『ダーティハリー2』

★簡単な紹介

○公開
1974年2月9日

○上映時間
2時間2分

○スタッフ
脚本:ジョン・ミリアス、マイケル・チミノ
演出:テッド・ポスト
撮影:フランク・スタンリー
音楽:ラロ・シフリン
プロデューサー:ロバート・デイリー

○出演
クリント・イーストウッド(ハリー・キャラハン刑事)
ハル・ホルブルック(ニール・ブリッグス警部補)
デビッド・ソール(ジョン・デイヴィス)


★評

1:
この映画はロードショーを観ました。
エラい大昔の事(遠い目付き…)
当時は本物のS&WM29をカラーで見られるのは映画しかなかったからなぁ。
今はYouTubeで空砲じゃなくて240grJHPを6連射してるのをいつでも見られるし、円高のおかげでアメリカ行くのも簡単になったからなぁ。
オマケにこの映画の冒頭で世界最強の拳銃と言ってるけど、今じゃ44Magより強力な500S&WMagを撃つS&WM500が市販されてるからなぁ。

2:
さて、この映画でもキャラハン刑事は法律を守る正義の味方です。
正義と法律を天秤に掛けると、必ず法律を守る正義の味方です。
銃撃戦の時も相手が撃ってから自分も打ち返す真面目な正義の味方です。

法が裁けないから自分で処刑したりしません。
こういう事をやるのは、今回は敵役の警官達です。
相変わらず生真面目で馬鹿正直なハリー・キャラハン刑事です。

昔は分かりませんでしたが、最近改めて観ると非常に好ましい人物設定なのが分かりました。

やはりイーストウッドは銃に関しては穏健派であり、更に推し進めると軍や戦争についても穏健派なのが分かります。

3:
この映画でいいのは、キャラハン刑事が相手が撃ってから撃ち返してるのに暴力刑事と非難されてる点。
しかも、上司が弁護してません。
警官が銃を撃つと言う現象だけを取り上げ、状況を調べようともしないし、撃った理由も調べない無責任な、そして誰かに利用されていると思われて仕方ない報道陣を表しています。
警察の記者クラブで発表される事を垂れ流すだけの日本のTV、ラジオ、大手全国紙と大して変わらんね。

4:
でも、この映画の犯人グループは、アホ過ぎです。
ネタバレになりますが、奴らは警官なのに証拠を現場に残す、残す、残す(溜息)。
靴の跡、タイアの跡、S&WM76の空薬きょう…
白バイ警官でヘルメットとサングラスで人相を隠してるだけで十分のはずありません(涙)。
それから、リボルバーにサイレンサー(→正確に言うと音を消すことは出来ず音量を下げるだけだから、「サウンド・サプレッサー」が正しい)
を使って銃声を小さくしていますが、これは現実的には絶対不可能。
なぜなら銃身の後端と弾が入るシリンダーの前面の間に隙間が有り、そこから発射ガスと音が漏れるから。
ま、この手の間違いはこの映画だけではありません。

5:
終盤、逃げるキャラハン刑事がウェストパシフィック鉄道の貨物駅のプラットフォームへ車で突進しますが、
そこで積み込み中の物がレタス。
『エデンの東』だゼ(笑)。

6:
銃の事を。
6-1:
屋外射撃場のシークウェンスはSFPDの射撃場を実際に使いました。
キャラハン刑事とデイヴィス警官が実戦射撃をやるセットもそこに作られ、少なくとも1979年迄は残されていました。
(→参考、月刊Gun誌1979年8月号。因みに、この二人にマグナムリボルバーの使い方を指導したビル・ラングロイ警官がそこでモデルをやってます)
(また、翌9月号ではラングロイ警官が実戦のコンバットシューティングのデモンストレイションをやってます)
6-2:
今回キャラハン刑事と白バイ警官達がリボルバーの弾を6発一度に替えてますが、あのお道具を「スピードローダー」(=「リローダー」)と言います。
その存在が日本の銃ヲタクに広く知れ渡ったのは間違いなくこの映画以降の事でしょう。
6-3:
終盤ブリッグス警部補にキャラハン刑事が弾を捨てろと言われ、この時スピードローダーにセットされた44magが写ります。
そしてこの弾を捨てさせるカットに、室内射撃場でキャラハン刑事が白バイ警官達に44Magの「軽装弾」を使ってると言った台詞が繋がってます。
今回観直して気付いたのですが、これ程巧く銃を描写した映画やドラマは観たことありません。
ではその説明を。

