『愛なんていらねえよ、夏』その17

第一弾
第三話その3
光と影その1

1:
冒頭、プラットフォームの場面。
レイジ、鉄道で自殺した時の平均賠償額=\30,000,000と亜子が言うと、
「俺の妹はそんなに安くない」
光に向かってますから
→嘘
亜子にはそんな価値無いから俺に\730,000,000早くくれっていう事。

2:
レイジと奈留、ナイルで。
レイジ、楓にタクローに会ってるところを見られ誰と話してたと聞かれ、
「知らないオッサン」
窓とテーブルの上の電灯スタンドに向かってますから、
→嘘
タクローだからねぇ。
…頭の回転が早く、キレ者のレイジらしくない答。
…今後また見られた時の事を考えれば、仕事上の知り合いの方がいい。
…光と嘘の関係を考えると、昔仕事で世話になった人(→いまでも世話になってる)がいい。
…なぜアホな答をさせたか?犯罪を肯定するドラマを作れないから、どうしても犯罪者をアホにせざるを得ないから。

3:
“Fly me to the moon”に合わせカメラが宙を舞う場面。
3-1:
レイジは窓を背にし、“Fly me to the moon”が流れます。
「嘘」と「本当」があると言う事は、
・「嘘」を「本当」と認めるから「嘘」
・または「本当」を「嘘」と認めるから、やはり「嘘」
3-2:
という訳でレイジが言ってる事は嘘。
まずレイジが目をつぶって歩いたのは嘘。
お前もあの店で修理したことある、っていうのはレイジのハッタリ。
店の人が言ったのは「同じもの」で「鷹園さんのところのもの」ではありません。
3-3:
しかしレイジの最後の台詞、
>よかったよ 俺のも直って
は本当。窓を背にするだけで“Fly me to the moon”が流れないから。

4:
レイジ、自室で奈留に
「目見えない人 点字で遺書書くでしょ」
ベッド横の電灯スタンドを背にしているから、
→本当

5:
レイジと五十嵐、亜子と五十嵐の結婚について話す。
5-1:
五十嵐は「亜子を愛してる」。
窓を背にし、同時に目の前の少し上に電灯、「嘘」を「本当」と認めてますから、
→嘘
つまり愛してるのは亜子ではありません。
5-2:
レイジは五十嵐に亜子を思う気持ちに感謝。でも「愛するのは難しい」。
窓と電灯に向かい強調してます。
→嘘
レイジにとって「愛」は「嘘」の婉曲表現ですから、簡単簡単。

6:
お祭りの場面
6-1:
亜子が一人置き去りにされレイジの点字の手紙を胸に押さえる場面。
亜子の後左側に電灯を入れ、
→本当
つまりレイジが言う事を信じる亜子です。
また灯が亜子の左側にあるという事は、亜子が他人の肘を取る方ですから、レイジに対する信頼を更に強調してます。
6-2:
そして亜子のところに戻り謝るレイジ。
提灯の明かりを背にしてますから、
→本当
6-3:
神社の本殿の階段の場面。
まず二人を後から写し二人の前に赤と白の提灯が沢山あります。
亜子には見えませんが、レイジの「ずれた感じ」です。
電灯は二人の後にあります。
→本当
二人が話してる事に嘘はありません。
…提灯は光源というよりはお祭りの装飾品なので、このシークウェンスでは「光」と解釈してません。「色」として捉えました。

7:
最後の場面。
レイジ、亜子の部屋へ無断侵入。そこへ亜子と咲子が戻り亜子が「誰かいるの?」。
咲子「誰もいない」
咲子、窓の方を向いてます。
→嘘
…ここでハッキリ光と嘘の関係が分かるんですが、前回の分析の時には全く気付きませんでした(涙)。



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『愛なんていらねえよ、夏』その16

第一弾
第三話その2

1:
お祭りの場面。

1-1:
まず最初、レイジが亜子の頭を撫で撫で。
何気ない行為ですが、これは凄い。
荒らされた花壇の場面で奈留に断り無く触れられた時に激しく拒否した場面と対になってます。
亜子はレイジに何も言いません。
オルゴールを直した事と点字の手紙の効果が絶大なのがこの「頭を撫で撫で」からハッキリ分かります。

1-2:
次にレイジが亜子に肘を取らせる場面。
ここで亜子の顔のカットが入ります。この時、
上手:亜子
下手:ボケた青い灯
この青い灯に意味がある訳です。亜子が白杖を持ってる右側(=画面下手)に青があると言う事は、亜子を導くものが進め(=青)と言ってます。
亜子がレイジを受け入れレイジを信用しレイジの言う通りにしようと決心した事を示しています。

1-3:
スーパーボール掬い。
まず水の流れが反時計回り。時間よ戻れって言う事で、「亜子、楽しかった子供の頃を思い出せ」って言う事。
オマケに水は生を象徴してますから、昔の様に楽しい人生の一時を強調してます。

