていたのかもしれません。

こんな訳で、この写生は非常に、物凄く、気になります。
巴水の研究家か渡邊木版美術舗の大将にこの点を質問したい気持ちで一杯です。


9:
次回「後期」も絶対行くゾ。
楽しみ(^.^)、楽しみ(^.^)。



タグ 川瀬巴水 大田区立郷土博物館



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『特別展 小林古径 生誕130年記念 古径と土牛』

ふ~ん、小林古径って川瀬巴水と同じ年1883年の生まれなんだ。
ふむふむ。
古径:2月11日~1957年4月3日
巴水:5月18日~1957年11月7日
ご覧の通り亡くなった時も同じ年(@_@)。

山種美術館へ行ってきました。

あ、ところで、
小林古径は「こばやしこけい」
奥村土牛は「おくむらとぎゅう」
です(笑)。

1:
全体に、何か、イマイチ。
私の好みじゃありません。

照明が暗いためではなく、やたらと緑青と群青が目立ち、これが目障り。
緑青は多くの作品。
群青は、
16番 「白華小禽」の鳥
22番 「西行法師」の両脚の脚絆

西行法師の脚絆は両脚を強調し、諸国行脚を表す意図だとは分かるのですが、
それでもねぇ…

2:
それから誇張、変形の絵画的表現、これも好みに合わず。
色の方では、
熟した柿を描いた作品が有るんですが、葉っぱが金泥なんです。
金箔を使って金ぴかにしてないのはいいんですが、柿の実が熟す頃は柿の葉は紅葉するんです。
モミジやイチョウと違い一色ではなく、赤、朱、橙、濃赤茶、黒、緑とかが一枚の葉の中に入り、これもまた美しいんです。
それを金泥一色にするとはねぇ…

この絵にはガッカリし、絵の番号と題名さえ記憶に残ってません(溜息)。
それ以降の絵にも何か、この絵のおかげで集中出来ず、気を入れて見れず(溜息)。


3:
そんな中でも悪くなかったのが、
13番 「清姫」
の連作8枚。

安珍・清姫伝説を描いた物。

(参考→ Wiki  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E7%8F%8D%E3%83%BB%E6%B8%85%E5%A7%AB%E4%BC%9D%E8%AA%AC )

日本画の透明色を塗り重ねた透明感、お得意の霧と湿度、
これらが生み出す奥行と見通しの悪さ、
こう言った物がこの伝説の恐ろしさ、不気味さによく合っています。
(「奥行」と「見通しの悪さ」って矛盾してる様ですが、日本の湿潤気候を巧く表現しているんです。
日本の空気感を表現し、絵に奥行、立体感が有ると言う事です)

それでも蛇に変身した清姫が鐘に隠れた安珍を焼き殺す
「鐘巻」
はいかにも日本人らしく、また日本画らしく淡泊過ぎで恐ろしさ無し。
女の恋心、一念、怨念、ってこの程度か、って言う絵で全然怖くない。
油彩で怨念に満ち溢れた表現の方が絶対いいでしょう。


4:
こんな訳で、駄目でした、私には。



タグ 小林古径 奥村土牛 山種美術館



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特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その2 「前期 「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」」

この回顧展、前中後期の3回に分けて展示されます。
前期(2013年10月27日(日)~12月1日(日))は、

「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」

まずは、「前期」、行ってきました、見てきました。


1:
いや~、いいね。
版元だった渡邊木版美術画舗のHP(→ http://www.hangasw.com/shop/hasui/index.html )で見た通りの素晴らしさ。
皆欲しかった(笑)。

2:
川瀬巴水は有名な『馬込の月 「東京二十景」』(上のURLをクリックすると見られます)をはじめ夜を描いた風景画が多く、更に雨と雪の夜の風景画も多い。
いい物ばかり(^.^)。
アクセント、画面を引き締める小さな点としての月、街灯、灯火、これの使い方が絶妙でどの作品も素晴らしい(^.^)。
そして夜を表す色の透明感、これも堪りません(笑)。

