『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』

★簡単な紹介

2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月、祝)

東京都美術館

HP→http://gogh-japan.jp/


○前口上

最近見た驚異の画才人、絵心人、美術心人は運慶と北斎。
酒井抱一の色彩感覚の秀逸振り、抜群振りは記憶通り。

これらの日本の狂人的秀逸美術人に匹敵する白人美術人は、
フェルメール、カラヴァッジョ、エッシャー、そして、
ファン・ゴッホ
位だなぁ。

アメリカの二大巨頭、
ニューイングランドの風景を画面に再現したアンドルー・ワイエス、
バレーの動きを切り出し画面の上に定着させたボッブ(=ロバート)・ハインデル
も悪くはないんです。
が、ワイエスは絵が冷た過ぎ。
ハインデルはとても素晴らしい。
が、敢て言えば(笑)、
自由奔放な発想が無い、
と言っても、無くても凄くいい(笑)。

40年前から好きなファン・ゴッホなんで、いそいそと上野へ行ってきました。
日本では100年以上前から人気があるんで、金曜日の夜にしました。


1:
ん~、この展覧会も、何かなぁ…

今回は、浮世絵にビックリ仰天したパリ時代以降の作品と広重、北斎他と少々。
明るい色彩の時代。

悪い絵は無いんですが、視線と心を釘付けにする作品が無い。
一流の絵ばかりです。
しかし、超一流は無し。
90点の絵はあっても、98点以上の絵は無い、って事。
マンハッタンのメトロポリタン美術館の「糸杉」に匹敵する絵は来ませんでした。


2:
作品番号:49
「種まく人」
ファン・ゴッホ美術館蔵

は、

作品番号:11
「名所江戸百景 亀戸梅屋鋪」
歌川広重
中右コレクション

に触発されたのに間違い無し。
「種まく人」の中でも、有名な一枚。
40年前から知ってる一枚。
実物を見るのは今回が初めて。

「亀戸梅屋鋪」が先に展示され、この「種まく人」へと向かいます。
ダメ、この絵。
ファン・ゴッホが広重に完敗。
先に広重を見ちゃうんで、余計にファン・ゴッホの粗が目立ちます(溜息)。

農夫と木の幹が作る三角形、ピラミッド型構図。
この画面右側に来る木に説得力が無い。
畑の中に生えているとしか見えません。
畑の真ん中にこんな大きな木が生えているはずがありません。

「亀戸梅屋鋪」は梅林を描いていますから、画面手前にあれだけ大きな木が来てもおかしくありません。

つまり、ファン・ゴッホにとって、広重の「亀戸梅屋鋪」は自分の構図のおかしさを考えさせない程衝撃だった、という事でしょう。


3:
心に響かない絵ばかりなのは、一巡すると理由が分かりました。
明るい色使いばかりですが、不透明色なので全体に重くなっている絵が殆ど。
宮川香山の高浮彫と同じく、見ていて疲れます。

そんな中で、不透明色で画面を埋めながらも重くなっていなかったのが、

作品番号:89
「草むらの中の幹」
クレラ―=ミュラー美術館蔵

これは、違ってました。
良かった(^.^)。


それにしても、なぜ不透明色を使った絵ばかりなのでしょう?
明度を上げるためにやった様な気がします。
明るいプロヴァンスを表現するため、かなぁ…


4:
透明色を主に使った作品が数点。
奥行き感と光の輝きがあります。

作品番号:25
「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」
ポーラ美術館蔵

作品番号:88
「下草とキヅタのある幹」
ファン・ゴッホ美術館

この2点は良かった(^.^)。


5:
NHKEテレの日曜美術館(2017年9月17日(日))で放送された、古賀陽子画伯が復元した絵も展示されました。

作品番号:47
「水夫と恋人」
個人蔵

この絵の大部分が失われ、この絵について書かれた手紙をもとに復元。

放送を観た時から、こりゃダメだと思いましたが、実物を見ると違いは明らか。
やはり、筆の動きが躊躇いがあり、勢いがありません。

この絵が一番ダメだった(笑)、
まぁ、当然だよなぁ。


6:
クレラ―=ミュラー美術館蔵作品の新しい額。
2013年、国立新美術館でやった『印象派を越えて 点描の画家たち』にクレラ―=ミュラー美術館の「種まく人」が来て、
その額が新しく、変に目立ち、非常に目障りでした。
(参考、私の記事→https://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1556.html)

今回も同じで、目障りでした(溜息)。
不透明色を使った重い絵が多いだけでなく、目障りな額まで多いので、展覧会がイマイチなのも納得。

ただ、この額も50年経てば、古色を帯び、存在感を消し、良くなるでしょう。


7:
さて、お土産(^.^)。

いつものクリアファイルは、「画家としての自画像」、「種まく人」、「寝室」、開くダブルタイプ、
そして、「アイリス咲くアルル風景」。
「アイリス咲くアルル風景」の実物はイマイチですが、クリアファイルになるとトリミングされ、
更に重さが無くなり、ぐっと良くなってます。

それから、この展覧会独自のマグカップはありませんでしたが、
ファン・ゴッホ美術館のマグが来ていて、「灰色のフエルト帽」と絵が来ていた「寝室」を買いました。


8:
まとめ

文句は書いても、出来はいいです、ハイ(笑)。
ただ、ここ5年程展覧会巡りをして、逸品、名品を見る経験が増えたんで、
少々出来がいいのでは、満足出来なくなりました(溜息)。

白を加えて明度を上げ、プロヴァンスの光と空気と色を表現しようとした様ですが、
イマイチ。
絵が重くなってしまいました。
岡倉天心が横山大観、下村観山や菱田春草等に湿潤な日本の空気を表わせと命じ、何とか先人達は表現しました。
ファン・ゴッホ程の実力者なら、不可能ではなかったと思います。

早過ぎたファン・ゴッホの死が惜しまれるばかりです。






タグ ファン・ゴッホ






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『葛飾北斎 富嶽三十六景 奇想のカラクリ』

★簡単な紹介

2017年9月30日(土)~10月29日(日)

太田記念美術館

HP→http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/katsushikahokusai


○前口上
北斎の富嶽三十六景、46枚全揃い、「最高」以外に何があります(笑)?
バラでは見たことはありますが、全て揃えて見るのは初めてだし、JR原宿駅から非常に近いから、
いそいそと見に行きました(^.^)。

視線と心を捉えた作品は、今回は次の4点。
画像はネット上にありますので、そちらを参照して下さい。


1:
「東海道程ヶ谷」(とうかいどうほどがや)

現在の神奈川県の横浜市保土ヶ谷です。
近景に松の木8本を描き、画面を八分割(@_@)。
こんなに松を描いたら、主題と主役が散漫になり、弱い絵になりそうなものですが、
なってない(笑)。
主題は富士山じゃないの(笑)?
オマケに松が8本もあって、ゴチャゴチャしたうるさい絵になりそうですが、
なってない(笑)。

一見簡単そうな絵ですが、卓越した構図の絵。
遠近感と空間感覚が非常に見事です。

画狂老人、天才だ(^.^)。


2:
「甲州三嶋越」

画面の真ん中に太い巨木。
その画面左側に富士山。
巨木の幹に上には傘の様なベロ藍の空。

使っている色は、藍、緑、墨の3色、
各色の濃淡。

改めてジックリ落ち着いて見ると、何だこの絵(笑)?
主題は巨木なのか、富士山なのか、う~ん、分からん(笑)。
それでも、見続けていたい強力な絵。

素晴らしい(^.^)。

画狂老人、天才(^.^)!


3:
「甲州石班沢」(こうしゅうかじかざわ)

この絵は漁師が持つ投網の綱。
これ以外に無し。
物凄く強力な力を放っています(笑)。
人類藝術史上最強の墨線です。
フェルメールが描いた「天文学者」の右腕の強力無比に匹敵しています。
単純さから考えれば、「甲州石班沢」の方が強い。

とんでもない画面構成力です。

画狂老人、この才能はやはり常人ではなく「狂人」(笑)。


4:
「登戸浦」

現在の千葉市中央区の海岸だとか。
川崎市多摩区、多摩川端のJRと小田急の駅がある所ではありません(笑)。
富嶽三十六景はテレビ、ネット、本、展覧会で一通り見たはずですが、
この「登戸浦」はなぜか、記憶にありませんでした。

この絵、狂ってます(笑)。
構図がおかしい。
遠近法に則していません、無視しています。
中央の鳥居がおかしい。

横木の笠木、島木、貫が地平線の上にあるので、「右下がり」になるべきなのに、
「右上がり」になっている(@_@)。

画面上の富士山と相似形(=同じ)三角形を作るために、鳥居の柱、貫、そして地平線で三角形を作っています。
画面構成のために遠近法を完全に無視しています。
そのため、どうも見ていると狂っていておかしい。
しかしながら、ここで画狂老人が実力を発揮し、絵が崩れるのを防いでいます。
絵として成立しているんです。

その理由、原因は何か?
分からん(笑)。
30分程見ていたんですが、よく分かりません。
線的な構図を辿ってもそのおかげでもない様だし、
色の使い分けと面積でバランスを取っている様でもありません。

他の絵だと、10分も見ていれば構図や構成、バランスの取り方等、分かるんですが、
この「登戸浦」には、私CYPRESS、完敗(笑)。
どうも分かりません。
常人が狂人とも言うべき天才に敵うはずがありません(笑)。

こういう絵を「魅力的」と言います。
「魅」は物の気、物の怪、もののけの意。
何だかわからんけど、見惚れてしまう。
不思議この上ない絵です。

天才だよなぁ、画狂老人(笑)。


5:
まとめ

今回は心と視線と捉えた4点だけ書きましたが、
残りも同じ様に素晴らしい。

改めて実感しました、
人類史上最高の芸術家であり、絵師です、
画狂老人(^.^)。






タグ 葛飾北斎 画狂老人 富嶽三十六景





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『興福寺中金堂再建記念特別展 運慶』

★簡単な紹介

2017年9月26日(火)~11月26日(日)

東京国立博物館
平成館

HP→http://unkei2017.jp/


○前口上

雨の中、東京国立博物館へ。
俗世と穢土から芸術と言う異界へ。
その雰囲気を盛り立てる最高の気象条件、雨(笑)。
いや、本当に雨の方が上野駅からの道のりが感じ良くなるんです。

運慶と言えば、まずは、東大寺南大門の金剛力士像、阿形、吽形の二体かなぁ。
その大昔(笑)、大阪南部に住んでいました。
中学の夏休みの課題で奈良の文化、歴史、芸術等を調べると言うのが出ました。
電車で1時間強で行ける所だったので、出たんじゃないでしょうか?
ざっと調べると、なぜか、「東大寺南大門金剛力士像」に興味が湧き、これに決定。
近鉄に乗って見に行きました。
デカかった、当然ね(笑)。
ただ見ただけじゃ何にも書けんので、何か資料とか本とかないかと、
東大寺の方に聞くと、図書館があるけど夏休みで閉まってるよとの事。
ありゃりゃ~(涙)。
今と違ってネットは無いし、学校の図書館にはそれらしい本もないし、
中学生にどうやって調べるか分かるはずもなく大した事を書けませんでした。
それでも、木彫には一木彫と各部を別の材で作り組み上げる寄木造りがあるのをその時学び、今でも覚えています。
東大寺の金剛力士像は寄木造りです。

45年振りに運慶と再会、であります。

運慶や木彫、仏像についてはこの程度の知識でほぼ無知蒙昧であり、
立体物、3Dにはあまり心を動かされん私CYPRESSですが、
今回は、再び圧倒され、その快感を十分味わいました(笑)。

最初に書きます、
物凄く良かった(^.^)

同じ場所でやった『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』(2017年4月11日(火)~6月4日(日))
と同じ位衝撃的であり、同じ位良かった(^.^)。


