『愛なんていらねえよ、夏』その21

第一弾
第四話その4
光と影その1

1:
台所でレイジが咲子に言い訳を言う場面。
レイジは顔の右半分に光を受け左半分が影の中。
→半分本当、半分嘘

2:
レイジ、奈留と庭で。
> さっさと 済ませた方がいいかもね
太陽を背にして
→本当

3:
買い物中、楓、亜子に
> 亜子ちゃん 気にすることないよ
楓の顔は影の中
→ 本当

4:
亜子と五十嵐、レストランで。
4-1:
二人の座る位置がおかしい。

壁に向かう:五十嵐
壁を背にする:亜子

会社を頼むと言われる程有能な五十嵐が女を落とそうとするなら、二人の座る席は逆にするはずです。
相手を説得したり説明する場合、自分と自分が話す事に相手を集中させるために相手を壁に向かう席に着かせます。
ドラマの亜子の様に壁を背にするとどうしても回りの動きが目に入り集中力が途切れやすくなるからです。
これは営業職の基本的なテクニックで五十嵐程の人物なら知らないはずはなく、たとえ目が不自由な亜子でも危険を冒すはずがありません。
ではなぜ?
五十嵐が壁に向かい、その壁に光を当ててます。

> 好きなんだ 亜子ちゃんが

から

> お父さんが そう言った相手は嫌かな

まで
→嘘

五十嵐に嘘を吐かせるための演出です。
4-2:
次に亜子に五十嵐は拒絶されますが、次期社長を頼まれるだけあり頭の回転も悪くありません。
だから押すのを止め引きます(=譲歩)。

> ごめんね

から

> 送るから

まで
この時五十嵐は光源の方を向きません。
亜子は席を立ち五十嵐より背が低いので五十嵐も立つと亜子を見下ろさねばなりません。亜子が窓を背にしても見下ろすので五十嵐は巧い具合に窓の方を向きません。
→本当
4-3:
亜子が
> (自分の気持ちを押しつけるようなこと言わないって) 約束してくれますか

五十嵐
> うん 約束する

五十嵐の視線が下がらず窓の方を見ちゃいます。
→嘘
…この辺が素人の甘さ、っていう演出。

5:
亜子、五十嵐に家まで送ってもらい、車を挟んでお話し。
5-1:
五十嵐、次回の誘い。
影の中。
→本当
更に亜子との関係を深めるために当然誘います。
5-2:
亜子、次は私がご馳走。
光の中。
→嘘
その気が無い亜子です。
…この会話を聞いていたレイジ。光の使い方を知らないから亜子の真意が分からない(笑)。

6:
走り去った五十嵐の方を振り返る亜子。
そこにレイジがいるのを知らず微笑みます。
前には街灯、後には家の灯。
『「嘘」は「本当」』の組み合わせだから、
→嘘
6-1:
亜子は五十嵐さんも意外と単純単細胞と嘲笑気味。好意を感じた笑顔ではないと言う事。
6-2:
レイジに関して嘘と言えば亜子に対する思い。この時点で鷹園邸へ来た時の気持ちがかなり変わったと言う事でしょう。
亜子の笑顔を五十嵐との親密さ、恋心と捉え嫉妬したと考えられます。おそらく女に関しては他の男に嫉妬するのは長い間無かったはずです。また自分の才覚一つで富を築いたので他の男を羨むはずがありません。
奈留と共に鷹園邸の前に来た時の「臨機応変」と言った自信がかなり揺らぎ動揺しているに違いありません。

7:
亜子、一人で買い物。指輪を買う。

> 兄の誕生日なんです 明日

この台詞の前に亜子の後に大きなガラスドアを入れるカット。
亜子を後からレイジと奈留が見張るカットでは後から光を入れてます。
→本当
レイジのためにわざわざ一人で指輪を買いに来た亜子です。