今回、夜だけだと、
6番 金澤…ながれのくるわ 「旅みやげ第一集」
9番 夜の新川 「東京十二題」
42番 出雲松江(おぼろ月) 「旅みやげ第三集」
83番 尾州亀崎 「旅みやげ第三集」
99番 荒川の月 「東京二十景」
100番 瀧之川 「東京二十景」
107番 大森海岸 「東京二十景」
108番 馬込の月 「東京二十景」
112番 日光杉並木
115番 三宝字池(石神井)
127番 大宮見沼川

夜+雨または雪は、
21番 松の島の夜雨 「深川岩崎別邸 繪はがき」
13番 雪に暮るる寺嶌村(=てらしまむら) 「東京十二題」
39番 但馬城崎 「旅みやげ第三集」
48番 木曽の須原 「日本風景選集」
62番 新大橋 「東京ニ十景」
74番 狩勝峠 「浮世絵紋様集 新日本八景」
132番~134番 雨の大宮

これだけ夜が描かれるのは、照明が発達、普及してきたから。


3:
明け方、夕方の絵も多く、これもいいんだなぁ(^.^)。
夕方と明け方の光と影が美しくなる瞬間を非常に巧く切り取っています。

10番 深川上の橋 「東京十二題」
12番 木場の夕暮れ 「東京十二題」
28番 谷中の夕映 「東京十二ヶ月」
34番 越中庵谷峠
36番 大坂高津 「旅みやげ第三集」
43番 出雲松江(三日月) 「旅みやげ第三集」
49番 出雲 美保ヶ関の朝 「日本風景選集」
55番 浜町河岸 「双作版画會」
58番 歌舞伎座 「双作版画會」
61番 神田明神境内 「東京二十景」
78番 肥前 雲仙嶽 「浮世絵紋様集 新日本八景」
80番~81番 池上市之倉(夕陽) 「東京二十景」
82番 秋田土崎 「旅みやげ第三集」
86番 別府之朝 「旅みやげ第三集」
124番 裾野付近
126番 大宮氷川公園


4:
昼間の絵も勿論素晴らしい。

中々興味深かったのは、完成した作品の一部にはその下絵になったスケッチも一緒に展示された事。
見に行くか、図録(\2,000)を買って見ると分かりますが、川瀬巴水、スケッチも丁寧に描く方です。


5:
今回、「前期」の展示品で一番良かったのは、

12番 木場の夕暮れ 「東京十二題」

です。
夕暮れ時の物寂しさが漂い、この雰囲気が非常に強力で素晴らしい。

川合玉堂が奥多摩の山並みの夕方を描いた『残照』と同じ位素晴らしい(^.^)。

夕焼けの空と黒い建物の影と言うどこにでもある夕方の風景ですが、、子供の頃に誰もが一度は関心を捉えられた身近な美。
でも、何回も見る事が出来るありふれた美で、いつしかその美しさを感じなくなる夕方の風景でもあります。
しかし、そんなありふれた感動とは程遠い美でも、ある時ふと見上げると子供の頃からその美しさは全く変わってないのに気付きます。

つまり、古典的な美の典型(→変な日本語(笑))なんです。

この絵の主人公(?)、中心は、高く聳える電柱、そして煙突の様な物。
普段は画題はおろか都市の景観の中では邪魔者扱いされている物ですが、この絵の中では大変力強く、絵を引き締め、立派に主人公になっています。
こんな物でも絵の主題として使い一つの佳作を作り上げるのが川瀬巴水の実力です!(^^)!。
電柱や煙突の様な物にまで関心を向ける心掛け、大変素晴らしい(^.^)。


6:
次は「中期 「昭和初期から10年代の作品」」。
絶対行くゼ(^.^)。
楽しみ、楽しみ(^.^)。




タグ 川瀬巴水 大田区立郷土博物館



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特別展『川瀬巴水ー生誕130年記念ー』その1

な、なんと、川瀬巴水の回顧展をやる(@_@)