1:
まず、
第1章
運慶を生んだ系譜 - 康慶から運慶へ」
へ足を運びました。

最初が、
作品番号:1
「阿弥陀如来および両脇侍坐像」
奈良県、長岳寺
重要文化財

仏さんなんで、まぁ、心に引っ掛かるもの無し。

ところが、その隣
作品番号:2
「毘沙門天立像」
東京国立博物館
重要文化財

を見ると、「おや?」
悪くない。

更に進むと、

作品番号:8
「法相六祖坐像」(ほっそうろくそざぞう)
奈良県、興福寺
康慶
国宝

運慶の父、康慶の作。
写実描写の上人様六体。
この辺りから、作品の漂わせる雰囲気を感じられるようになりました。
俗世に対し、怒るか、悲しむか、愚かさに笑いを感じているか、仏法を広め対峙しようとしているか、
一人一人違っているのを表現している様です。

作品番号:7
「四天王立像」
奈良県、興福寺
康慶
重要文化財

四人とは、
持国天立像
増長天立像
多聞天立像
広目天立像

これが、「おお!」
いやぁ、カッコいいんだ、四天王が(^.^)。


2:
順番に進むと、

第2章
「運慶の彫刻 - その独創性」

2-1:
作品番号:9
「毘沙門天立像」
静岡県、願成就院
運慶作
国宝

か、かっけぇ~(^.^)。

作品番号:13
「毘沙門天立像」
神奈川県、浄楽寺
運慶作
重要文化財

これも、カッコ宜しい(^.^)。

二体の毘沙門天、おとっつぁんの康慶作四天王像と違い表情の誇張が減り、
人間ぽさがあります。
おかげで存在感が強まってます。

2-2:
作品番号:18
「八大童子立像」
和歌山県、金剛峰寺
運慶作
国宝

八大童子と言いながらも、実数は六体。
内訳は、
烏倶婆誐童子(うぐばがどうじ)
清浄比丘童子(しょうじょうどうじ)
恵喜童子(えきどうじ)
矜羯羅童子(こんがらどうじ)
制多伽童子(せいたかどうじ)
恵光童子(えこうどうじ)

それぞれ表情と全体の雰囲気が違います。
どれもがとても人間的です。
おっかない不動明王風なのは烏倶婆誐童子(うぐばがどうじ)のみ。
八大童子立像で気付いたのは、目。
全て水晶を使った玉眼です。
水晶に瞳を描いてます。
どの目もそれぞれの像の表情と雰囲気と合っています。
瞳の大きさが違っています。
おっかない系の烏倶婆誐童子(うぐばがどうじ)と恵光童子(えこうどうじ)は小さ目。
穏やか系の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多伽童子(えいたかどうじ)は大き目。

像の目を入れる、描くのはとても難しい。
プラモデルやフィギュアで目を描いたことがある方なら分かると思います。
それをこれ程違和感や不自然さ無しで描き、嵌め込めるとは…(溜息)。

そして、この八大童子立像で完全に運慶の魅力に嵌まりました(笑)。
不思議な存在感を放射しているのです。
実際にはこんな童子達は存在しませんが、彼等の人生の一瞬を切り取り止めた様な存在感があるのです。

2回目に見た時には、康慶の誇張され表情との違いも漸く(笑)、分かりました。

2-3:
作品番号:20
「無著菩薩立像」(むじゃくぼさつりゅうぞう)
「世親菩薩立像」(せしんぼさつりゅうぞう)
奈良県、興福寺
運慶作
国宝

この老人二人の存在感、何なんでしょう(笑)?
彫刻については、私CYPRESS、無知蒙昧ですから、ただただ圧倒されるだけ(笑)。
またしても、二人の人生の一瞬を切り取り、切り出し、800年後まで残しているのです。


作品番号:21
「四天王立像」
奈良県、興福寺
国宝

四天王の内訳は、
作品番号:7
と同じく、

多聞天立像
持国天立像
増長天立像
広目天立像

おとっつぁん康慶の作より、力強いんじゃないだろうか?
四体全て素晴らしい(^.^)。
特に左腕を揚げる多聞天の力強さ、カッコ良さ、存在感、躍動感、
ただただ、圧倒されるばかり(笑)。
こう言った物を作るのは、明らかに、男の子(笑)。
女の感性ではありません。

現在のマンガ、アニメ、そしてゲームの原点は歌川国芳にあると思ってしましたが、
いやいや、更に遡り、この康慶、運慶、湛慶の慶派にあるんです。
また、歌舞伎の見得を切る演技も同様。
と言っても、参考にすると言う意味ではなく、発想が変わっていない、と言う事です。
800年前から変わっていないんです(溜息)。

この四体、残念なのは、作者が運慶と確定出来ない点。


3:
第3章
「運慶風の展開 - 運慶の息子と周辺の仏師」

この辺に来ると、魅力に酔い(笑)、くらくらしてきました(笑)。

3-1:
作品番号:27
「重源上人坐像」
奈良県、東大寺
国宝

はい、このお爺も、その年齢にもかかわらず(笑)、とんでもない存在感。
写実描写ですが、そのための存在感とは思えません。

1180年(治承4年)、平清盛の息子平重衡(たいらのしげひら)は父の命により、
南都(=奈良)の東大寺、興福寺等の仏教寺院を焼き討ち。
その東大寺の復興に尽力したのが、この重源上人だそうです。
これだけの像を残されたのですから、どれ程奮闘したか、明らかでしょう。

3-2:
作品番号:29
「四天王立像」
京都府、海住山寺
重要文化財

内訳は、同じく
持国天立像(36.7cm)
増長天立像(38.3cm)
多聞天立像(35.8cm)
広目天立像(36.5cm)

軌跡の保存状態(@_@)。
彩色がかなり残ってます。

これは小さい。
だから、欲しい(笑)。
これ、フィギュアですよ、フィギュア。
なんちゃら戦隊の四大ヒーローです(笑)。
すんげぇ、カッコいい(^.^)。

現代のフィギュア作家、造形作家、プロモデラー、腕自慢素人、
これだけの物を作れますかな?

3-3:
作品番号:35
「天燈鬼立像」(77.9cm)
「龍燈鬼立像」(77.3cm)(康弁作)
奈良県、興福寺
国宝

慶派の作品と言えば、東大寺の金剛力士像二体と、
この天燈鬼立像と龍燈鬼立像、
少なくとも私CYPRESSにとってはね。

意外と小さく、その分、存在感がとても強い。
何やら異様な迫力があります。
そう、いつ動き出してもおかしくない生命感に満ちています。
邪鬼の人生の一瞬を切り抜き、切り出し永遠に止めた人類の至宝。

素晴らしい作品です。

3-4:
作品番号:36
「十二神将立像」のうち
辰神(しんしん)、巳神(ししん)、未神(みしん)、申神(しんしん)、戌神(じゅつしん)
京都府、浄瑠璃寺伝来
東京国立博物館
重要文化財

作品番号:37
「十二神将立像」のうち
子神(ししん)、丑神(ちゅうしん)、寅神(いんしん)、卯神(ぼうしん)、午神(ごしん)、酉神(ゆうしん)、亥神(がいしん)
京都府、浄瑠璃寺伝来
東京都、静嘉堂文庫美術館
重要文化財

十二体全て揃うのは、42年振りだとか。

表情と雰囲気が多彩(^.^)。
その中でも呆気に取れれたのは、午神(ごしん)。
何と、頬杖を突いている(@_@)。
十二神将は薬師如来の眷属だとか。
神様ですよ、神様。
神様が頬杖を突いている(@_@)。
いいんでしょうか(笑)?


4:
まとめ

4-1:
一回見終ると再び『第1章「運慶を生んだ系譜 - 康慶から運慶へ」』の入口へ。
二回目が終ると再び再び『第1章「運慶を生んだ系譜 - 康慶から運慶へ」』の入口へ(笑)。
三回見るととりあえず満足し、時計を見ると、何と、2時間も経っていた(@_@)。
1時間位かと思っていました(笑)。

ミュージアムショップへ。
まずは、毎度お馴染みクリアファイル。
今回6種類もあり、ダブルも1種類あり。
全部買いました(笑)。
天燈鬼立像+龍燈鬼立像は写真がエラくカッコいい(^.^)。

展覧会へ行ってもまず買わない図録、今回は買いました。
本は買い始めたり、集め始めると無制限に増えるんで、この手の本は買わないようにしてるんですが、
これは買わずにはおれんでした。
それだけ、運慶展は衝撃的でありました(笑)。

4-2:
今回も『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』(2017年4月11日(火)~6月4日(日))と同様に
展示法が巧かった。
最初におとっつぁん康慶の四天王立像(作品番号:7)があり、角を曲がると運慶の毘沙門天立像(作品番号:9)があります。
誇張した形式的な表情の康慶と人間的な表情の運慶の差、違いがよく分かり、大変効果的でした。

また、大日如来などの仏様、毘沙門天等の仏神、上人様を交互に展示し、
違いが自然に強調され、互いに引き立て合い、
それぞれの特徴、個性、良さがより分かりやすくなってます。
この展示法が最も効果的だったのが、

作品番号:20
「無著菩薩立像」(むじゃくぼさつりゅうぞう)
「世親菩薩立像」(せしんぼさつりゅうぞう)
奈良県、興福寺
運慶作
国宝

作品番号:21
「四天王立像」
奈良県、興福寺
国宝

です。

4-3:
そして、康慶、運慶、湛慶、男の子です(笑)。
あの感性は男の子です。

The difference between men and boys is the price of their toys.
(男と少年の違いはオモチャの値段)

を思い出しました。

現代のマンガ、アニメ、ゲームの原点であり、歌舞伎の原点でもあります。

4-4:
これだけの実力と心のある慶派ですから、
仏像以外の作品も作って欲しかった。
市井の人々、母と子供、喜怒哀楽、どんな表現をしたでしょうか?

4-5:
個人的には今年2017年の展覧会で一番、最高になるのは間違いありません。
お勧めです。






タグ 運慶 康慶 湛慶






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『江戸の琳派芸術』

★簡単な紹介

2017年9月16日(土)~11月5日(日)

出光美術館

HP→http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/


久し振りに出光美術館へ、


1:
酒井抱一鈴木其一に代表される江戸琳派。
好きだから悪いはずありません(笑)。


2:
江戸の琳派と言う事ですが、酒井抱一の作品の方が多く、全36点中17点。
鈴木其一が11点。
改めて見ると、酒井抱一の作には気品があり、上品です。


3:
今回展示された作品の中で、最も気品に満ちていたのは、

作品番号:30
「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」
出光美術館

昨年2016年、出光美術館開館50周年『美の祝典 III 江戸絵画の華やぎ』で初めて見てビックリした屏風。
派手な色、色使いとは無縁でありながらも、華やぎ、同時に、上品さも忘れていない逸品。
欧米でこの様な色使いの絵を描ける絵師はいるでしょうか?
私が見た絵師のなかではフェルメール、カラヴァッジョ、ラ・トゥールが描けそうですが、無理だろうなぁ。
自己顕示欲や主張が強い欧米人には、自分を抑え対象や題材を引き出す事は非常に難しいのでは?