1-4:
次がラムネ。
原料の殆どが水だから、人生の楽しい一時。楽しさを強調するのがラムネの甘さ。人生の興奮と刺激を伝える炭酸。
ラムネと言う古い物を使い昔をここでも強調してます。
…よく考えてます。
…ラムネの泡はボッティチェリの『ビーナスの誕生』の泡みたいで、亜子が新たな人生の一歩を踏み出したとも捉えられます。
…またスーパーボール掬いと違いレイジが変な物を亜子に飲ませるのも可能ですから、亜子のレイジに対する信頼が本物だと分かります。

1-5:
射的屋で狙い外すのが黄色い森永のミルクキャラメル。
黄色と言えばマリーゴールド。マリーゴールドの有り難くない花言葉「絶望、悲哀、嫉妬」を当てなかった亜子、何やら巧く行きそうな予感、っていう事。

1-6:
やたらにある赤と白の提灯。
赤はサルビアの赤を連想させる色で、家族愛の象徴。
白は「白々しい」嘘でしょう。
つまりレイジの台詞「ずれた感じ」です。
また、桃園で季理子が食事中に「レイジの嘘には真実が少し入っているから女が信じる」と奈留に言った事がここに繋がってます。
ところでもう一つ解釈があります。
「白々しい」嘘と「真っ赤な」嘘。見え透いている嘘と完璧な嘘。
見え透いているという事は真実が垣間見えるという事ですから、これも季理子が言った事と繋がります。

1-7:
そしてこのお祭りの場面で白と言えば、レイジが亜子に買った綿菓子。
「白々しい」嘘を食べなかった亜子です。つまりレイジを信じています。

1-8:
置き去りにした亜子がレイジの点字の手紙を胸にするところを見たレイジ。
1-8-1:
亜子がレイジの点字の手紙を胸にする時、音楽と効果音無し。
レイジの点字の手紙に書いてある内容が亜子にとっていかに重要かを強調してます。
1-8-2:
それからレイジの顔のカットが入ります。この時、
上手:レイジ
下手:赤い提灯(か風船)
レイジの右肘(=下手)を取るのは亜子ですから、亜子に「家族愛」を感じた事を暗示。
赤い提灯(か風船)をぼかす事でまだハッキリしない生まれたばかりの感情である事を示しています。

1-9:
続いてレイジが「亜子!」と呼び掛けるカット。
上手:レイジ
中央:(上手から下手へ)白の提灯、赤の提灯、赤い風船
下手:亜子(上手を向き、左側にレイジがいる)
亜子のレイジへの信頼は強く(=亜子に近い方に赤が2個)、レイジは「ずれた感じ」(=白い提灯が2個と赤が1個)です。

1-10:
本殿の階段に座る二人。
1-10-1:
亜子がレイジの顔を触る時、カメラは
下手→上手
と動きます。
このため背景の赤い柱が動きレイジから亜子へ進んで行く様に見えます。
亜子にとってはこのお祭りでの出来事はレイジからの愛情が籠った贈り物、と言う事です。
1-10-2:
この時二人の位置は、亜子の右側にレイジ。
白杖の代わりですからかなり亜子はレイジを信用してます。
そしてレイジの顔を最初に触るのは右手。まぁ右利きだから右手で触るのは当然ですが、この場合では白杖の代わりに右手を使ってレイジを、レイジの心を「探しに行く」でしょう。
1-10-3:
この場面で流れる音楽がチェロの独奏。
チェロは人の声と同じ音域。
と言う事は、レイジのまだハッキリした言葉にならない思いを表わしてます。
そう、「ずれた感じ」です。

1-11:
赤と白の提灯だけでなくお祭りに付き物の風船。
家族愛の赤、可憐な愛情の黄色。
割れやすくまた窒素ガスで膨らませているために油断すると飛んで行きやすい。
二人の際どくあやふやな関係を象徴しています。

1-12:
スーパーボールをレイジに見せる亜子。
ラメ入りです。勿論レイジの不純な動機の象徴。
でも宝石でも混じりっ気の無い物だけが美しい訳ではありません。
スターやキャッツアイのサファイアは不純物のおかげであの模様を作り出します。
アメシストは水晶に鉄が交ざった物。
オパールには10%程水が含まれています。
だからレイジもカットし磨くと「宝石」になるかもよ、と暗示してる訳です。

1-13:
レイジが「ずれた感じ」を感じ、亜子が笑った場所が鳥居を超えた神社の境内。
1-13-1:
俗世間を離れた神域、神聖な場所です。
つまり簡単には他人が立ち入れない自分の心の深奥と解釈出来ます。
そうだとすると見えないところで大きな変化が二人に始まりました。
1-13-2:
でも家へ帰る二人が超える鳥居の先は夜の闇。
二人はどうなるのでしょうか?、っていう演出


