一回観た後のまとめ、その2
長所編
1:
小雪1-1:
登場人物で主役は間違いなく小柳徹朗(
草なぎ剛)ですが、巧さで目立ったのは北島ゆらを演じた
小雪。
、と言うかぁ、草なぎが下手過ぎるから必要以上に横にいる
小雪の普通の演技が目立つんです。
それでも頭が良く、他人を思いやることを知り、控え目なゆら先生になっていた
小雪です。
小雪も仲間由紀恵や成海璃子と同じく声が籠り通りが悪く役者としては不利ですが、演技力があるので籠った声を十分補っています。
しかもこのドラマでは、籠った声がゆらの控え目な性格と合い欠点を巧く利用しました。
1-2:
徹朗が父親としての娘への愛情と他人への思いやりを思い出すのがこのドラマの粗筋。
そのきっかけや触媒になるのが娘の凜と凜の家庭教師北島ゆら。
しかしですなぁ、草なぎの演技力不足で存在感が弱く薄いのでゆら先生が目立ち主役はゆら先生ですよ。
2:
このドラマの一番いい点は、凜が育児怠慢により虐待の一歩手前まで行く事。
母親には見捨てられ、仕事人間の父親はほぼ育児怠慢。
ゆら先生と大山美奈子お祖母ちゃんがいなかったら徹朗は自覚しない内に境界線を越えてた恐ろしさと現実感が有ります。
実際の自動虐待はこの小柳家の様に騒動が起る事も無く気付く事も無く始まってるんじゃないでしょうか?
★この境界線を靴が踏んでいるかもしれない見えない現実感と恐怖感が大変素晴らしい。
同時に素晴らしいのが、やはり凜を虐待しなかった事。
子供特有の頑固さや意固地さに徹朗が凜を殴ってもおかしくない場面も有りましたが、殴らない脚本にした橋部敦子、この点は見事です。
3:
二人の登場人物の間に草を入れるは目新しく、中々宜しい。
3-1:
各話毎に何回も書きましたが、心が通い合えば二人の人間の「道」に草が生えるはずが有りません。
子供が幼い頃から毎日親子のこの「道」を歩けば、踏み固められ少し位の雨で崩れることもなく、ハッキリとした道になりますから、人生という「道」に迷うこともありません。
しかし人通りが途絶え、手入れを怠れば、最初に表われる崩壊の兆しが草が生える事。
3-2:
この様に解釈すると、小柳家の崩壊の危機と凜の虐待の危機を表すのに室内装飾用草の鉢植えを二人の間に入れるのは、最適。
徹朗と凜の間から草は無くなりましたが、徹朗と可奈子の間には結局無くならず復縁ならず。
3-3:
また二人の登場人物の間の草が表すのが甘え。
「家族のために一生懸命働いてるんだから、しなくてもわかるだろ?」という言い訳を草が表してます。
☆「凜のこと、ハッキリ言ったことないけど大好きなの分かりだろう?」
☆「可奈子のこと、最近忙し過ぎて何にもやってないし言ってないけど、愛してるの分かるだろう?」
☆「お爺ちゃんと孫娘なんだからお互いに好きで当然だよな」
こういう言い訳で一杯になった小柳家をこれ以上無い程表してます。
凜と義朗おじいちゃんの間に入れた草は中々強烈です。
一回や二回孫と遊んだからと言って孫から懐かれ好かれると思ったら大間違いだぜ、義朗じいちゃん、と静かにハッキリと語る草です。
3-4:
花や草で家庭を飾るのは美しく、また中々良い趣味です。
し、か、し、
飾ると言う事は、醜さ汚さを隠す事でもあります。
外面が良く体裁を繕う離婚前の小柳御夫妻には、この点からも草がお似合い。
3-5:
室内装飾用草の鉢植えは、買ってくる物。
二人の登場人物の間にある目障りな物は、買ってきた物。
つまり草が金を表し、二人の人間の間に入り二人の行き来を邪魔してます。
個人的には金なんかいらんなんて戯言は言いませんが、徹朗は金の使い方を間違ってるか、金に使われています。
仕事に追われ家族を顧みなかった徹朗でしたからね。
3-6:
★以上から分かる様に、草を使って間接的に「道」を表してます。
橋部敦子が書いた『僕の生きる道』シリーズ3作の中で「道」の重要さ、「道」を維持管理していく事の難しさを描いているのが、この『
僕と彼女と彼女の生きる道』です。
4:
小柳家のマンションロケ地
4-1:
川の横に有り、更に直ぐ近くには橋が有ります。
水の流れは時の流れを連想し、川自体は出帆を連想します。
橋は、決断や判断、変化を表す演出によく使われます。
このドラマでは川を使って登場人物が新たな人生を歩み出すのを表してますが、
橋を渡り切るカットが無いから、逆に登場人物の迷いや決断の難しさを表してます。
つまり親権問題、仕事をしながらの子育て、有名銀行を辞めた後の職探し、離婚直後の恋愛等です。
こうして考えると、小柳家の落ち着きの無さも納得させるロケ地(→俺だけ(笑)?)。
4-2:
そしてこのロケ地が一番効果を表すのが、最終話の最後のシークウェンス。
ゆらと凜と徹朗のお食事会をやるのが徹朗の勤め先のレストラン。とりあえず(笑)映像の中に橋や水が入らず、「安定」した3人の関係と状態を表し、小柳家のマンションとは違う事を表してます。
オマケにテーブルの上に有るのは草の代わりに花が少々。
※こんなところで『
僕と彼女と彼女の生きる道』第一弾、終り。
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テーマ : テレビドラマ
ジャンル : テレビ・ラジオ