今回改めて見ると、左隻右端に描かれたひまわり(のハズ。日本には1600年代に伝来)。
12扇に描かれた花の中で、背景との色、彩度の差が最も小さいにもかかわらず、非常に目立ち、飛び出す様な立体感があります(@_@)。
正に夏、生物が成長する夏を象徴しています。

視線と心を釘付けにする絵で、気品と華やぎに満ち、
日本を代表する絵画であり、人類美術史上に残る傑作です。

よく見ると華やぎと上品を生み出す技の一つがたらし込みだと分かってきました。
そのたらし込みの効果がよく分かるのが、次の、


4:
「第4章 <琳派>を結ぶ花 - 立葵図にみる流派の系譜」
酒井抱一の絵画力を計らずも示したのが、立葵図です。

立葵を題材にした絵が4点

作品番号:25
「芙蓉図屏風」
尾形光琳

作品番号:26
「立葵図」
尾形乾山

作品番号:27
「立葵図」
酒井抱一

作品番号:28
「立葵図」
酒井抱一

作品番号:29
「立葵図」
鈴木其一

3人が描いた立葵が揃いました。
尾形兄弟の作は伝になっています。


抜群なのが、酒井抱一です。
まず、尾形乾山は陶芸家が本職なので論外。
描写力も稚拙だし、色使いも素人っぽい。
光琳は地味過ぎ。
其一は、描写力では抱一と同等。
写実的に細密描写し、鮮やかな色使いです。
美しい一流の絵です。

しかし、酒井抱一はその上を行っています。
茎と葉、蕾に褐色を使いたらし込みで描き、花に胡粉を使い際立ています。
全体の色数を減らし、花とそれ以外の物の対比を強め、花の美しさを強調しています。
絵具の鮮やかさに頼らずに花の華やぎを表現しているのです。
地味な褐色を地味のままにさせないのが、琳派独特の「たらし込み」。

今回気付いたのが、たらし込みが生み出す自然の、無意識の滲みに動きやリズムが生まれる事です。
この効果が大きいのが、

作品番号:2
「風神雷神図屏風」
の雲ではなく、

作品番号:3
「八ッ橋図屏風」
の八ッ橋。

風神様と雷神様の乗り物の雲にはどうも、動きが生れていません。
八ッ橋には動きが生れ、カキツバタのリズム感と合成され視線と心を釘付けにしています。

さてさて、話を立葵に戻し、
地味で視線を捉える事もない褐色ですが、
たらし込みによって静かな動きが生れ停滞感を払拭し、色に新たな力を与えました。
目立たないけれど、動きがあるので視線を捉えているんです。
大きくもなければ速く動いている訳ではありません。
極控えめに僅かですが、ハッキリと動き上品さを主張しているのです。
小さいけれど、ハッキリと声を上げているんです。
鈴木其一の立葵図は色で描写し、このたらし込みがありません。

立葵は鑑賞用だけの花ではなく、花弁や根に薬効があります。
医療と言う「困った時の神頼み」型の目立ちませんが重要な事を表わすには褐色の様な色が相応しい。
目と心に楽しい花だけではなく、薬にもなることを褐色のたらし込みで表現したのではないでしょうか?

酒井抱一の「立葵図」2点は一流ではなく、超一流です(^.^)。
実に素晴らしい絵です(^.^)。


5:
とても素晴らしかった(^.^)。
池田学、前原冬樹、稲崎栄利子などと言う荒れ果て枯渇した想像力の芸術家の作品を見た後だったので、
心に染み入る快感を味わいました。





タグ 酒井抱一 鈴木其一 尾形光琳 尾形乾山





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『特別展 驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへー』

★簡単な紹介

2017年9月16日(土)~12月3日(日)

三井記念美術館

HP→http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html


1:
この展覧会も、何かなぁ…


2:
決して悪くないんですが、ここでやった
『超絶技巧! 明治工芸の粋』、2014年
『三井家 伝世の秘宝』、2016年
と比べると、落ちるなぁ。


3:
安藤緑山
展示番号:1-58
「胡瓜」
展示番号:1-66
「葡萄」
は、葉がイマイチ。
牙彫ではなく、「絵」なんだなぁ、イマイチ立体感と現実感が無い。
特に葡萄の方は実の出来が素晴らしいので、余計に葉の出来のイマイチ具合が目立つ。

展示番号:1-67
「柿」
は、『三井家 伝世の秘宝』で展示された三井のコレクションと比べると、
イマイチ。
この作品が一流だとすると、三井の物は超一流。
皮とヘタは両方共素晴らしいんですが、枝の質感が決定的に違う。

展示番号:1-65
「松茸、しめじ」
展示番号:1-68
「兜虫と南瓜」
展示番号:1-69
「干柿」
展示番号:1-70
「干鱈に鼠」
これら4点は、ベージュの部分が木にしか見えん。
何か、安藤緑山らしくない出来栄え。

それでも、
展示番号:1-61
「パイナップル、バナナ」
のバナナの皮の表現、質感は見事でした。


4:
濤川惣助の無線七宝も相変わらずの色のボカシ具合は素晴らしく、
全体の出来もいい。

でも、
展示番号:1-15
「波濤鷹図盆」
の波がダメ。
他の部分の出来と表現と比べると、ガタ落ち。


5:
そんな中でも、
並河靖之の黒地七宝の気品、

代表作、
展示番号:1-25
「古瓦鳩香炉」
を初めとする正阿弥勝義の金工の丹精さが生む誠実感とも言うべきもの、

は際立っていました。


6:
特にダメだったのは、現代作家陣。
明治の先輩達の作品が漂わす気品や品格といって雰囲気が皆無。
中でも、前原冬樹の一木彫、稲崎栄利子の陶磁、は下品。
素養、特に読書が欠けていると思えて仕方なし。
職人であって芸術家ではありません。

前原の
展示番号:2-06
「一刻:皿に秋刀魚」
は残飯。
芸術に昇華していません。


7:
超絶技巧の展覧会も3回目になると、我等見る方も知識と経験が増え、
並みの出来の作品では目と心が満足しなくなりました。

この分野も良い物は少ない。

現代の作家陣の心の荒寥具合には辟易。






タグ 安藤緑山 濤川惣助 並河靖之 正阿弥勝義






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『池田学展 The Pen ー凝縮の宇宙ー』

○簡単な紹介

2017年9月27日(日)~10月9日(月、祝日)

日本橋高島屋8階ホール

HP→https://www.takashimaya.co.jp/tokyo/special_event/ikeda/index.html


★評


1:
ペンを使いかなり大きな絵を描いているので、興味をそそられ見に行くと…


2:
何かなぁ、壮大な無駄って感じ(溜息)。
私にはこけおどしにしか見えません。
ルネ・マグリットの作を精緻に描き、マックス・エルンストを加えた感じ。
それだけ。

私が絵を評価する基準は、雰囲気。
正体不明ですが、存在するのは間違いないもの。
今年行った展覧会では不染鉄が中々の雰囲気を漂わせていました。
国立西洋美術館の常設、ジョルジュ・ラ・トゥールの『聖トマス』も漂わせていました。
古今東西、画材、画題等、好みはありますが、雰囲気を漂わせていればどんな絵でも、
合格。
評価はそれから。

池田学の絵には、皆無。
一枚も雰囲気を漂わせていませんでした。
デカい絵もありましたが、ミュシャのスラヴ叙事詩の様な迫力も無し。
私にとっては、評価する以前の問題。
スポーツで言えば、予選敗退です。

この人、あんまり本を読んでないんじゃないだろうか?


3:
その割には、期間が短いために盛況でした。
会場も百貨店の一角のホールなので、狭過ぎ。
毎度買うクリアファイルも税抜き510円と、驚異の高価格。


4:
期待外れ。
退屈でした。





タグ 池田学





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『六本木開館10周年記念展 天下を治めた絵師 狩野元信』

★簡単な紹介

2017年9月16日(土)~11月5日(日)

サントリー美術館

HP→http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_5/index.html

現在、安部龍太郎の『等伯』を読んでいて、狩野松栄、永徳親子も出て来るんで、
これはいい機会だと、いそいそと(笑)、見に行きました。

元信は松栄の父、永徳の祖父です。
そして永徳の孫があの探幽。

すげーなぁ…


1:
>名護屋城の障壁画は狩野永徳の長男光信が請け負い、すでに現地で仕事にかかっている。
だが秀吉は迫力に欠ける光信の画風を好まず、本丸御殿の絵だけは(長谷川)久蔵に任せることにしたのだ。
~『等伯』下巻、第十章「松林図」、p.290 安部龍太郎~

狩野派の歴史と実績は大したもんですが、元信の絵も、雰囲気を漂わせてないなぁ…
流麗な絵画と安部龍太郎は『等伯』に書いていて、正にその通り。
長谷川等伯に敵わん。


また、私の掛かり付け医の先生も美術好きで色々と話をするんですが、
狩野派は日本の空気、湿潤な空気を描けてないと言っていて、この点私も全く同感。


2:
展示番号:18
「雪中花鳥図」
沈恢
泉屋博古館

一番良かったのは元信ではなく、沈恢の絵。
全体に古色を帯び、白梅の花との対象が見事。
何か、元信とエライ差があるなぁ…


3:
展示番号:44
「養蚕機織図屏風」
狩野元信
根津美術館

絵は他の作品と同じく心に響くものが無いんですが、
これは縁が凄かった(@_@)。
他の屏風と同じく漆仕上げなんですが、これは更に手を加え螺鈿を施してます(@_@)。
国宝、重文の屏風を見てもここまで手の込んだ屏風は見たことなし(@_@)。

一体誰がこんな手の込んだ屏風を依頼したんでしょう?


4:
私には心に響くものが無く、イマイチでした(溜息)。





タグ 狩野元信





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『ボストン美術館の至宝展』

★簡単な紹介

2017年7月20日(木)~10月9日(月、祝日)

東京都美術館

東京都美術館のHP→http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_boston.html

HP→http://boston2017-18.jp/


40年以上も前から知っているゴッホの「郵便配達夫ルーラン」とその嫁の絵が来るし、
その他英一蝶とか酒井抱一の花魁だとか、曽我蕭白まで来るは、中国北宋、南宋の絵画は来るはで、
行かずにおられるかい(笑)。

と行ったら、途中で前売り券を忘れたのを思い出した(@_@)。
う~ん、取りに帰るのが面倒だったので、当日券を買いました(涙)。


1:
ん~、何かねぇ…
思ったより、展示作品が少ない。
そのため、全体に「薄い」。

また、多人数に対応してない展示品も多い。
物が小さいか壁に掛けられない物。
最初のエジプト物はイマイチ小さいし、
「九龍図巻」(作品番号:17、陳容)は巻物なんで、展示台の上に置かにゃなりません。

仁清の香合(作品番号:19)、光琳と乾山の合作角皿(作品番号:20)も小さく、見るのが大変。


2:
日本物では、英一蝶、曽我蕭白、酒井抱一、喜多川歌麿、与謝蕪村、
作品も、なんか、イマイチだなぁ…(溜息)。


3:
18世紀後半のフランス絵画は見る前からどうでもいい(笑)。
趣味が合わないからネ。


4:
そして、大本命、ゴッホが描いたルーラン夫妻。

いいなぁ(笑)。
巧いし(笑)。

4-1:
作品番号:51
「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」

生れて初めて(笑)、近寄って見ると、これは薄塗り。
マンハッタンの近代美術館にある「星月夜」と同じ位薄塗り。

背景はキャンバスが透けて見えています。
その分、ルーランのおやっさんはしっかり描いています。
ひょっとすると、2,3時間で描き上げたかもしれません。

巧い絵です。

4-1-1:
色の纏まり具合がまずいい。
青い絵です。
背景が水色。
ルーランのおやっさんは制服上下が濃紺。
画面右側の机は同系色の緑。
座ってる椅子の一部も青。

そこに入る黄色系。
おやっさんの肌の色と制服の金ボタン。

4-1-2:
背景を描き込み過ぎてないので、背景が主題であるルーランのおやっさんを邪魔していません。
この空間感覚、西欧人には珍しい。

4-1-3:
色使いからルーランのおやっさんの人柄が分かるなぁ(笑)。
地味、地道。
派手なところ皆無のその辺のおやっさん(笑)。
少々大きめに描いた両手から、意外と手を使う肉体労働なのも分かります。

描かれている顔からも、普通の人ネ(笑)。

4-1-4:
この絵でも、少々おかしい所があります。
画面背景、右上の方の端、濃い青が一か所あります。
これ、全く意味無し。

画面中央、右寄り、椅子の背もたれの一部が背景色で塗り込まれ、消えています。
これも変だし、おかしい。

ゴッホの遊び心としておきますか。
本人に会って聞きたいとこですが、無理(笑)。


4-2:
作品番号:52
「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」

これは、ダンナとは対照的な描き方。
なぜ?
そりゃねぇ、「女は怖い」デス(笑)。
でも、同時に、とても優しい(^.^)。

4-2-1:
何と言っても、色使いが強烈。
緑と赤、補色です。
イタリアやメキシコの色。
タイ料理やイタリア料理の色。

どんな人か、分かるでしょう、おやっさんと比較すると(笑)。
ダンナを尻に敷くご婦人。
よく喋り、よく動き、よく働いていたのは間違いないです。
口の達者具合が分かるのが、色の構成の基本にしている補色です。

この絵でも大き目に描かれた両手。
両手をよく使っていたと言う事、以外に解釈出来るでしょうか?