場所は大田区立郷土博物館
詳しくは、HPで
→ http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/hakubutsukan/kawasehasui_seitan_130nen_kinen.html 

私が川瀬巴水を知ったのは、TV東京系の『美の巨人たち』2006年1月28日放送の回で、
HP→ http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/060128/

川瀬巴水については、
Wiki→ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E7%80%AC%E5%B7%B4%E6%B0%B4

川瀬巴水の版画は現在も「後摺り」が手に入ります。
渡邊木版美術画舗
HP→ http://www.hangasw.com/shop/hasui/index.html

行くぞ(^.^)。
欲しい(^.^)。
全木版画集DVD付きなんて豪華本まで在る(^.^)。
これも欲しい(^.^)。

まずは、大田区立郷土博物館へ行くゾ(^.^)。



タグ 川瀬巴水 大田区立郷土博物館



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『カイユボット展』

ギュスターブ・カイユボットを知ったのは、最近の事。
『美の巨人たち』の2008年1月26日放送の『床を削る人々』
(→ http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/080126/ )
今年2013年10月19日放送の『ヨーロッパ橋』
(→ http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/131019/index.html )

ブリヂストン美術館で日本初の回顧展をやるって言うんで、行ってきました。
HP→ http://www.bridgestone-museum.gr.jp/caillebotte/


1:
ん~、大したこと、ないなぁ…
勿論下手ではありません。

題材が好みじゃないんです。
特に肖像画。
カイユボット自身は意識的に選んでなく、一番手頃、一番身近な人物を描いているだけなんですが。
金持ちしか描いてないんです。

江戸から明治初期にかけての日本の都会での日本人の識字率は間違い無く世界最高だったんです。
手習い(→いわゆる寺子屋)が一般的だったのでね。
同じ時代の西欧の都会より遥かに高かった。
一般市民と言うより都会の労働者階級で読み書き出来なかった人は、決して少なくなかったんです。
読み書き、教育が有るのは金持ち、ブルジョア、支配階級の証でした。

本を読むのは金持ちの証。

カイユボットが描いているのは読書をしたり、ピアノを弾いてる人物の絵。
少なくとも今回展示されている作品では。

ランプの下、テーブルを囲んで馬鈴薯を食べてる人々を描いたゴッホとは根本的に違うものがあります。

カイユボットは、登場人物の職業を医者や大学教授にすることが多かった小津安二郎の映画が気にならない人にはいいのかもしれません。

そんな訳で、駄目ですね、私には。


2:
それでも、このいけ好かない画家、才能があり、それが中々素晴らしいのも事実。
光の表現が巧く、写真の様な透明感が有る明るさを描く事が出来ます。
それが一番よく分かるのが、残念ながら今回来なかった『床を削る人々』
(→『美の巨人たち』から http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/080126/ )

今回の展示品からだと、
#4 ピアノを弾く若い男
#5 昼食
#13 室内―読む女性
#34 イエールの庭園の樹木の下の小径(→傑作!この木漏れ日の描写は息を呑みます)
#35 ペリソワール(→一人乗りの競艇用ボート)(→櫂が光の中で煌めいている!)
#51 向日葵、プティ・ジュヌヴィリエの庭(→光の中の建物の漆喰の壁、ヒマワリの花弁の煌めきと落とす影、素晴らしい)


3:
しかし、この展覧会で絵より貴重だったのは、
印象派展のカタログ(第2回、第4回、第7回)
弟マルシャルが撮った19世紀末の多数の写真
1877年製エラール社のグランドピアノ(横板は木口と板目の木目(=年輪)が繋がってるから明らかに一枚板(@_@))