8:
次の場面。一足先に店を出たレイジと奈留。
レイジ、無償の愛とか何とか言う。
逆光
→本当

9:
倒れた亜子。病気について医師から説明を受ける咲子、真壁、レイジ。

医師:最悪あと半年もつかどうか
咲子:ウソ
レイジ:すぐ治してやって下さい。

背景になる窓からの逆光。しかし咲子とレイジの顔左側半分に光。
→半分本当、半分嘘
9-1:
レイジに関しては、半分は恋心ですから亜子が死んじゃ困ります。残り半分は何とかタクローにうまい事言って半年延ばせば亜子の「遺産」で生き延びられます。
9-2:
咲子に関しては、白鳥礼慈の手紙を文字通り握り潰していましたから、非常に怪しい考えを心に秘めています。

10:
最後、病室のベッドに横たわる亜子。
なぜか亜子のベッドの下から照明。
→本当
亜子が言う事は本当。




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『愛なんていらねえよ、夏』その20

第一弾
第四話その3

1:
第四話でレイジを写したりレイジの視線を表わすカットでは、冒頭から揺れている映像が多い。
レイジの「ずれた感じ」と動揺を表わしてます。以下の場面です。

1-1:
冒頭、クモとクモの巣のカット。
揺れ具合からしてクモの巣に掛かったのはレイジ。

1-2:
亜子の部屋へ無断侵入したけど、咲子のおかげで無事に逃げ出し応接間にいる場面。
この次の台所で咲子に言い訳を言う時揺れないのは、言うべき事が決まっているからです。

1-3:
レイジと奈留、庭で。
「さっさと 済ませた方がいいかもね」

1-4:
タイトルバックの次、レイジがベランダで冷酒(?)を飲む。

1-5:
レイジと奈留、表参道で亜子と楓を見送る。

1-6:
レイジと奈留、亜子と楓の後を付ける。

1-7:
レイジとタクロー、アニベルセルカフェでお喋り。

1-8:
帰宅したレイジと奈留、自室で。

1-9:
レイジ、タバコを自販機で買う。

1-10:
五十嵐が亜子を家まで送って来たのを見つめるレイジ。

1-11:
レイジ、神社で季理子に五十嵐用の男を頼む。

1-12:
レイジ、一人で道を歩き奈留からの電話に出る。

1-13:
レイジと奈留、一人で出掛けた亜子を付ける。

1-14:
レイジと奈留、亜子が指輪を買うところを見てる。

…カメラの揺れが収まるのが

> 兄の誕生日なんです 明日

と亜子が言った時。


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『愛なんていらねえよ、夏』その19

第一弾
第四話その2

1:
亜子が一人でレイジのために指輪を買う場面。
1-1:

> 兄の誕生日なんです 明日

この時も音楽と効果音無し。
台詞の重大さを強調。
1-2:
指輪のパウチが赤。家族愛の象徴の色。
パウチの口を閉じる紐の留め具の色が黄色。絶望の象徴の色。
ほ~ら、この指輪の重大さがよく分かる色でしょう?

2:
それから一足先に店を出たレイジと奈留。
2-1:
目立ちませんがかなり風が強い。亜子が一人で指輪を買いに来たのはレイジのためだった事が二人の心に波風を立てている、と言う事。
2-2:
レイジ、無償の愛とかいい加減目覚ませよ、とか言う。
この時レイジと奈留の間に銀色の柱(?)を入れ二人の間に「隔たり」が出来た事を明示。
おまけにこの柱(?)に黄色を写し込み絶望も暗示。

3:
亜子がよろけて立てた「ドスッ」と言う音。
これはレイジが乗ってるゼロ戦(→レイ=ゼロ)が対空砲火を受け飛行機の運動を制御する油圧系が破壊された音。
ゼロ戦の動きを制御出来なくなったから、これ以降レイジの行き先はどこへ行くか不明。

運動能力を高めるためにエンジンの出力を上げず、代わりに装甲板をつけないで機体を軽量化したゼロ戦。
そのゼロ戦の様に撃たれ弱かったレイジです。

4:
倒れた亜子を見つめるレイジと奈留。
二人の左側に黄色の柱。再び登場絶望の色。
そして亜子が「お兄ちゃん」と言うと画面はレイジと黄色の柱。
ゼロ戦、再び被弾。黄色の画面上の面積でレイジの心の被害の大きさを明示。