4-2-2:
では、どこで優しさを表しているでしょう?

背景の花とオーギュスティーヌ夫人の顔と手の色。
白、黄色、ベージュ、薄い茶色、と同系色。
そして同じ位の明度。

夫人の洋服に覆われていない素肌と背景の花が同じと言う事。
心は花の様に美しい、と言う事以外にありますかな?

4-2-3:
そして背景にも注目しましょう。
完全に平面に塗り込み、奥行き感無し、立体感無し、平面的。

どういう事かと言うと、生活の場がここだけ。
今迄の人生も、間違い無くこの辺りだけだったのでしょう。

19世紀後半ですから、女性の教育は高くありません。

教育を受けてなくても、旅行や見聞も無くても、優しい女性と言う事です。
読み書きも得意でなかったかもしてません。
それでも、
オランダから来た赤毛の全く売れてない自称「絵師」にも優しかったと言う事です。


4-3:
こうして2枚の絵の意図や考えが分かってくると、私CYPRESS、胸が一杯になりました。

ゴッホにとって、このルーラン夫妻と子供達はとても親切に接してもらい、
とても大切であり、とても大事な人々であったのが分かります。

日本語で言えば、「とてもお世話になった」です。

素晴らしい一組の絵です。
素晴らしい、とても素晴らしい(^.^)。



5:
ゴッホに圧倒され、最高でした(^.^)。
ルーラン夫妻のクリアファイルを買いました。
長場雄画伯が翻案したルーランのおやっさんのマグカップは、行く前にHPを見ると「どうかなぁ」でしたが、
夫妻にお会いすると、迷わず手に取り買いました(笑)。






タグ ゴッホ





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『アルチンボルド展』その2

★簡単な紹介

2017年6月20日(火)~9月24日(日)

国立西洋美術館

国立西洋美術館のHP→http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2017arcimboldo.html
公式HP→http://arcimboldo2017.jp/


1:
この手の「寄せ絵」の代表作は歌川国芳の「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」かな。
ジョゼッペ・アルチンボルドの200年後の人であり、作品。

時代で考えれば、アルチンボルドの方が先駆者だけど、当時の日本でそんな事を知る事は不可能。

まぁ、細かい事は気にせず、まずは見てみますか。


2:
予想通り退屈な絵しかない。
ダリと同じくこけおどしだよなぁ…

描写力を見て想像出来る通り絵画職人にすぎません。

ハプスブルク家の権力、財力、軍事力、繁栄を具体的に示すために目に見える物を描いたそうですが、
納得。
単なる指先が器用な絵画職人が記録のために残した物。

写実描写で事物を描いた記録だけで、それ以上の「もの」がこの絵師にもありません。
宮廷画家としては、写真や映画、VTR等が無い時代ですから、カメラマンの代わりだったのでしょう。
記録係ですから、絵師としては細密に事物を描写する事が何よりも重要で、精神性とか個性等は全く不要。

逆にアルチンボルドは依頼主のハプスブルク家の面々、宮廷の方々には絵心が無いのが分かっていて、
技術の粋を尽しただけの絵を描いただけかもしれません。
無粋な人間にはこの程度で十分と思っていたかもしれません。
言い換えると、馬鹿にしていた、デス(笑)。

こういう技術しか無い絵には、毎度の事ながら同じ事しか書くことがありません(溜息)。


3:
まぁ、こんな感じで私には退屈な絵しかありませんでした。

今回も企画展の入場券で常設展へ入れるので、常設展へ。
お目当ては、勿論、ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールの「聖トマス」。

ジョゼッペ君の絵とは桁違い、段違い、次元が違います。
色の面積、光の明暗の面積、全体の構成、完成度が完璧に近い。
技術だけではなく、絵心など精神溢れるラ・トゥールの「聖トマス」。
やはりアルチンボルドの絵には技術しかない。

今後、国立西洋美術館の企画展では、一回りした後、ラ・トゥールの「聖トマス」を見て比べるが、
私の見方になりますナ。


アルチンボルド、巧い絵には間違いありません。
私の好みではありませんでした。
いい悪いではなく、この辺は見る人間の好みの差です。






タグ アルチンボルド 歌川国芳 ダリ ラ・トゥール






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『ジャコメッティ展』

★簡単な紹介

2017年6月14日(水)~9月4日(月)
前期:6月14日(木)~7月17日(月、祝日)
後期:7月19日(水)~9月4日(月)

国立新美術館

HP→http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/

国立新美術館の企画展HP→http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/giacometti2017/

名前といくつかの作品は知っていたなぁ…
ここ数年は2次元だけでなく、3次元も見に行くようにしているので、行ってきました。


1:
巧いね、あれだけの個性的、独特の雰囲気を漂わせる塑像を作れるんですから。
でもなぁ、心に響くものが無いんです。
感性とかに同じものが無いってこと。
だから、イマイチ退屈でした。


2:
それでも、良かったのが、

2-1:
作品番号:3
「キュビズム的コンポジション―男」
石膏に着色
大原美術館蔵、1926年

マグリットを写真で表現した植田正治みたいな感じでオリジナルより良くなっています。
ピカソのキュビズムなんかより、遙かに魅力的になっています。
一見、大理石の組み合わせかと思って解説を見たら、「石膏に着色」でした。
円柱と角ばった立方体の組み合わせがあれ程力を発揮するとは、完全に予想外、意表を突かれました(^.^)。

2-2:
作品番号:89
「犬」
ブロンズ
マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンヌ、
1951年

作品番号:90
「猫」
マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンヌ、
1951年

ジャコメッティ、才能あるじゃん(笑)、まぁ、当然だ(笑)。
直線的な猫、曲線的な犬、正にこの通り。

猫は弱い動物なので、常に頭を上げ、直ぐに反応出来る様に背骨と尻尾が真っ直ぐになっている。
犬は常に餌を探している。
嗅覚の動物だから、地面の匂いを常に嗅ぐために頭を下げ、背骨は曲り、尻尾も曲る。

この表現には感心しました。


3:
中々の芸術家でしたが、残念ながら共通項無し、心に響くもの無し。






タグ ジャコメッティ





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『没後40年 幻の画家 不染鉄展』

★簡単な紹介

2017年7月1日(土)~8月27日(日)
前期:7月1日(土)~7月30日(日)
後期:8月1日(火)~8月27日(日)

東京ステーションギャラリー
HP→http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201707_fusentetsu.html


あの「日本美術応援団」の明治学院大の山下裕二先生もまとめて見たことがない不染鉄(ふせん・てつ)。
「少しでも興味や関心があれば、まずは見てみよう」とここ5年程見に行ってる私CYPRESS。
名前からして日本人なのか中国人なのか分からんし(笑)、行ってきました。


1:
おや、まぁ、意外と言っちゃ失礼だけど、予想以上に良かった、面白かった(^.^)。


2:
まず面白かったのは、描写が年と共に変わって行く点。

天下御免の(笑)、明治の息吹、朦朧体。
中国絵画傾倒時代。
油彩風。
陰影とボカシが無く、輪郭線在り、のイラスト風。
等々。

生涯を通じ、描写法とかあまり気にしていなかった様です。


3:
作品番号:74
「廃船」
1969年頃
京都国立近代美術館蔵

作品番号:90
「落葉浄土」
1974年頃
奈良県立美術館蔵

この2点を代表にちょっと珍しい時間の絵が目に付きました。
夕方と夜の間の時間帯です。
残照が終わった時間、または、残照が届かない場所、家の灯りが最初に輝き始める時間、と言った時間と空間です。
こういう時間を描いた絵は、見た記憶がありません。
絵でも、不染鉄は灯りを加えています。
やはり、幼い頃に両親を亡くしているので、灯りと温もりへの憧れがあるのではないでしょうか?

「落葉浄土」はいい絵でした。
題名の通りイチョウが紅葉する晩秋の「誰そ彼」時。
気温、匂い、迫る闇、暗闇に光り始める灯り、空気、こういう雰囲気が想像出来る、追体験出来る作品です。


4:
作品番号:25
「冬」
星野画廊蔵、昭和初期

作品番号:26
「雪景山水」
個人蔵、1935年頃

この2点は同じ長野の山岳風景を描いています。

単なる冬山ですが、凄かった(@_@)。

山が飛び出してくるんです。
去年2016年、国立西洋美術館でカラヴァッジョの「エッケ・ホモ」を見て以来の経験でした。
墨絵に淡彩程度の色が入っているだけですが、その大迫力(@_@)。
強力な雰囲気を漂わせ、視線と心を釘付けにしました。

山の持つ立体感、存在感、重量感、どうやればこれだけ描写出来るでしょう?

作品番号26、「雪景山水」の方が強い絵です。
大きさは「冬」の2倍以上ありますが、理由はそれではありません。
画面ほぼ中央に左右に横切る道が描かれ、この道がエラく存在感を滲み出しているんです。
全体に存在感が強いので、この道が絵を壊すことがありません。

絵の教科書には、
物を描く時、立体を意識し、見えない裏側にも物があるのだから、
そこも(=裏側)意識しながら描け、とか、
空は描いている人間の頭の上まで続いているのだから、壁の様にせず、連続している様に描け、
とか、
書いてあります。

不染鉄やミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョを見ると、
そんな事、素人には不可能だとハッキリ、キッパリと実感出来ます(笑)。
無理、不可能です(笑)。


5:
こんな感じで大変楽しめました(^.^)。
オマケに、東京駅の線路脇にある美術館ですから、時々列車が通ると振動が足の裏に伝わり、
これもまた悪くない(^.^)。






タグ 不染鉄 カラヴァッジョ





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『川端龍子 特別展 没後50周年記念 -超ド級の日本画ー』

★簡単な紹介

2017年6月24日(土)~8月20日(日)
前期:6月24日(土)~7月23日(日)
後期:7月25日(火)~8月20日(日)

山種美術館

HP→http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/kawabata.html


久し振りの山種美術館
調べたら前回来たのは、2014年9月~11月の『特別展 輝ける金と銀 -琳派から加山又造まで-』(@_@)。
3年近くも来てなかった(@_@)。
だから恵比寿駅からの途中にあった紅茶屋さんが無くなってるはずダワ(^_^;)。


1:
作品番号:24
「草の実」
大田区立龍子記念館蔵、1931年

『特別展 輝ける金と銀 -琳派から加山又造まで-』にも来たヤツ。
見るのは2回目なので、落ち着いて見ると…
背景のススキの筆運びの速さの見事な事、見事な事。
あんな風には我等素人の横好きには描けん、描けん(溜息)。

タケニグサ以外は透明に描かれています。
はて?
透き通って何か、植物の幽霊みたい。
幽霊?
実体があるか無いか分からん存在。
へぇ~。
自然と添い寝し愛でる我等日本民族とっても、有用でない植物は「雑草」であり、
生えていても生えていないのも同じ。
オミナエシ、アレチノギク、モミジガサなんかは(→間違っていたら御寛仁を)、透明に描かれる訳かぁ。
でも、綿毛を付けた種、種は透けていません。
なぜ?
春になると雑草になる元だから、取り除くのが面倒な雑草の元だから。
それとも、生命の象徴と捉えているのでしょうか?
やはり、取り除くのが面倒な雑草の元だろうなぁ。

タケニグサの描写も見事だよなぁ。
立体感はあるし、植物の生きている感じ、生命感がある。


2:
作品番号:25
「黒潮」
山種美術館蔵、1932年

作品番号:47
「鯉」
山種美術館蔵、1930年

どちらも魚が描かれています。
「黒潮」にはトビウオ。
どちらもよく肉が付いています。
力強さを連想出来る描写です。
魚屋さんが河岸で仕入れそうな魚です。
そう、美味しそうな脂が乗ってそうな魚です。
ほんの少しの描き方の差なんですが、こんな描き方も我等素人の横好きには描けません。