4:
こんな感じで絵が大したことなく、絵以外の参考展示品にビックリの展覧会でした。



タグ カイユボット ブリヂストン美術館



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『印象派を越えて 点描の画家たち』

行ってきました、見ました。
六本木の国立新美術館の『印象派を越えて 点描の画家たち』展

HPは、
http://km2013.jp/

見たかったのはゴッホの『種まく人』。

ミレーの『種まく人』に触発されて描き、なんと、同じ題名、題材で30点程描いたとか。
その中でも抜群の1点が今回の『種まく人クレラ―=ミュラー美術館蔵。

横浜美術館で開催された『ゴッホ展 オランダ・クレラ―=ミュラー美術館所蔵』(1995年12月9日(土)から1996年2月11日(日))
(参考→ http://www.yaf.or.jp/yma/archive/2010/791.php )
にも来たんですが、遠目からでも分かる入場待ちの長蛇の列に恐れをなして2回も行って、2回とも入場しないで帰りました(笑)。


1:
まず、額縁が非常に新しく、これが異様に目立ってました。
白木で彫刻など無くシンプルなのは、まぁ、貧乏だったゴッホには相応しいと言えば相応しいですが、
絵と全く合ってなく、邪魔。
他のゴッホの絵にも同じ額が付き、同じ様に絵と全く合っていません。
クレラ―=ミュラー美術館の学芸員の美的感覚は、狂ってますゼ。

2:
それでも、絵自体は画集で見た通りの素晴らしさ(^.^)。
点描だ、分割主義だ、あーだこーだなんて言葉がいらぬ魅力に満ちています。
色使いと筆致の素晴らしさ。
そこから溢れる魅力と主張。

実際に見ると、意外と穏やかな絵です。

画面下3/4を占める畑は青系と橙系の補色で、点描から発展させと思われる筆を引いたタッチですが、
点描派と違い各色を重ねているので、色が一つづつ際立つことがありません。
色自体にも各色白を加え鮮やかさと落としてます。
もう一つは、畑の描写で、タッチを変え水平線の動きを作り、画面に安定感を与えてます。
遠景の描写も右側に緑の木立、左側に赤系の屋根の農家、つまり補色にしてバランスを取っています。
この辺が穏やかになった原因ですな。

畑のタッチも奥は細かくし、遠近感を出しています。
この辺は『糸杉』で背景の物は全て白を加えた色で描き、空気の遠近感を出したのと同じ。

全体の構成は右半分に題名の種まく人がいるので、左側に錘になる物を持って来てバランスを取ってます。
種まく人自体はバックとほぼ同じ色にして目立ち過ぎないよう、視線を捉える力を落としています。
それでも絵の要素としてはまだ強いので、絵の中心から見てほぼ反対側に黒い鳥を二羽おいてバランスを取っています。
しかし、鳥二羽だけではまだ弱く、視線の動きを種まく人から逸らす要素が必要です。
それが画面中央下部にある茶色系で描いた畝の跡、らしき物。
そうすると、二羽の黒い鳥に向かっても視線が動きます。

さて、実物を見なくてもHPの写真を見ると分かりますが、
見る人の視線は、

太陽(中央上)

種まく人(中央右)

畝の跡らしき物(中央下)

二羽の黒い鳥(中央左)

太陽(中央上)

、と動いていきます。


3:
一つ気になるのが、畑なのに畝が無く、それでも種を蒔いてる事。
こういう無駄な事を農夫がやらないのをゴッホが知らないはずありません。

たんなる農夫を描いているのではなく、これも聖書の譬えからなんです。
新約聖書のマタイ傳、マルコ傳、ヨハネ傳に出て来ますが、
この絵はマルコ傳が近いでしょう。

>聴け、種播くもの、播かんと出づ。
播くとき、路の傍らの落ちし種あり、鳥きたりて啄む。
土うすき磽地(=いしち)の落ちし種あり、土深からぬによりて、速やかに萌え出でたれど、日出でてやけ、根なき枯る。
茨の中に落ちし種あり、茨そだち塞ぎたれば、實を結ばず。
良き地の落ちし種あり、生え出でて茂り、實を結ぶこと、三十倍、六十倍、百倍せり。
(マルコ傳第四章 3節~8節)