キャラハン刑事が捨てた弾は、弾頭の色と形状から鉛の鋳物の「セミワッドカッター」であるのが分かります。
この弾頭は薬きょうに近い部分に段差を付け紙の標的にキレイに丸い穴を開け、弾着点を分かりやすくした練習や競技用の弾頭です。
鉛だけの弾頭は、鉛を芯にして銅のジャケットを被せたジャケット弾よりも発射ガスの高温で溶けやすいので火薬を減らし低速(=低威力)にして使います。
人間みたいに皮膚が薄く弱く、皮下脂肪も少ない動物には鉛より硬い銅のジャケットを使った弾頭は必要無く、鉛の弾頭で十分な殺傷力があります。
また鉛の弾頭にはセミワッドカッターの「本家」に当たる「ワッドカッター」も有り、これは薬きょうに全て埋まります。
競技ならあまり問題はないのですが、実戦の場合、薬きょうの先端から弾頭が出ていて、しかも徐々に細くなっているセミワッドカッターの方が有利になります。
弾頭を含めた弾の先端がシリンダーに開けられたチェンバーよりかなり細いので入れやすくなるからです。
実戦の場合、リボルバーで弾の詰め替え中は銃を撃てないので丸腰の時間を出来るだけ短くしたいからです。

これでお分かりになったと思います。
キャラハン刑事は台詞通り「軽装弾」を使い、しかも実戦で弾の詰め替えの不利を少しでも少なくする弾頭を選んでいます。
実戦に即した名射手であり、非常に優秀な刑事である事をこのたった一つのカットで表しています。

素晴らしい。見事です。

セミワッドカッターを使わせたのは、SFPDの現職だったビル・ラングロイ警官に間違いないでしょう。

7:
さて、今回もキャラハン刑事はあまりスーツを着てません。
どんなもんを着てたかまとめると、

a:ハイジャック犯を一人で始末する前
→へリングボーン(灰色、黒のエルボーパッチ付き)+灰色パンツ
b:プールでの大量殺人の次、チャーリーの別居している奥方の家、荒物スーパーの強盗退治、
→茶色ジャケット+タンパンツ
c :黒人の売春元締め殺害の次、自宅に戻った時、死体置き場、
→へリングボーン(灰色、黒のエルボーパッチ付き)+多分タンパンツ
d:弾頭の鑑識、黒人ヒモの車を使った検証、パランシオの監視役、
→ダークスーツみたい(→パンツ映らず、色は多分無彩色)
e:チャーリー、ガズマン殺害の次、ブリッグス警部補の部屋、
→へリングボーン(灰色、エルボーパッチ無し)+タンパンツ
f:空港でチャーリーの遺族をデイヴィス警官と見送る、
→ダークスーツ(→多分無彩色)
g:射撃大会後弾頭を検査の次、ブリッグス警部補にライフルマークを見せる、
→へリングボーン(灰色、黒のエルボーパッチ付き)+濃灰色パンツ
h:デイヴィスとスィートを引き連れパランシオのアジトで大捕り物、犯人グループがついにキャラハン刑事に接触、郵便受けに爆弾発見、
→へリングボーン(灰色、エルボーパッチ無し)+タンパンツ
I:続いて、犯人グループと対決、最後迄
→へリングボーン(灰色、エルボーパッチ無し)+タンパンツ、ネクタイ無し

ジャケットには意味を持たせてないと捉えていいでしょう。
スーツの方は、これは有りますな。
「d」と「f」で警察官が関わっているかもしれないとキャラハン刑事は思います。
ダークスーツは、日本とは違い喪服にも使えますますから「別れ」を意味します。
何と「別れ」でしょう?
「警官を信じる事」です。
「d」のパラシオンの監視は「h」の銃撃戦になった原因のタレこみに繋がります。

タグ ダーティハリー クリント・イーストウッド S&WM29 44マグナム ハリー・キャラハン


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No title

今日のNHKBSで観たのですが、不自然な箇所があったので誰かに言いたくて書き込みます。
プールのヌーディスト達を虐殺する場面で水中爆弾が破裂して最後にプール全景のカットで左中奥に右手で合図おくる不自然な半裸男が写り込んでます。
スタッフなんでしょうかね?
態度が冷静なんでおかしすぎます。

Re: No title

> 今日のNHKBSで観たのですが、不自然な箇所があったので誰かに言いたくて書き込みます。
> プールのヌーディスト達を虐殺する場面で水中爆弾が破裂して最後にプール全景のカットで左中奥に右手で合図おくる不自然な半裸男が写り込んでます。
> スタッフなんでしょうかね?
> 態度が冷静なんでおかしすぎます。

コメント、ありがとうございます。
『ダーティハリー2』は全作入ったコレクターズBOXDVDで観たんですが、手放してしまい現在確認出来ません(涙)。
『ダーティハリー』と『ダーティハリー2』はBDを買う予定なので手に入れたら確認してみましょう。

それから、お名前に「通りすがり」の使用はご遠慮下さい。
"PASSERBY"も同様。
プロフィール

Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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