見事です。


3:
作品番号:34
「爆弾散華」
大田区立龍子記念館蔵、1945年

1945年8月13日、終戦の二日前、川端龍子の自宅に米軍の爆弾が落ち、それをキッカケに描いた一枚。
描かれているのはナス、カボチャ、トウモロコシ、トマトの一部。
そして無作為に千切った金箔を貼ってます。
描かれている野菜は夏野菜。
今が盛りに野菜。
象徴している物は、明らかに若者。
戦禍で命を落とした若者。
千切られた金箔は日本の宝。
戦禍で失われた日本の宝。

単純な構成、単純な絵。
痛々しいけど、ニュースにもならん。
犠牲者は単なる数字。
失われた家も物も単に数字。
だから、こういう単純な絵になる訳です。

被災した川端龍子の家に写真がありましたが、
焼けていなかったのでB29の焼夷弾ではありませんな。
と言う事は、海軍の空母から飛来した戦闘機、F4UコルセアかF6Fヘルキャットが爆弾を落としたに違いないでしょう。


4:
作品番号:36
「金閣炎上
東京国立近代美術館蔵、1950年

これは、ダメだ(溜息)。
市川崑演出、市川雷蔵主演、宮川一夫撮影の『炎上』(1958年)に完敗。
宮川一夫の白黒でシネスコで撮った炎には全く敵わん。
(私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1136.html)
(Wiki→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%8E%E4%B8%8A_(%E6%98%A0%E7%94%BB))


5:
印象に残ったのは以上の作品ですが、
どうも川端龍子とは同じものが無く、心に響く作品がありません。

そうなると、逆に他の作品を見たくなるんですが、
展示点数が70点程と少ない。
川合玉堂の様に好みの絵師だと展示数が少ないと「纏まりがあって良い」ですが、
川端龍子の様に好みに合わないと「物足りない」になります。





タグ 川端龍子 川合玉堂 山種美術館 炎上 市川崑 市川雷蔵 宮川一夫






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『生誕140年 吉田博展 山と水の風景』 その1

★簡単な紹介

2017年7月8日(土)~8月27日(日)
前期:7月8日(土)~7月30日(日)
後期:8月1日(火)~8月27日(日)

東郷青児記念 損保ジャパンニッポン興亜美術館

HP→http://www.sjnk-museum.org/program/current/4778.html


1:
川瀬巴水と同じく「新版画」に取り組んだ一人。
川瀬巴水と同じく、葛飾北斎歌川広重に匹敵した一人。

川瀬巴水と同じく、美しい、良い、衝撃的(^.^)。


2:
展示は、水彩から始まり、油彩へと続きます。

これが、まぁ、悪くはありません。
作品として突出している物は、残念ながら、特に無し。
「すでに絵は描かれ過ぎている」状態。


2:
ところが、70点程続くと、
突如、
絵が動き出した、輝き出した(@_@)。

視線と心を捉える絵が現れました。

版画です、新版画です。

吉田博の才能が突然、開花、結実しました。

2-1:
作品番号:4-14
『モレーン湖』、油彩
作品番号:4-26
『モレーン湖 米国シリーズ』、木版

作品番号:4-12
『グランドキャニオン』、油彩
作品番号:4-23
『グランドキャニオン 米国シリーズ』、木版

この二組は、どちらも油彩を最初に描き、
それを木版画にしています。
油彩の重たさ、厚さが無くなり、動き出したのが木版画。
空気の動き、光の変化、こう言ったものを感じられるんです。
突然、いつまでも見ていたい魅力に満ちます。

この変化、正に衝撃的(^.^)、(@_@)。
なんで、こんなに変わるんでしょう?
直ぐに分かるのは、木版画は描き込み過ぎていない事。
摺りに80回とかやっていますが、省略しているのは誰が見ても分かります。

でも、質感の違いとかもあるし、よく分からん。

分かるのは、いい(笑)。
心と視線を捉える力と魅力がある、って事。

2-2:
瀬戸内海集、木版画

作品番号:4-50
『光る海』
作品番号:4-51
『帆船 雨後の夕』
作品番号:4-52
『帆船 朝』
作品番号:4-53
『帆船 午前』
作品番号:4-54
『帆船 午後』
作品番号:4-55
『帆船 霧』
作品番号:4-56
『帆船 夕』
作品番号:4-57
『帆船 夜』

凪の瀬戸内海と帆船を描いた一連。
潮風、船体に当る柔らかな波、空気の質感が伝わる、伝わる(^.^)、(@_@)。
故ダイアナ妃が『光る海』を執務室に掛けたのも分かります。
穏やかこの上無し。

素晴らしい(^.^)。

こういう自然は日本にしかなく、日本でしか生まれないんじゃないでしょうか?

2-3:
作品番号:4-85
『渓流』

これまた、日本でしか生まれないんだろうなぁ。
流れに透けて見える岩を描くのは、自然と距離を置かない日本文化故でしょう。
ロッセリーニの映画に『無防備都市』なんてのがあり、
原題が”Roma citta aperta”
「開かれた都市ローマ」の意。
城門を開ける、降伏の意があります。
ヨーロッパの都市と言うのは、城壁で囲い外敵と肉食獣から防いでいました。
武力で攻めて来る蛮族はいるし、異邦人は未知のウィルス病を持ってくる恐れはあるし、狼は人間を食べる。
だから、自然に対し距離を置くのは当然。
そうなると、自然に近付かない、細かい事を見ない、感じない、関心を持ちません。

まぁ、そう言っても、ジョン・エヴァレット・ミレイの『オフィーリア』は、ちゃんと流れを描いてましたナ(笑)。
1851年から1852年にかけて描かれたので、かなり自然に対しヨーロッパ人が強くなったから描けた、
とイヂワルな考え方も出来ますが(笑)。

日本の絵師、工芸家、陶芸家の波の表現の巧さは自然と添い寝している日本の自然観のためとしか思えません。
国土が狭く、海に近いだけでなく、河川にも近いので、やはり水の流れは身近な存在です。

『渓流』で泡立つ水は広重を思い起こさせますが、その上、小さな落差に落ちる流れに透けて見える岩の表現と質感は、
吉田博独自であり、この上なく見事で素晴らしい。

作品番号:4-44
『黒部川 日本アルプス十二題』
こちらは、『渓流』と違い、流れから離れた作。
黒部川の急流、流れの速さが大変良く分かります。
これも、見事です。


3:
と、まぁ、自然を描いたのは中々の秀作揃いなんですが、
どうも、日本の都会を描いた作品には、キレが無い、甘い。
川瀬巴水が描いた魅力に匹敵するものが無いですな。
『東京拾二題』は、全体に暗く、『瀬戸内海集』の持つ力がありません。
シティボーイではなく、自然児、だからと捉えて間違いないはずです。
都会が好きじゃなかったでしょう。

その代り、海外の都会を描いた
作品番号:4-32
『ルガノ町 欧州シリーズ』
は、明らかに気合いの入り方が違います。
やはり、日本とは違う異国情緒が大いに刺激になったと分かります。


4:
まとめ

吉田博の木版画は、輪郭線とボカシで水彩風であり、水彩の影響が多い。
若い頃から水彩に親しみ、その後、油彩もやります。
両方の質感と特徴を十分心得ていたと思います。
木版画の墨線ではなく、同系色を使った輪郭線は水彩の特徴以外の何物でもありません。
水彩をやった事のある方なら何回も経験されたことがあると思いますが、
乾いた紙の上に色を塗ると、色と紙の境目が非常にクッキリ残ります。
この境目が意外と邪魔で、境目をボカすには紙を濡らす必要があります。
この時、紙の乾き具合が分かるのが難しく、私CYPRESSの場合、とうとう分かりませんでした(笑)。
そう、下手糞だったです(笑)。
風景画だと、雲なんか境目をボカさないと、柔らかな質感を表現出来ません。

同系色を使った輪郭線で物の形をハッキリ表し、強調、全体に力と締りを与える。
ボカシを色の境目やグラデーションに使い、自然な質感を与え、更に全体に穏やかな雰囲気を漂わせる。
素晴らしい。

更に、水彩表現を生み出すための摺りの数がとんでもない(@_@)。
作品の解説によると、
作品番号:5-32
『東照宮』
で86回。
作品番号:5-33
『陽明門』
で約90回。
葛飾北斎の『凱風快晴』で7回、川瀬巴水の一例で27回、
病気です(笑)。

まぁ、我等素人には水彩も描けんのだから、こんな木版画も摺れるはずありません(笑)。


5:
全181点の内、66点が展示替えされますので、
後期展も行きます。






タグ 吉田博 川瀬巴水 葛飾北斎 歌川広重 ジョン・エヴァレット・ミレイ ロッセリーニ





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『神の宝の玉手箱』、六本木開館10周年記念展、国宝「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」修理後初公開

★簡単な紹介

2017年5月31日(水)~7月17日(月)祝日

サントリー美術館

HP→http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_3/


1:
日本の漆芸品の最高峰の中から、手箱こと小物入れ特集。

漆芸品にも全くの素人の私CYPRESS、ただ細工の細かさと出来の良さに目が点になるのみ(笑)。
誰が見ても良品。

目玉の「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」(ふせんりゅうらでんまきえてばこ)は源頼朝の嫁の北条政子が使ったのは間違いないようで、
これを筆頭に、鎌倉時代、室町時代、南北朝時代の作がザクザク(@_@)。
古い物は800年近く前の物ですゾ(@_@)。
戦乱、火事、天災に巻き込まれなかったか、生き残ったのか、
よく今日、21世紀まで残りましたなぁ(溜息)。

化粧品を収める手箱が多いためか、いつもより女性の姿が多い様でした。
それも、年齢を重ねた方だけでなく、小中高生も多かった。


2:
「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」が最近修復され、漆は丈夫なんだけど、
元になる木が乾燥し、持たないんですナ。
明治時代、ウィーンの万博に出展した後、伊豆沖で沈没し、1年後回収したら、なんともなかった作もあり、
これにもビックリ(→作品、失念(^_^;))
また、螺鈿の輝きにもビックリ。
夜光貝、mother of pearl、貝ですよ、貝殻。
それを磨いただけなのに、「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」に使われてるのは、800年近く前の物。
磨き直したとは言え、未だに輝いている(@_@)。
ビックリ、It’s just amazing!