4:
そうすると、二羽の鳥の意味も分かります。
黄金の太陽の意味も分かります。


5:
こんな解釈をしなくても、実に美しい絵です。
筆使い、色使い、溢れる雰囲気、とても素晴らしい。

でも非常に主張が強く、お喋りな絵ですから他の画家の絵を圧倒して霞ませていました。
クロード・モネ、スーラ―、モンドリアン等有名どころも有りましたが、存在感を完全に打ち消されてました。

ゴッホの代表作を並べるなんて、ある意味、ズルい(笑)。
他の絵が目立たない(笑)。



タグ 国立新美術館 印象派を越えて 点描の画家たち ゴッホ 種まく人 ミレー クレラ―=ミュラー美術館




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再興院展100年記念 速水御舟 -日本美術院の精鋭たちー

★簡単な紹介

2013年8月10日(土)~10月14日(月、祝日)

山種美術館

★感想

1:
今回は夏休みなんで、さっさと行ってきましたゼ(^.^)。

前回の川合玉堂の時と違って空いてたぁ(^.^)。


2:
御舟は「ぎょしゅう」って読みます。
「おふね」ではありませんゾ(笑)。

御舟って言えば、
まず、「名樹散椿」(=めいじゅさんちん)。
『美の巨人たち』でもやってました。
(→ 2013年3月23日放送 http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/130323/index.html )
もう一つが、「炎舞」。
これも『美の巨人たち』でやってました。
(→ 2004年11月6日 ゲ!、きゅ9年前(汗))

で、両方とも山種美術館に有るんですが、今回は、「名樹散椿」は展示されてません(涙)。
(→ 山種美術館の紹介 http://www.yamatane-museum.jp/collection/collection.html )


3:
重要文化財でもある「炎舞」。
今回の作品番号60。
見ました。
大きくない絵(120cm×52cm)で、この程度の大きさなら日本の狭小住宅にも掛けられます。
有名な絵で、ずいぶん昔から知ってますが、実物を見るのは今回が初めて。
暗黒の中の炎は色と対比の美しさで、ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール、昔のディズニーのアニメ、宮崎駿の『天空の城ラピュタ』とか
直ぐに思いつく絵は多い。

この絵も文句なく美しい。

高く上る炎の周りを蛾が何匹も舞ってる絵です。
装飾的な絵なんで、蛾はまことにキレイに描かれ図鑑の挿絵みたいです。
雰囲気は、何か、凄いですよ。
不気味って言うじゃないですが、心を捉える強力な絵です。
この絵が自宅に有ったら、何か気になってしょうがないです。

当然な事ですが、こんな絵、描けねぇーゼ(@_@)。


4:
「墨牡丹」
作品番号38
これも、昔『美の巨人たち』でやったなぁ…
(→ 2009年10月31日 http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/091031/ )
墨絵に彩色してあるんですが、花を墨で描いてあるんです。
葉や茎は緑にしてあってね。
いやぁ~、視線釘付けですよ、この絵も。
異様な迫力が有ります。
彩色、カラーなのに花が真っ黒なんですからね。
どんな絵になるか、誰にでも分かると思いますが、実際に見ると、それでも驚きます。

黒い花ねぇ…、北海道で萎れたクロユリを見たことあるけど、黒い花を絵にすると、
不思議な絵になるんですなぁ…
黒い花がほとんど自然界に無いから視線を捉える絵になる訳で、
逆に花の色が黒しかなかったら赤い花の絵は、とんでもない迫力の絵になる訳です。


