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雪舟等楊 『秋冬山水図』

★展示期間
2015年12月15日(火)~12月23日(水)天皇誕生日

★展示場所
東京国立博物館 本館2階 2室

秋冬山水図』のトーハクのHP→http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=4271

画像は、
「e国宝」から→http://www.emuseum.jp/detail/100146/000/000?mode=simple&d_lang=ja&s_lang=ja&word=%E9%9B%AA%E8%88%9F&class=&title=&c_e=®ion=&era=¢ury=&cptype=&owner=&pos=1&num=4

1:
あの有名な雪舟の国宝『秋冬山水図』です。
画集とか、日本美術の歴史とかでよく目にする絵です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年~1519年)とほぼ同時代(1420年~1506年)。
江戸以前になると芸術作品だけでなく何でも極端に少なくなり、この雪舟等楊も同じ。
オマケに京都は応仁の乱(1467年~1477年)で市街地が全焼してるから、雪舟等楊の絵も燃えちゃってるのもあるかも(涙)。
残ってる雪舟等楊の絵は少ないし、滅多に回顧展も開かれず見られる機会は、
ハッキリ言って無しと同じ。

オマケに今回の展示は、何と、9日間(@_@)。
まぁ、1階で環境整備とかやるとか色々トーハクにも都合があるのは分かりますが、
数は少ない雪舟等楊だし、しかも代表作の国宝だからもう少し長く展示して欲しいものです。


2:
と言う訳でウキウキと行ってきましした(^.^)。
二幅、左側が冬、右側が秋の景色。
この絵も小さく、日本の極一般的な狭小住宅に飾るのも可能(笑)。

2-1:
まずは、右側、『秋景』。
一点透視図で中央の楼閣へ視線を集める簡単で誰にも分かりやすい構成。
でも暫く見ると振り子の様に視線が左右に振れ、画面下の近景から中央の楼閣へ向かうのが分かります。
そして、背景の空へぽわ~んと登って行く感じがあります。
改めて実物を見ると、何か、楽しく、面白いですね。
これは、大したもんです。
一点透視図で絵を描くのは簡単ですが、こういう振り子の様な視線のリズムを感じさせるのは我等素人の下手の横好きには出来ません。

岩肌の描写とかもいいんですが、空のボカシ具合、これが出来ないんですよ、素人には。
この墨や水彩のボカシを空にやると俄然空に立体感、空間感覚、奥行き感が現れ、絵に物語感や詩情と言った物が現れます。
つまり、この空や風景の先はどうなっているんだろうと、想像力を刺激します。
この『秋景』なら、「秋」と言う題材から、これから来る冬の厳しさを思うか、それともその先の春と新年を思うか、
色々想像出来ます。

同時に筆の力だけでこういう絵を描けないのは明らかで、豊かな絵心や想像力、感性も必要なのも、
この絵からも分かります。

2-2:
左側、『冬景』。

これ、凄いワ(@_@)。
ダ・ヴィンチの『受胎告知』と比べると白黒だし、聖書の有名な場面でもありませんし(笑)、
単なる風景だし、
大変地味な絵ですが、大変進歩的であり、大変な名品です。

2-2-1:
画面の構成は右側の『秋景』と同じ。
違うのは背景。

中央左寄りになぜか、垂直線が在り、それが折れほぼ中央にまで来て岩の連なりに繋がります。
この垂直線が画面の中で一番目立ち、実物を見る以前から「これは何だ?」と気になっていました。

次に気になるのは、楼閣の背後、画面上では背景に描かれている物。
いやに目立つ垂直線もその一部になってると思われます。
楼閣の後に在るのは、断崖や絶壁とトーハク初めあちこちに書いてありますが、
楼閣や近景の岩場と比べると大きさのバランスがおかしく、自然の壁と思えないのです。
雪舟等楊ほどの絵師が風景画で遠近感を狂わす描写をするはずがありません。

更に分からないのが、この「絶壁」「断崖」の大部分を薄墨で塗りこめていて、地上の物を描いているのか、空を描いているのか、曖昧にしている事。
画面中央では「絶壁」「断崖」をいくらか描写していてるのですが、残りは薄墨。
これで残りも描いてあれば分かるんですが…