3:
化粧品関連で、銅鏡も10面程展示されてました。
これが、ちょっと、作りが甘い、と言うのかなぁ、
去年2016年に根津美術館で見た中国の古い銅鏡の鋭さが無い。
(参考、私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-2574.html)

何かねぇ、丸いと言うか、柔らかい、どうもキリッとしてない。
まぁ、文様が違うし、作られた意図や目的が違うから、同じ様に作る必要もありません。

それでも、漂わす雰囲気が全く違います。

これも、新たな発見で新鮮な驚きでした。


4:
逸品に圧倒される気持ちいい時間を過ごしました(^.^)。

サントリー美術館は、少々主流から外れた路線をやり大変好ましい。
今回もとても良かった。






タグ サントリー美術館



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『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルランドの至宝 -ボスを越えてー』その2

★簡単な紹介

2017年4月18日(火)~7月2日(日)

東京都美術館
(HP→http://www.tobikan.jp/exhibition/h29_babel.html)

展覧会HP→http://babel2017.jp/


○前口上
東京都美術館の企画展は金曜日のみ午後8:00迄開館。
去年2016年は伊藤若冲を見に行き、午後6:00過ぎで待ち時間30分程。
金曜日に行けるのは5月5日しかなく、行ってみると、
待ったのは、今回、0秒、0㎜(^.^)。

まぁ、上野駅から東京都美術館方面へ行く人極僅か。
上野駅方面へ帰る人、一杯(^.^)。

初夏と言うには早かったですが、寒さを覚える程でもなく、とても気持ちいい風と空気でした。

と、これは幸先いいワイと行くと、



1:
期待に反し、全て退屈。
視線と心を捉える強力な雰囲気を漂わせている絵は皆無。

ピーテル・ブリューゲルはボイマンスの「バベルの塔」を24年前に来た時に見たし、
ボスも「放浪者(行商人)」(展示番号:41)を初め40年以上前から知ってます。

ボスの「聖クリストフォロス」(展示番号:42)は外套の赤がエラく鮮やかで目立ち過ぎ。
久し振りに見る「バベルの塔」(展示番号:86)は、広重や北斎のベロ藍の様に青が目立ち過ぎるけど、
目立ち過ぎるだけで、広重や北斎の様にまとめられていません。

その他ボスブリューゲル以外でも、人物画は白人らしく背景を描き込み過ぎ。

日本人の想像力と創造力と発想には全く敵いません。


2:
あんな絵ばかり描いてウンザリし、退屈になり、やる気を無くしてるんじゃないでしょうか?
芸術家ではなく、絵画職人だね、心を感じられません。
金を稼ぐために絵を描いているだけ。
人は生きて行かなきゃなりませんから、金を稼ぐ方法が絵を描く事でも悪い事ではありません。

ヒエロニムス・ボス、1450年頃~1516年
ピーテル・ブリューゲル、1525~1530年頃~1569年
雪舟等楊、1420年~1506年頃
雪村周継、1504年頃~1589年頃

樂家、初代長次郎、生年不詳~1589年

当時の西洋では、
キリスト教、神話、金持ちと支配階級の肖像画と言う題材が決まっていて、それ以外を描いても金にならなかったんしょうか?
また、画家の個性も要求されてないとしか思えません。

ほぼ同じ時代の雪舟等楊雪村周継長次郎には全く敵わん。
鎧袖一触。


3:
さて、展示番号:86「バベルの塔」は正面では立ち止まれません。
制限線があり、そこから後(=離れて)は止まって鑑賞可。
でも、細部はそこからは見られません。
だからと言って、正面からも1m程離れているので、細部は見られません。

怒りを感じるより、何とか出来なかったのでしょうか、と残念に思いました。

私が言ってのは、午後6:00過ぎだったのでお客さんが少なく、
待っている人も多くても20人程だったので殆ど待たずに何回でも通過(笑)、可能でした。

だからと言っても、やる気を無くした(笑)私CYPRESSでしたので、
まぁざっと見ておしまい。


4:
今回のお買い物は、クリアファイルとマグカップ。
A5のクリアファイルは、出口前の特設ショップでは、開いて使うWファイルしかなく、
¥600(@_@)。
た、たかぁ~(溜息)。
「バベルの塔」だけと、主な展示作品を印刷したものの2種類のみ。
図柄が悪くなかったので両方購入。

しかし、
帰りの出入り口そばのミュージアムショップを覗くと普通の挟むだけのA5サイズのクリアファイルがあった(@_@)。
「バベルの塔」ですよ、印刷されているのは(@_@)。
¥400(@_@)。
何なんだ、これは…(溜息)。

マグカップは版画の色々な「怪獣」(→ゴジラ系ではありません(笑))を採用。
色は茶色とブルーグレイ。
ブルーグレイに入れたコーヒーの色を想像出来ないので茶色に決定。
ただ、見掛けほど大きくなく、300ccもなさそう。





タグ 雪舟等楊 雪村周継 長次郎 ボス ブリューゲル





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『茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術』

★簡単な紹介

京都国立近代美術館
2016年12月17日(土)~2017年2月12日(日)

東京国立近代美術館
2017年3月14日(火)~5月21日(日)

HP→http://raku2016-17.jp/

樂家HP→http://www.raku-yaki.or.jp/index.html


○前口上
去年2016年、安田靫彦の回顧展を見に来た時には記憶に残らなかったんですが、
ここのトイレも大理石の内装じゃん(@_@)。

建物は改修、耐震強化されてますが、元はあのブリジストン美術館を作った石橋正二郎が金出したんじゃないの(@_@)。
「石橋正二郎」の名前が東京国立近代美術館のHPには載ってないゾ(怒)。
ブリジストンの創業者の石橋正二郎が日本の文化と芸術に多大な貢献をしている事実をなぜ無視するんだ?(怒)。

正二郎の長女安子が鳩山威一郎と結婚し、孫が鳩山由紀夫だから自民党に「忖度」してんじゃないだろうね(怒)?

まぁ、ムカつく事はあれど、この展覧会自体は良かった(^.^)。

さて、この展覧会に行きたくなったのは、NHK Eテレの日曜美術館
「利休の志を受け継ぐ 樂家450年 茶碗の宇宙」
(2017年1月15日(日) 放送分HP→http://www4.nhk.or.jp/nichibi/x/2017-01-15/31/29276/1902708/)
を見て、興味を覚えたからです。
そして、先週の東京国立博物館、平成館の
『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』
が大変良かったからなぁ(^.^)。


1:
まんず驚いたのは、樂家は、本阿弥光悦尾形光琳尾形乾山と血縁なんじゃん(@_@)。
(参考、樂家家系図→http://www.raku-yaki.or.jp/history/genealogy.html)

直系ではありませんが、美意識の遺伝子の破片が受け継がれているのは間違いありません。
と言っても、その血が入ってくるのが第五代宗入が養子として入った時。
宗入は光琳と乾山の従兄弟なんだね。


2:
やはり、一代長次郎の作が印象強い、存在感が強い、力強い、「力」があります。
単純な形と色、ハッキリ残る指の跡(→指紋じゃありません)、釉薬が作る想像力を刺激する模様。

焼き物、、陶磁器に関しては入門、入り口、スタートラインに辿り着いたばかりですが、
「こりゃただもんじゃないゾ」と思わせる雰囲気が漂っているのは分かりました。
この雰囲気が一番強かったのが一代長次郎でした。

抹茶を引き立てる事を第一に考えるのが侘び茶なら、色形はこうなるでしょう。
天目茶碗も悪くないでしょうが、単純に引き立てる事だけを考えれば、樂焼きでしょね。

東京国立博物館、平成館でやった様に、腰を落し口が水平になる高さで見ると、
まぁ当然ですが、バランスがいい(笑)。

見込みを見ると、釉薬が掛かってないのか、艶がありません。
茶筅で傷ついた様でもありません。
ん?????
艶が無い?
はて、そう言えばいつも使ってる湯呑、あれも見込みは艶が無い。
????
「!」
ずっと使ってるからじゃん(@_@)。
ここに展示されている長次郎作の逸品の数々、使い続けたから見込みに艶が無い(@_@)。

茶碗は実用品だから長次郎作と言えども、使わなければその価値の半分しか分からんからねぇ…



3:
次は、順番も影響していると思いますが(笑)、三代道入ですな。
肉厚が薄くなり、油滴風の砂子などもやり、少々華やかになりました。

長次郎もいいけど、道入の華やぎもいいんですよ。

腰を落として見ると、相似形、左右対称、バランスがいい。


4:
その次は、九代了入
八代までと違い、箆使いを駆使。
これが、また、力強く、いいんだなぁ。
力強さと言う点では、初代長次郎に初めて匹敵したのではないでしょうか?

バランス?
はい、当然いい(笑)。


5:
十五代吉左衛門。
現在の樂家当主。

ちょっと力み過ぎなんじゃないでしょうか?
まだまだ分かった風なことを言える程見ていない私CYPRESSですが、
どうも力みを感じます。

例えば、

開きかけの蕾をモチーフにしていると思われる作品、
展示番号:79
「赤樂茶碗 銘 野桃」
2013年
樂美術館

展示番号:80
「皪釉(れきゆう)樂茶碗 銘 梨花」
1998年
樂美術館
は、正対する花弁の位置にズレが無いバランスの良さ。
全体の作りも崩れていません、当然ですが(笑)。

それでも、実際に使うとなると、少々使いにくい、
飲みにくいじゃないでしょうか?

また、多数展示された箆使いを強調した焼貫の芸術的な作品は、
イマイチ技を使いこなれていない雰囲気が強い。

ただ、何かキッカケがあれば一気に才能が開花しそうな気がします。


6:
本阿弥光悦の茶碗も6口展示されました。

が、樂家代々の名工と比べると、作りが甘くないかい?
何かねぇ、バフだれ、って感じで、鋭さが無いし、キリっとしてないんです。
椀の一番下、底の高台がシッカリ作られてなく、だらっとしてるんです。

樂家代々の名工の茶碗は、十五代吉左衛門も含め、高台に弱さが無く力強く、
茶碗の胴をシッカリ受け止めているんです。

光悦、美意識と絵心は優れていたのは間違いないですが、
指先には芸術家と職人の神経が通ってなかった様ですな。


7:
まとめ
450年続く樂家。
代々の精進と努力が分かります。
それぞれ個性的で見ていて飽きる事がなく、大変好ましい。

残念な事は今回も同じ、手に出来ん事(笑)。
根津嘉一郎、出光佐三並みのお金持ちにならん限りは…(笑)。

絵と違い、全体を見ようとすると、爪先立ちになり見込みを上から見たり、
腰を落として側面から全体のバランスを見たりとか、
色々大変でありんす(笑)。
手に取れたらこんな面倒臭い事やらんでも、ジックリ見られるのになぁ。

他の茶碗も見たい(^.^)。
出光美術館でもやってるから、行くゾ(^.^)。



後口上
コレクション展も見たけど、ここは何でもあるなぁ(笑)。

1:
藤田嗣治
「アッツ島玉砕」
「サイパン島同胞臣節を全うす」
なんて、戦争画まであった(@_@)。

まぁ、どうってことない絵です。
好き好んで描いたとは思えん絵。
どうせこんな絵を注文する役人、軍人は、絵心や美意識なんか皆無の無粋人なんだから、
とテキトーに、いーかげんに描いたのは歴然。
そう、戦争賛成公務員を馬鹿にして描いたんです。
そうとは分からん公務員、役人、軍人達。

2:
長谷川潔のメゾチントの銅版画。
去年2016年町田の版画美術館で見た長谷川潔。
ここにもあるんだぁ…(溜息)。


3:
植田正治の写真。
ルネ・マグリット風の写真のアレ。
マグリットより全然いいアレ。
アレもあるんですよ、ここは(笑)。


4:
長谷川利行の「カフェ・パウリスタ
「開運!なんでも鑑定団」2009年2月24日(火)で放送された「カフェ・パウリスタ」がここにあった(@_@)。
やはり、ここにはなんでもある(笑)。


5:
加山又造
「春秋波濤」
参考→http://kanshokyoiku.jp/keymap/momat15.html

この絵は凄かった。
時間は夜、満月。
紅葉の山、満開の桜花の山、金色の松の山、それらの間を流れる大潮流。
三山の表現はマンガ的で可愛さがあり、完全に平面。
平面がこれまたマンガ的。
それらの間を流れる大潮流は単なる銀色の細い線が多数。
ところが、この大潮流が曲者、恐ろしい程効果的。
この大潮流のおかげで絵に、突然、唐突に、空間感覚が生れている(@_@)。
とんでもない奥行き感がある。

こんな一見平面的で下手糞風でありながら、長谷川等伯の「松林図屏風」並の奥行き感、
空間感覚がある絵を描けるとは…(溜息)。
こんな絵、見たこと、ありません。

どうすればこの空間感覚を描けるのでしょう(溜息)?

何なんだ、この絵師、加山又造
凄い才能の絵師です。

加山又造の大回顧展、熱烈希望!!!!!