5:
まぁ、こんな訳で今回も驚きの絵が何点か有りましたが、気に入った絵は別。
気に入ったのは、

作品番号9
「朧月」
下村観山
墨画淡彩

作品番号20
「山科秋」
速水御舟
彩色

5-1:
「朧月」
竹を描いた絵で、月は題名の通り気付かない位淡く描いています。
色を使ってるのは、月の光のみ。
月を描いてる訳ではありません。

竹がいい感じなんです。

それと、観山の落款が中々お茶目です(^.^)。

5-2:
「山科秋」
秋の里山を描いた絵。
群青と緑青で木々を描き、黄土で枯れた草を描いてます。
そして橙色を群青と緑青の中に点々を入れ、柿を表しています。

この橙色が非常に効果的で、絵にリズムと動きを与え絵を魅力的にしています。
そして橙色の点々が意外と美しいんです。


6:
さて、全体としては、イマイチ。
何か、自分の好みに合ってませんでした(涙)。
今回の目玉の一つ、屏風の「翠苔緑芝」も何かイマイチ。
全体にやたらと緑青が目立ってました。


7:
日本画の力強さの秘密の一つが、この緑青なのがこの展覧会で分かりました。
緑の中では珍しい膨張色で、画面から飛び出す色なんです。
ゴッホの絵と違い日本画は穏やかな絵ばかりなんですが、視線を捉えるのはこの緑青のおかげと気付きました。

だからと言って誰でも緑青を使って日本画を描けば力強い絵になるはず無し。
緑青を沢山使えばやたらと目立つばかりで、お下品な絵に成り下がります。
こういう緑を使う日本画を描くのは、色使いではかなり難しい。



タグ 速水御舟 下村観山 院展 山種美術館



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『特別展 生誕140年記念 川合玉堂 ~日本のふるさと・日本のこころ~』

『特別展 生誕140年記念 川合玉堂 ~日本のふるさと・日本のこころ~』
山種美術館
2013年6月8日(土)~8月4日(月)

HP→ http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

私の記事の中で何回か出て来た日本画家川合玉堂の回顧展に行ってきました。
それも何とか終わる前に、ヤレヤレ。

久し振りに玉堂の本物をみましたが、やはり、スゲーね。
当然だけど素人には描けん(笑)、あんな絵の数々。

1:
今回行ってまずビックリしたのは、
「ここは年金クラブか?」
(笑)

入場者の9割はどう見ても65歳以上の女性ばかり。

美術館の入場者の大部分はいつでも女性なんですが、今回は特に多い。
それも高齢者ばかり。
ジジィ共はどうした。
こういう美しい物を見ないから健康に長生き出来んのだゾ。

2:
ブリヂストン美術館、国立西洋美術館、大原美術館、に並び、
山種美術館も個人コレクションが元。
この山種美術館は山種証券創始者山崎種二のコレクションが元。
(参考→ 山種美術館HP、当館の概要 http://www.yamatane-museum.jp/aboutus/profile.html )

昔の金持ちは金の使い方を知っておりました。

堀江貴文みたいな下品な人間とは違います。

孫正儀にも美術品を収集して美術館を作って欲しいもんです。


3:
さて、川合玉堂の絵について。

3-1:
まず落款。
あの「玉堂」って言う字。

本職は画家なのに(笑)、
なんであんな力強く、カッコいい字を書けるんだろう(笑)?

玉堂の本物を初めて見たのは、国立近代美術館蔵の『彩雨』
(参考→ http://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=2716 )
1940年昭和15年の絵なのに、50年以上経った東京の都心の秋と同じ雰囲気を漂わせビックリしましたが、
落款の「玉堂」にもビックリしたなぁ…

こういう名画家が書いた素晴らしい漢字を見ると、漢字が絵から生まれたのがよく分かります。

3-2:
次に湿潤な空気。

日本画はこの玉堂と横山大観位しか知らないし、本物を見たのは玉堂のみ(汗)。
だもんで、あんまりエラソーな事、書けんのですが、でも書く(笑)。

TVや画集で見ても分かるのは、漂う雰囲気、そして空気と光。
日本在住の日本人だけあり、まず、湿潤な空気の表現は、最高です。
紙や絹の上に描かれた本物は、当然ながら驚きの表現力(@_@)。