5:
咲子、スーパーボールを投げ捨てる。
落ちた所は黄色のマリーゴールド。
レイジへの嫉妬です。

6:
亜子が落としたパウチ入り指輪を拾いポケットに入れるレイジ。
上から撮ったカットは格子柄の影。見えない牢屋に自ら入ってしまったレイジです。
赤い家族愛と黄色い絶望を手に入れました。
最初の計画から完全に外れました。
…おい、おい、レイジ。客の気持ちを真に受けてどうすんの?歌舞伎町最強の職業的嘘吐きなら拾う振りだけだろう?
~by 俺~

7:
次の場面。ビールを飲みながら咲子からの亜子入院の電話を待つレイジと奈留。
緑の瓶のハイネケンを飲んでます。
背景はガラス窓越しに緑豊かな木立ち。
緑→葉→成長→命
と連想しますから、亜子の無事を祈るレイジ、と言う事。



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『愛なんていらねえよ、夏』その18

第一弾
第四話その1

1:
台所でレイジの言い訳を聞く咲子。
レイジが去ると咲子がレタスを力任せに二つに割ります。
レイジと亜子の仲を引き裂こうとしています。

2:
ベッドで横になる亜子。
手にする物がスーパーボール。オルゴールから代わりました。
…レイジの女を落とす腕前に声も出ず。
~by 俺~

3:
表参道アニベルセルカフェで、レイジとタクロー、お喋り。
3-1:
二人の背景が黄色。話題が借金と命と亜子。
黄色と言えばこのドラマではマリーゴールド。マリーゴールドの有り難くない花言葉が、

嫉妬心・別れの悲しみ・悲哀・絶望

ここで初めて黄色が有り難くない事とハッキリ結ばれました。
3-2:
またここでタクローが読んでいるのがヘンリー・ミラーの『北回帰線』、新潮文庫現行版。

4:
亜子と五十嵐、レストランで。
4-1:
まず光が黄色。
亜子にしてみれば悲哀。
五十嵐にとっては、自分で言う通り亜子の心を占めるレイジが邪魔で嫉妬。
4-2:
五十嵐が亜子に好きだと告白する時に流れるのがパッフェルベルの『カノン』
この場面では音楽用語ではなくキリスト教用語の「教会の法規」や「聖典」。
つまり、一応嘘偽りはございません、と言う事。
4-3:
カメラの位置が変わり、二人の間にらせん階段が入ります。
五十嵐、一気にもう一つ上の段階まで行こうとし、その下心に薄々感付いている亜子
っていう映像。
次のらせん階段の上から撮った映像は五十嵐の背中側からですから五十嵐の視線。
と言う事は、ちょっと舞い上がってる五十嵐、です。
4-4:
五十嵐、帰ろうとする亜子の右肩を掴みます。
ん~3年間も亜子のことを知ってるのに急に掴むとはねぇ。五十嵐は亜子に対し目の不自由な人への接し方をしていません。
また亜子を席へ連れ戻す時も亜子に自分の肘を取らせません。
五十嵐の行動は怪しい。うさん臭い。

5:
神社で、レイジ、季理子に五十嵐用の女を頼む。
5-1:
最初、季理子はレイジから距離を取っています。
これはレイジが歌舞伎町最強の職業的嘘吐きである事を知っているので用心してます。
5-2:
しかも場所は俗世間を離れた神域である神社。
鳥居の先はレイジのパワースポット(笑)と考えて間違いないでしょう。
つまりどんな女でも落とせる「空間」。
だから季理子の方からレイジのいる方へ近付きません。
5-3:
この場面で季理子がはいているのが膝上丈のデニム(?)のタイトスカート。
花屋としての仕事着のパンツではなく、「女」を強調してます。
レイジに亜子殺しを確認するのを強調する衣装です。
亜子は季理子の恋敵であり、季理子はレイジが好きなのを初めて明らかにした場面です。



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最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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