タグ 樂家 道入 長次郎 了入 本阿弥光悦 尾形光琳 尾形乾山 加山又造 長谷川利行 カフェ・パウリスタ





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『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』その2

★簡単な紹介

2017年4月11日(火)~6月4日(日)

展示替え
4月11日(火)~4月16日(日)
4月18日(火)~4月23日(日)
4月25日(火)~5月1日(月)
5月2日(火)~5月7日(日)
5月9日(火)~5月14日(日)
5月16日(火)~5月21日(日)
5月23日(火)~5月28日(日)
5月30日(火)~6月4日(日)

東京国立博物館、平成館

HP→http://chanoyu2017.jp/

(東京国立博物館のHP→http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1828)


○前口上

二週続けて上野公園へ。
先週は満開だったサクラも終わってました。
東京国立博物館の平成館は今回が初めて。
1999年に開館。
2015年に改築。
明治に出来た本館と違い、超新しい。
初めての博物館、美術館で最初に行くのがトイレ。
国公立のトイレは、、まぁそれなりなんですが、ここは新しいんで、
何と、内装が大理石(@_@)。
こりゃ幸先がいい(^.^)。
少々期待に胸ふくらませ、展示室へ入ると…



1:
こ、これは、凄かった(@_@)。
私の様な焼き物、器、茶器に無知蒙昧の素人が見ても、とても面白かった(^.^)。

茶の湯の歴史が茶器の変遷と共によく分かる素晴らしい展示です。
特に最初に日本に来たのが、12世紀南宋の青磁と天目茶碗と言うろくろで作る最高峰であり、
究極の器が来たので、茶人の趣味と好みは別として、日本人の陶工の創造力と想像力を刺激し、
最高の物を作ろうとしたのが、よ~く分かりました(^.^)。
樂、織部、瀬戸、志野、等々真似をするのではなく、新たな最高のモノを作り出そうとしたのが、
ハッキリと分かりました(^.^)。

この展覧会は会場を五つに分け(第一章から第五章)、第一章から第四章までは各展示室に最低一つの天目茶碗を展示しています。
ろくろを使ったとは言え、人の手で出来た究極の形と器ですから、展示室全体を一部屋づつ引き締める効果があります。

天目茶碗は去年2016年に根津美術館でも見ましたが、これ程の実力(笑)があるのは、まだ分かりませんでした(笑)。
「量の変化が質の変化をもたらす」
が私の茶碗に関する「眼と心」にも起きている様です。



2:
まずは、天目茶碗

2-1:
第一章
足利将軍家の茶湯―唐物荘厳と唐物数奇

展示番号:1
曜変天目 稲葉天目
国宝
静嘉堂文庫美術館

展示番号:2
油滴天目
国宝
大阪市立東洋陶磁美術館

展示番号:43
「玳玻盞 鸞天目」
(たいひさん らんてんもく)
重要文化財
三井記念美術館

展示番号:44
「木葉天目」
重要文化財
大阪市立東洋陶磁美術館

展示番号:45
油滴天目
重要文化財


2-2:
第二章
侘茶の誕生―心にかなうもの

展示番号:61
「灰被天目 銘 夕陽」
(はいかつぎ)

展示番号:62
「灰被天目 銘 虹」
重要文化財
文化庁

展示番号:71
「黄天目 珠光天目」
永青文庫

展示番号:74
「白天目」
重要文化財
瀬戸、美濃


2-3:
第三章
侘茶の大成―千利休とその時代

展示番号:122-1
「黄天目 沼田天目」


2-4:
第四章
古典復興―小堀遠州と松平不昧の茶

展示番号:191
「菊花天目」
重要文化財
瀬戸、美濃
藤田美術館

展示番号:223
油滴天目
重要文化財
九州国立博物館


2-5:
と、書いた様に11口も展示されています(@_@)。
国宝が2口(@_@)。
重要文化財が7口(@_@)。

この高品質(@_@)。
「粒揃い」
と言う言葉はこういう事にしか使えないんだぁ(溜息)。

ろくろを使わなきゃ作れない完璧な円錐形、左右相似形。
ろくろを使ったとは言え、人間の指先でこれ程完璧、完全な形が作れるとは…(溜息)。
口が水平に見える位置まで腰を落として見ると、円錐形と相似形がよく分かります。
中国人の完璧主義、探究心が生み出したのに間違い無く、
同じ様な指向がある日本人が気に入るのも当然です。

実際に手に出来ないので確認出来ませんし、ケース越しに見た印象からだけですが、
中心線に対し完全に相似形になっている様ですから、手にした時に違和感を感じないはずです。
「掌にすっぽりと収まる」
と言う感覚になると思います。

また、全体の大きさも現代人の我々の感覚から判断すると小さ過ぎますが、
当時の人間の体格からすると、丁度いい大きさだと思われます。
江戸後期、日本人成人男性の平均身長は150cmらしいので、12世紀、13世紀の中国人もそれ程変わらなかったと思います。

胴と見込みに現れる模様。
油滴、曜変、灰被。
灰被は、水墨画の破墨の様な人間の創造力を刺激する景色で、驚くばかり。
稲葉天目の曜変の想像もつかない不思議な、魅力的な模様。
油滴の不思議なリズム感を生み出す模様。
灰被は人間の技と経験が少々は入りそうですが、それでも窯任せが大きく、
曜変と油滴は更に窯任せの割合が多いそうです。

完璧に近い形と運任せ美しい模様、こりゃ欲しくなるでしょう。
フェルメールが描いた室内画同様に緊張感がある茶碗です。


2-6:
これらの中でも、やはり、展示番号:1「稲葉天目」がずば抜けています。
模様の不思議さ、魅力、そして形の完璧さで飛び抜けているのです。

また、作品解説にも書かれていますが、
展示番号:2(国宝)と展示番号:223(重要文化財)の油滴天目は、同じ陶工が作ったのかもしれません。
傾き具合が似ているんです。
隣同士に置いて展示されていればハッキリするんですが、今回は離れているのが残念です。
それに実際に手にすれば私の様な素人にも分かるかもしれません(笑)。
ひょっとすると、この傾き具合、わざと作り、微妙にバランスを崩し、リズム感を生み出そうとしたり、
手に取る人間の関心を引いたり、驚かせ様として、不快感を与えないギリギリの崩し方をしているかもしれません。
そうだとすると、とんでもない陶工で人類史上最高の陶工になります(@_@)。



3:
樂茶碗

展示番号:74「白天目」
重要文化財

展示番号:191「菊花天目」
重要文化財
藤田美術館

この2口は瀬戸、美濃の産、日本製です。
真似をしたと言うより、倣った、追求した物と言っていいでしょう。

完璧を目指したと思われる天目に対して日本で作られた物が不完全を求めたとしても、
おかしくありません。
、とえらそーな事書きましたが、焼き物に関して何にも勉強してない素人の私CYPRESSの愚考にすぎません(笑)。
でも、作品の展示法を見るとそう思えるんです。
樂、瀬戸、志野、織部、これら日本製は完璧な形、完全な形を目指していない様です。
朝鮮の井戸茶碗も日本人は形が不完全なものを選んだ様です。

こうした物の中で、展示順のせいもあると思いますが、私の視線と心を捉えたのが、
長次郎作の樂茶碗でした。


3-1:
展示番号:134
「赤樂茶碗 銘 白鷺」
長次郎
京都、裏千家今日庵

展示番号:135
「赤樂茶碗 銘 無一物」
長次郎
重要文化財
兵庫県、頴川美術館
(えがわびじゅつかん)

展示番号:136
「赤樂茶碗 銘 一文字」
長次郎
重要文化財

展示番号:137
「黒樂茶碗 銘 ムキ栗」
長次郎
重要文化財
文化庁

展示番号:138
「黒樂茶碗 銘 利休」
長次郎

展示番号:140
「黒樂茶碗 銘 俊寛」
長次郎作
重要文化財
三井記念美術館

これらは、天目茶碗を見た直後だったので、ほっと一息吐きました。
実に温かい、人間的な、いい意味で「欠点が有る」物です(^.^)。
天目とは180度反対の方向を目指した作りです。
形が手びねり、ろくろを使わず指と手だけで作った物で、
歪みや曲がり、凹凸をそのまま残してあります。
その不完全さ、不均一さが実に効果的で、人間的な温もりがあるんです(^.^)。

釉薬も同様で、完璧な艶出し仕上げになっていません。
これも、目に優しく、大変好ましい(^.^)。

だからと言って、中心線から大きく外れ均衡を崩している訳ではありません。
天目茶碗の時と同じく、手にすると違和感皆無で、スッポリと収まる感じがするんでしょうなぁ。
並の腕前でないのは容易に想像出来ます。

ところで、
展示番号:137「黒樂茶碗 銘 ムキ栗」
は絶対ろくろで作れません。
なぜなら、上半分が四角い(笑)。


4:
志野

展示番号:171
「志野茶碗 銘 卯花墻
(うのはながき)
美濃
国宝
三井記念美術館

これも見事な崩れ具合(笑)。
でも、腰を落し、口が水平に見える高さで見ると、中心線から大きくずれていません。
見事です。
まぁ、当然なんでしょうけど、茶碗に開眼したばかりの素人には溜息が出るだけです(笑)。
さすが、国宝です(笑)。
これも、色と形に暖かみ、温もりがあるんです。
それに実際に手にすれば、違和感を感じずすっぽり収まるんだろうなぁ(笑)。


5:
茶碗、焼き物に関しては、まだ勝負にならん私CYPRESSです。
完全に負けています(笑)。

絵画に関しては小学一年生の時から好きで、絵画教室にも通った下手の横好きです(笑)。
取り敢えず、一応50年の歴史はあります(笑)。

それに比べ立体物に関しては、数年前の明治の超絶技巧の工芸品で始めたばかりです(^_^;)。

でも、今回の「茶の湯」で、漸くスタートラインに立ち、土俵には立てた様です。
天目茶碗は長谷川等伯や雪舟等楊が描く自然と同じ緊張感、厳しさがあるのが分かり、
樂、志野、瀬戸、織部には池大雅、与謝蕪村、田能村竹田の様な暖かさ、柔らかさがあるのが分かりました。
今迄彫刻や焼き物等立体物に心を動かされなかった私CYPRESSには大躍進、”quantum leap”でした。
人生の転換点を体験した数時間でした。
人生の刻み目を感じた一日と言っても決して大袈裟ではありませんでした。

今回『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』では大変いい経験をしました(^.^)。

焼き物、茶器、陶磁器の世界、夢中になる人がいるのが、よく分かりました。
酒飲みの話に例えると、ワインと同じ。
非常に個性豊かで、その個性が非常に多い。
広大で奥深く、興味深く、そして恐ろしい(笑)。



6:
こんな感じで圧倒され、少々焼き物が分かってきたので3回見て回りました。
そして、特設のミュージアムショップでいつもの様にクリアファイルを購入。
展覧会オリジナルは長次郎の樂や志野の卯花墻がなく、何か中途半端な稲葉天目だったんで、
静嘉堂文庫美術館オリジナルらしい稲葉天目のクリアファイルに決定。

それから年二回開園される庭園をそぞろ歩き。
かつては上野寛永寺の境内だけあり、古木巨木が多く、吹き渡る風は季節的にまだ薫風ではありませんでしたが、
中々気持ち良く、足運びは自然遅くなりました。
ただ庭園自体は、年に二回一月半づつしか開園されないので手入れがイマイチ行き届いていません。
茶室が全国から選りすぐりが五棟移築されているし、中央にある池もかなりの大きさですから、
もっとキレイな庭園になるはずです。
トレイラ―のカフェがあり、それも決して悪くありませんが、根津美術館の根津カフェの様なお食事処なら更に良くなり、
お客さんも増えるでしょう。
現状では庭園とは言い難いし、勿体無い中途半端な状態です。
そして改めて分かる、根津美術館の庭園と庭園を利用した根津カフェの素晴らしさです。






タグ 曜変天目 稲葉天目 油滴天目 長次郎 卯花墻





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『雪村 奇想の誕生』

★簡単な紹介

2017年3月28日(火)~5月21日(日)

東京藝術大学大学美術館

期間
前期
3月28日(火)~4月9日(日)
4月11日(火)~4月23日(日)
後期
4月25日(火)~5月7日(日)
5月9日(火)~5月21日(日)

HP→http://sesson2017.jp/


○前口上


2017年4月初旬、今年は気温が低く、雪村周継(せっそんしゅうけい)を見に上野公園へ行くと、
サクラが満開でした(^.^)。
当日東京では朝方まで雨が降り、上野公園に着いた時は曇り。
それでも、いるんだなぁ花見客(笑)。
大きい古いソメイヨシノが多いからその気持ちは分かります。
確かに大きなソメイヨシノの下は、曇り空の下でも中々の美しさと気持ち良さ。
でも、地面はまだ濡れていたし、少々肌寒い曇りの日に宴をやらんでもいいでしょう(笑)。
でも、酒飲みの言い訳も痛い程分かる(笑)。