今回の展覧会だと、

31番 渡所春暁
44番 渓谷春靄
46番 渓雨紅樹
47番 雨後山月

が素晴らしかった。

特に47番「雨後山月」は38cm×51cmとお手軽な大きさで、是非持って帰りたかった(笑)。

3-3:


「雪」と言えば、個人的には浮世絵。
広重の東海道五十三次「蒲原 夜之雪」とか川瀬巴水の「雪の向島」(参考→ http://www.hangasw.com/shop/hasui/ )
等が素晴らしく、好きですが、今回の展覧会でも視線釘付けの絵がありました。

33番 雪亭買魚
38番 雪志末久湖畔
51番 湖畔暮雪

胡粉(=日本画の白)の使い方がとても巧く、素晴らしい。
余白が多く一見白っぽいのが日本画ですが、真っ白なのは胡粉のみ。
その胡粉を雪にだけ使い、雪の白さを強調してます。
色としての強さから重さに見え、雪の重量感が伝わってきます。

この中でちょっと違うのが、51番「湖畔暮雪」
(参考→ http://utm.sankei.jpchn.glbdns.microsoft.com/life/photos/130707/art13070708480002-p3.htm )
構図からこの絵の雪が一番重く見えます。
画面左下1/4に家が5軒連なり、その屋根に雪が積もり、よく目立ち視線を掴んでます。

この絵の特徴はこの5軒の家です。
今回の展覧会の絵には珍しく直線的なリズムが有る構図になっています。

ん~、いい、しかも46cm×57cmとまたしてもお手軽な大きさ、
これも欲しい(笑)。

3-4:
夕暮れ、黄昏

毎週日曜日、『笑点』、『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』が放送される頃、
労働者が感じる物悲しさ、理由の無い不安感、

働くオヂさん、オバサン、感じるでしょう(笑)?

でも、夕方、黄昏時って働き始める以前って、それでも、不安感はなかったけど
物寂しさは感じたでしょう?
学生時代とか子供の頃、働き始めてからでも夏休みや正月休みの最初の頃とかにね。

この展覧会でもそういう絵が有りました。

54番 残照

まぁ、凄い絵です。
まず、一目で奥多摩や奥武蔵、秩父の山と分かる絵。
奥多摩の御岳に移り住んでから描いた山の風景ですから、奥多摩と分かって当然ですが、
それでも素人には描ける物じゃありません。

夕方を描いてますが、ビックリするのが、
画面から漂う物寂しさ(@_@)。

私にとって名画の条件の一つが、
雰囲気。
授業以外で絵を描いたことがある方なら分かると思いますが、
自分の描いた絵から雰囲気なんか出て来ません。

3-5:
煌めく空気

湿潤な空気を非常に巧く表している玉堂を始め日本画家。
湿潤な日本ですが、365日毎日湿潤なわけではないのは皆さん御存じの通り。
光が煌めく日も有ります。

そんな光や空気を日本画で表した絵がこの展覧会に有りました。

41番 山雨一過
(参考→ http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html )

この絵にも驚きました(@_@)。
梅雨前、雨上がりの透明な煌めく空気を描いてます。
湿気が徐々に減り、透明感を増す空気、これを見事に描いてます。

この空気感を表しているのが、よく見ると、峠の切り通しの間に有る、
遠景の山並みと湧き立つ雲。
薄い群青と胡粉が非常に効果的で、普通の人間には考え付かないのではないでしょうか?

こんな表現法、色使いが有るんだぁ…

視線と心を捉えられながら、同時にビックリしてました。
スゲー絵です。

やはり並の画家じゃありませんゼ、川合玉堂!(^^)!。


★まとめ

素晴らしい絵の数々。
川合玉堂の実力にビックリ。

非常に満足しました。



タグ 川合玉堂 山種美術館



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好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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