楼閣の直ぐ後は紙の白を使い雪を被った崖か山を表している様ですが、
背景の他の部分の表現を見ると、単純に雪を表しているとは思えなくなってきました。

同時に『秋景』では完全にバランスを取っているのに、なぜ中央左寄りに濃い墨で垂直線を加え主張させているのでしょう?
こんな目立つ意味不明の物を加えると絵のバランスを壊すものなのですが、そこは名手雪舟等楊、墨の濃淡が持つ力でバランスを取らせています。
この絵の場合では、薄墨を塗っている部分が多いので、塗り残した白の方が主張が強くなっています。
だから垂直線を左側に寄せ、白の部分を少なくしています。
このため、一見すると墨の垂直線が目立ちません。

2-2-2:
こうなると、問題になってくるのは、「何を描いた」ではなく、「何を表したか」になります。

分かりません(笑)。
絵の力、迫力、不思議な構成に圧倒され、どうでもよくなります(笑)。

何やら訳の分からんもんが、楼閣の背後に現れ圧迫する様に存在している。

雪舟等楊がこの絵を描いたのは晩年、70歳頃らしいので、西暦にすると1490年頃。
応仁の乱が終わってから13年。
室町幕府の政治的、経済的基盤の崩壊、
将軍の権威の失墜、それにより諸大名の権威も失われ下剋上が起きたり、民衆の間では加賀の一向一揆、山城国一揆が起きました。
そろそろ日本が戦国時代へと向かう頃。

とすると、一番簡単な解釈は時代がもたらす不安、これですな。

2-2-3:
しかし、どうもそれだけではないと納得出来ないし、絵を見続けていても他に何かを表している気がしてきます。
ん?
「他に何か?」
解釈の幅が広い、自由に解釈出来る余地が大きい、
こりゃ、抽象画の特徴じゃないか(笑)。

つ、ま、り、この『秋冬山水図』、写実の山水画、風景画ではなく、
抽象画(@_@)。

ヨーロッパでは未だにルネサンスの頃。
抽象絵画が現れるのは、1910年頃、カンディンスキーまで待たないと現れません。
それを雪舟等楊は1490年頃に、カンディンスキーより420年も前に『秋冬山水図』でやってみせた(@_@)。

日本では、
琳派の絵画にはたらし込みを使い、抽象表現ともとれる作品も少なく、
また龍安寺方丈庭園(寺に伝わる話では1500年頃)でお馴染みの枯山水小堀遠州(1579年~1647年)の作庭した庭園等、庭を眺めながら瞑想したり自由に心を遊ばせる場所まであります。

日本の抽象表現の始まりの一つと言えるのではないでしょうか(@_@)?

2-2-4:
ところで、右側「秋景」も背景の空を見て色々想像出来、これも抽象表現と言えるのではと思われるかもしれません。
「秋景」は空と分かる物を描いています。
しかし、左側「冬景」は絶壁や断崖とは簡単に判断出来ない曖昧は表現になっています。
簡単に判断出来るか出来ないか、ここが写実(=具象)と抽象の分かれ道になります。

2-2-4:
これで『秋冬山水図』が名品、進歩的、な理由がお分かり頂けると思います。
これで『秋冬山水図』に凄いと私CYPRESSが驚嘆、唖然としたのもお分かり頂けると思います。


3:
雪舟等楊の『秋冬山水図』と言う絵画、龍安寺方丈庭園枯山水
これらは抽象芸術の先駆者と言っても過言ではないと思います。
欧米に先駆ける事400年(@_@)。
400年ですよ、400年も前から作っていたのです(^.^)。

当の作者達は、抽象だとか写実だとか全く意識せず、単に素晴らしい作品を作りたい、
そのためには今迄に無かった方法も臆せず使ってみようと思っていただけでしょう。
作品を作る人達の大変自由な心の持ち方、そしてその結果出来上がる作品を受け入れる偏見とは無縁の一般人の大らかさ、
このどこの民族にも負けない美点を我等日本人は知り、誇ってもいいのではないでしょうか?




タグ 雪舟等楊 秋冬山水図 ダ・ヴィンチ 枯山水 龍安寺方丈庭園 小堀遠州 抽象画 カンディンスキー 抽象芸術




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