藝大へ行くのは2回目で、サクラの季節では初めて。
都道452号線を挟んで南側が美術学部、北側(東京国立博物館がある方)が音楽学部。
音楽学部の方にはソメイヨシノがあるのに、美術学部の方に無いのに今回気付きました。
何か、寂しいなぁ(笑)。

さて、
雪村周継を見た帰り、上野駅公園口前まで来ると、
何と、
目の前をマリオカートの一団が通過した(@_@)。
ぎょっ、これはシャッターチャンス、動画チャンスと思った時は、もう見えなかった(笑)。
走り過ぎる後姿を見ると、ちゃんとナンバープレートが付いていた、まぁ当然か(笑)。
任天堂が著作権違反と訴訟を起こしたレンタル会社が秋葉原にあるらしく、そこから来た様ですな。


1:
勉強不足だし、美術展には20年程行ってなかったから、雪村周継を知ったのもこの展覧会のおかげ(^_^;)。
あの雪舟等楊より100年程後の人。
室町後期から戦国時代の人になるんだね。


2:
坊さんらしく清貧で、水墨画が殆ど。
色付きの絵は極少数。
絵具を買うお金が無かったと言う事。
でも、東洋には墨で描く水墨画がある。
悪い事ではありません。
全てを描く必要が無い様に、色で塗り固める必要もないのです。

歴史に名を残し、作品が売れ現在に残るんですから、悪い絵はありません。
筆使いも巧く、我等素人の横好きには決して出来ない筆使い。
迷いや力みが無い、まぁ、当然か(笑)。
でも、書かずにはおれん、プロの巧さ(笑)。

あれだけ巧ければ、描いていて楽しいよなぁ。
歌が巧い人が、歌うのが好きなのと同じ。

しかしですな、
決して悪くはないんだけど、どうも心に響くものがありません。
言い換えれば、共鳴する心の弦が無い、同じ様な感性が無い、と言う事。


3:
江戸以前の古い絵師なんで、どうしても、巻き皺のついた絵が多く、これが残念。
また紙の変色が進んでいる作品が多く、描いた当初の狙いや効果が分からないのも残念。

それでも、次の2点は、良かった。

展示番号:101
「山水図屏風」
栃木県立美術館蔵

東京国立博物館にある雪舟等楊の国宝「秋冬山水図」の冬の図と同じく、不思議な遠近感の絵。
雪村周継の晩年の作で自由な境地と解説に書いてあり、見ている人間に覆いかぶさる様な、ちょっと不思議な迫力、
圧迫感があります。
不快感は無く、いつまでも見ていて、絵の中に入りウロウロしていたくなる、不思議な魅力がありました(^.^)。
これはいい、気に入りました(^.^)。

展示番号:95
「金山寺図屏風」
茨城県笠間稲荷美術館蔵

中国にある禅宗のお寺と景色を描いた屏風。
勿論、雪村周継、中国へ渡ったこともなく、想像で描いた作。
「山水図屏風」程ではありませんが、西洋の透視図法とは無縁、無視した遠近法。
だからと言って無茶苦茶に描いているのでもありません。
でもね、これも視線と心を捉える魅力があり、写実描写が名画に不要を実証する一枚。
西洋藝術のつまらなさ、退屈さを実証する一枚。
日本人藝術の非凡さを実証する一枚。
これだから日本人の描く水墨画は素晴らしい(^.^)。


4:
今回の目玉を見てみると…

展示番号:49
「呂洞賓図」
奈良県大和文華館蔵
重要文化財

まず、題名を読めん(笑)。
「りょうどうひんず」
呂洞賓(りょうどうひん)は中国の仙人だそうです。
今回の目玉の一つで、クリアファイルにもなっていて¥450哉。
¥320もあり、これは大和文華館オリジナル。
私の心の琴線に触れる物無し。


展示番号:88
「蝦蟇鉄拐図」
東京国立博物館蔵

目玉のもう一つ。
前期展示
これも私の琴線に触れる物無し。


5:
まとめ

「奇想の絵師」の元祖となるとチラシに辻惟雄が一言寄せていますが、
実際に見るとそれ程奇想とは思えません。
評価されるのには大賛成です。

写実描写と透視図法に縛られる必要が無いのが、雪村周継からも分かります。
必要ならばやればいい。
その程度のものなんですが、白人は出来ないんだよなぁ…

この展覧会も展示替えが多過ぎる。
4回ですよ、4回(怒)。
展示される物を全て見るには4回、¥1,600×4=¥6,400(怒)。
せめて2回にして下さいな。





タグ 雪村周継 東京藝術大学大学美術館 雪舟等楊 マリオカート





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『ミュシャ展』

★簡単な紹介

2017年3月8日(水)~6月5日(月)

国立新美術館


HP→http://www.mucha2017.jp/


1:
この画家もかなり前から知っていて、でも、それ程有名じゃないから日本に来ることはないだろうと思っていましたが、
来た(笑)。

だからと言って、
画集とかでゆっくり、じっくり見たこともないですが、スラヴの歴史を描いた連作があり、かなりの大きさだと言う事も、
知らない事もない、その程度でした。

スラヴ叙事詩、全20作、勢揃いで来日。
次はいつ来るか分かりませんから、行ってきました。


2:
土曜日の午前10:30頃到着。
あの地下鉄乃木坂駅から階段を登り切った所にある屋外の当日券売り場は、
草間弥生展もやっているので、ざっと見、20分待ち。
前売り券を持っていたので2階の展示室へ。

ぎょっ(@_@)

な、並んでる。
入場待ち行列アリ。
待つのは苦になりませんが、並ぶのは大嫌い。
でも並ばにゃは入れん(涙)。
それでもありがたい事に、12分で入れた(^.^)。

帰りは正午頃で、入場待ち行列は無し(@_@)。
ちぇっ、いいなぁ(笑)。
当日券売り場も20人位に減っていました。


3:
一般的に、展覧会会場に入ると大型のポスターがよく吊られていて、この『ミュシャ展』も入って早々に、
ドデカいのが
あると思ったら、
ち、違う(@_@)。

実物だ(@_@)。

スラヴ叙事詩2番目、「ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭」であります。

大きさ610cm×810cm。
ど、ドデカい(@_@)。
日本画の屏風もデカいけど、桁違い(@_@)。

一撃で圧倒されました(笑)。
こんなデカい絵、それだけで、存在しているだけで圧倒されます。

入場待ち行列があるくらいですから、会場内は大盛況。
かなりの入場者数です。
しかし、そんな大人数をものともしない大きさ。
つまり、デカいから遠くからでもよく見える(笑)。
映画と同じく、一度に大人数でも見られるように作ったのでしょうか?


4:
そのデカさで、構図とか画面構成、色、そんなもの考えさせません、
少なくとも私にはね(笑)。

雰囲気とか漂わせてもいません。

その大きさで見る人を圧倒しますが、学校の授業以外で絵を描いたことがある方なら、
ミュシャの精神力と情熱に圧倒されるのが分かると思います。
絵を描いている時は、興奮状態になりますから、描き終わると疲労感を覚えます。
小さな絵しか描かない私CYPRESSでも疲れるのに、あんなドデカい描くとなるとどうなるでしょう?
しかも、一枚ではなく、20枚ですよ、20枚(@_@)。
精神力の地力だけでなく、持久力も無ければ完成させられません。

もう一つ圧倒するのが、1912年から1926年まで14年間も描き続けた情熱。
ミュシャの創造力を動かし続けた情熱。
その強さと熱さ、我等素人の横好きには無縁、想像も出来ません。
日本人とチェコ人との違いなんでしょうか?


5:
その昔、印刷物で見た時、色使いは日本で一時期よく目にしたイラスト風でしたが、
実際に見ると確かに淡い色使いです。
薄塗りの油彩(とテンペラだそうです)。
人物には同系色の暗色を使い輪郭線を入れ、これも印刷されるとイラスト風に見える原因だと分かりました。

英語を少々勉強した方なら御存じと思いますが、
英語の”slave”(=奴隷)の語源が中世ラテン語の”sclavus”、スラヴ人の意。
ランダムハウス英語大辞典によると、「中世初期に多くのスラヴ人が奴隷にされたことから」

だから、描いている題材はその色使いと筆致とは程遠く、殺戮と戦争が多い。
反語、逆説なんでしょう。
流れた血、斬られた筋肉と骨、飛び出た内臓、それらの裏側、陰画なんです。
悲しみ、絶望、慟哭を隠すカーテンなんです。
声高に語るだけが説得力を持つのとは違います。

そうした悲しみや怒り、絶望が垣間見えるのが、一枚目の「原故郷のスラブ民族」だと思えます。
舞台は夜。
背後に迫る戦禍と戦火。
多神教の祭司は存在しても、地に付かず宙に浮いている。
チェコ民族の救いとなるのか?
夜空に星は数多(=あまた)あれど、希望の星になるのか?


6:
これだけドデカい絵、簡単には描けません。
ゴッホの様に赤貧だと小さな絵しか描けません。

まず、絵具代が幾ら掛かるのか、空恐ろしい(笑)。
だからミュシャの場合、アメリカ人のチャールズ・クレインから金銭援助を受け、
チェコのズビロフ城のホールで描いたとか。
NHKが2017年3月16日(木)に放送したミュシャの特番でやってましたが、
そのホール、そこも美術館の展示室並みにドデカい。
絵の出来栄え、色の効果や構図などを確認するために絵から離れて見る必要があるので、
スラヴ叙事詩並の絵だと10mから15mは離れる必要があります。
これ位デカいホールが同然必要なんですなぁ(溜息)。

ミュシャ、絵を描いたり、絵の出来栄えを調べるんで行ったり来たりとかなり大変だったゾ。


7:
このNHKの特番ではミュシャがゲシュタポに捕まり、拷問された所まで放送され、
多部未華子が言葉を失っていました。
ミュシャはその後釈放され、4ヶ月後に亡くなったとか…

自分自身で描いたスラヴ民族を同じ様に亡くなるとは…


8:
やはり、世界は広い。
こんなドデカい連作20点もあるとは…(溜息)。
絵画好き、芸術好きなら見ても決して損にはなりません。
圧倒されました(溜息)。





タグ ミュシャ 国立新美術館 スラヴ叙事詩 多部未華子






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『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』その1

凄い展覧会がまた開催されます。
東京国立博物館平成館で、
2017年4月11日(火)~6月4日(日)

HP→http://chanoyu2017.jp/
(東京国立博物館のHP→http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1828)

何よりも凄いのが、静嘉堂文庫蔵の国宝曜変天目茶碗「稲葉天目」が出展(@_@)。
但し、4月11日(火)~5月7日(日)のみ。

その他にも、
油滴天目………………………………国宝、伝豊臣秀次所有、大阪市立東洋陶磁美術館
青磁輪花茶碗、銘、馬蝗絆…………重要文化財、足利義政所有、東京国立博物館
灰被天目、銘、虹……………………重要文化財、伝足利義政所有、文化庁
大井戸茶碗、喜左衛門大井戸………国宝、松平不昧公所有、京都孤篷庵
青井戸茶碗、柴田井戸………………重要文化財、柴田勝家所有、根津美術館
赤楽茶碗、銘、無一物………………重要文化財、長次郎作、頴川美術館
黒楽茶碗、銘、ムキ栗………………重要文化財、伝長次郎作、文化庁
黒楽茶碗、銘、時雨…………………重要文化財、本阿弥光悦作、名古屋市美術館

『開運!なんでも鑑定団』で偽物ばかり(笑)がよく出て来る有名物勢揃い。
これだけ有名な物が来るんじゃ、焼き物に無知蒙昧の私CYPRESSでも興味をそそられます。





タグ 東京国立博物館 平成館 稲葉天目




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CYPRESS

Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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