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『愛なんていらねえよ、夏』その15

第一弾
第三話その1

1:
冒頭、プラットフォームの場面。

1-1:
こんな所でレイジが亜子を突き落として自殺に見せかけるのは不可能。急行列車の運転手に丸見えです。

1-2:
二人がいるプラットフォームの反対側(=海側)の山。
二人を背後から写し山と海を背景にする場面があります。
1-2-1:
急行列車が来る前
→山と海が半分づつ
山が上手の上から下手の下へ対角線状に画面を半分に分割しています。
レイジ、ここでやっちゃうか迷ってます。
1-2-2:
急行列車の通過後
カメラがぐっと上手に寄り
→海がかなり広がります。
レイジ、亜子を引き寄せました。
1-2-3:
、と言う事は、海や水が「生」の象徴になります。

1-3:
二人が乗る列車の色が赤。
このドラマで赤と言えば第二話で出てきたサルビア。
サルビアの花言葉の一つが「家族愛」。
この列車は直ぐにトンネルへ入って行きます。
と言う事は、
→二人を結ぶ「家族愛」はこれからどうなる?暗黒の中をさ迷うのか?暗黒から出るのか?暗黒から抜け出た先にあるものは?

1-4:
亜子の右側にレイジ。この位置が逆になるのは(=亜子が白杖を使う)、列車に乗る時のみ。

1-5:
だから亜子を引き寄せる時、白杖を持った右腕を取ります。
白杖の代わりに目が不自由なお前を導くのは俺だ、と言う事。
行き先はまだ不明。

2:
桃園でカツ丼を食べる季理子。
初めて出てきました。カツ丼の意味はもう少し先で分かります。

3:
レイジと奈留、ナイルで。
楓、奈留に亜子ちゃん恐いの?と聞かれますが、楓は全然恐そうじゃないんだな。

4:
マリーゴールドとサルビアの花壇に水をやるレイジ。
じょうろの色が赤。赤いサルビアの花言葉の一つが「家族愛」。水が生命を象徴。
花壇の主役がマリーゴールドで花言葉の一つが「愛情」。
つまりレイジは無意識の内に愛情を育ててるんです。

…おいおい、レイジ、大丈夫?
~by 俺~

5:
レイジがたまたま見つけたオルゴール屋の店名が、
“MONOLITH”(のはず。樋の排水管に語尾の2文字が隠れてます)
一枚岩やそれで作った彫刻、一枚岩の様に大きく堅固なもの意。
亜子にとってオルゴールの重要性を暗示してます。
(蛇足:『2001年宇宙の旅』の月面で発見されるのも“monolith”)

6:
“Fly me to the moon”が流れ、空飛ぶ映像の場面。
亜子→亜子の部屋→鷹園邸屋外→花壇→応接間窓際のレイジ
つまり、
嘘→愛情→嘘
亜子→愛情→レイジ
亜子から行った先にあったのが修理して直ったオルゴール。
そして曲ではなくオルゴールが愛情の象徴になってるのが分かるのが次の場面。

7:
続いて亜子が一人で昼食を食べる場面。
亜子、レイジのオルゴールが直ったのを知り微笑みます。
…レイジ、亜子を微笑ましましたゾ。\730,000,000目指し今のところ順調。
…ところで、この時亜子が食べる料理、湯気が立つんだなぁ。CGに間違いないけど、やりますねぇ、今井夏木監督(^_^)v。

8:
タクローが名波生花店で赤いバラを栞の墓前用に一本買います。
8-1:
花言葉を調べると…
赤いバラ:
情熱、愛情、熱烈な恋、尊敬、美
バラ全般:
愛、恋、美、幸福、乙女、秘密、無邪気、清新
バラの葉:
希望あり、頑張れ
バラのトゲ:
不幸中の幸い

ん~、栞に一目置いてたみたいですゾ。
8-2:
この時季理子が作ったいる花束の中心が黄色のバラ。
黄色で考えるとマリーゴールドですから「可憐な愛情」。
黄色のバラの花言葉は、

可憐、嫉妬、薄れ行く愛、美

愛情の減退、やきもち、嫉妬、君のすべてが可憐、美嫉妬、美

何となく季理子の心の中が分かります。
物語が進むとどういう事かハッキリします。

9:
亜子が花壇に水やりに来ます。
レイジがオルゴールを直した効果が現われ、心の鎧をまた少し緩めました。
また花壇へ行くと言う事は、自らレイジへ近付くと言う事。
…凄腕レイジです。

10:
亜子が花壇が荒らされてるのに気付き、それからまたマリーゴールドとサルビアを植える場面。
亜子の左側に奈留と季理子。
右側に来れば白杖の代わりになりますが、今のところ亜子に信用されてない二人です。



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プロフィール

CYPRESS

Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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