『フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展』

★簡単な紹介

○開催
2016年1月14日(木)~3月31日(木)
10:00~20:00
森アーツセンターギャラリー

HP→http://www.roppongihills.com/events/2016/01/macg_vermeer_rembrant/

TBSのサイト→http://www.tbs.co.jp/vermeer2016/


メトロポリタン美術館のフェルメール水差しを持つ女』が来るんで、見逃す訳には行かず、
行ってきました。


1:
展示番号48:『水差しを持つ女

この絵も『天文学者』同様気になる部分があるので絵葉書とクリアファイルを買い、
家に帰ってからも見てみました。

1-1:
第一印象、「ちっちぇ~」デス(笑)。
45.7cm×40.6cmしかありません。
警報にも引っ掛からず、警備員にも見つからず、監視カメラにも映らなければ、
大きめのバッグに入っちゃいます。
今迄、盗まれなくて幸運でした(^.^)。

1-2:
第二印象、「明るい」。
フェルメールが光の絵師と言われているからではなく、
この絵に辿り着くまで、他の絵が褐色系ばかりだったからです(笑)。
肖像画、静物画、風景画、17世紀のオランダ絵画に主要色が褐色なんです。
だから、この絵の室内の乳白色の壁が必要以上に目立ち、新鮮に見えます。

1-3:
さて、落ち着いて見ると…

まず、目立つのはお馴染みのラピスラズリの青。
女性が着ているスカートの色。
(スカートと言うよりも21世紀の現代の分類ではワンピースではないでしょうか?)
そしてテーブルクロスの赤、と言うか、臙脂(エンジ)。
背景の壁の乳白色、女性が被っている薄い布の頭巾の白。

色では、ラピスラズリの青と臙脂で画面上一番目立つバランスを取っています。
スカートの描写は、これは巧く考え省略してる様な感じが漂ってます。
襞やプリーツ、飾りなど無く、更にシワもありません。
単純な布にしてテーブルクロスの模様が持つ力を打消し、テーブルクロスが目立ち過ぎない様にしてますな。
単純な布にしたのはフェルメールの演出ですよ、間違い無く。

バランスで考えると、背景の壁に掛かっている薄い茶色の地図、これもフェルメールの演出ですな。
この画面右上の薄茶が無いと、白い頭巾と乳白色の壁の色の差が大変少ないため女性が目立たず存在感が弱まります。
フェルメールが単に描き加えてのではなく、本物の地図をここへ持ってきて掛けたのでしょう。

臙脂のテーブルクロスが映り込む水差しの下のお盆、背景のラピスラズリの布が映り込む水差し、
まぁ、これ位ならフェルメールや同等の技術があれば誰でも可能。
それより興味深かったのは女性が被る白い頭巾の薄さの表現。
下の服が透けて見える描写で薄さを表現。
同時に女性の右腕上腕の当りはあまり透けず、光が反射し、少々艶がある布だと教えてくれます。

さて、構図の方は相変らずフェルメール的な絵の中心に消失点を据えた透視図法。
女性の曲げた右腕を中心に”W”型の直線にし、穏やかな画面にリズム感や動きを与えてるのが分かります。

1-4:
さてさて、光の絵師と呼ばれるヨハネス・フェルメール。
光と影、つまり明度で一番目につくのは、水差しを持つ左腕の前腕。
題名の通り水差しが主題で、そこへ視線を持ってきたい訳です。
ですから、窓枠を持つ右手下側、右腕前腕下側、ここに光が当り、左腕前腕へと続く斜線を作っています。
女性の視線→右手下側(の光)→右腕前腕下側(の光)→視線を誘導する斜線→左腕前腕(の光)→水差し(の影、光との対比)
となってます。

また、フェルメールは存在するものをありのままには描かない嘘吐き(笑)でもあります。
真珠の耳飾りの少女』の光は自然な光線ではなく、『牛乳を注ぐ女』に描かれるテーブルは五角形。
写実絵画、写実描法だからと言って存在しているものをそのまま描いている訳ではないのです。
まぁ、別に難しく考える必要は無く、誰も見たことないキリストを描いているのと同じです。

この絵でも物の前後、影が気になります。

水差しに映り込むラピスラズリの布、これがどうも気になります。
画面中央右側、下寄りにある布です。
最初は背景の椅子に乗るか、掛けてあると思いましたが、水差しに映りこんでいますから、
テーブル載っていなければ映りこみません。
その証拠に水差しの下のお盆の影になっている部分があります。
この布、実は背景ではなく、水差しと女性との間にあり、近景と中景の間にあります。
前後の位置で考えると女性の両腕と同じ位置になります。

また水差し自体も気になります。
描かれている殆どの部分が脚の部分を除き影になっています。
画面の構成上は左腕前腕の光に当たり明るい部分との対比から正しいのですが、
実際にそうなのでしょうか?
持ち手の部分と注ぎ口は直線状にならなければ使い勝手が非常に悪くなります。
ところがこの絵の中では、どうも直線状には見えません。
つまりフェルメールが明度の対比の為に敢て注ぎ口を画面左寄りに寄せ描いた様に見えるんです。
おそらく正しい直線状にすると光が当る部分があらわれ、女性の上着の左袖のベージュと同じ明度になり、また色も近い色になり、
水差しの存在感を弱めるためでしょう。
気を付けて見ると分かりますが隣り合い接している色を同じにしていません。


その次に気になるのが女性の影。
背景の椅子に女性の影が掛かってもいいような気がしますが、
地図の茶色によって保ってるバランスが崩れるのは明らかです。
この絵の光の方向や角度を調べる方法がありませんから、詳しい事は不明。
また、女性が体をどれ位曲げているか、ひねっているかも不明。
実際にこの絵の通りになるかもしれませんし、フェルメールが絵の構成を考え描かなかったのかもしれません。

この辺の不自然そうな描写、演出と思われる描写をPCとか使って解析すると面白そうです。
その内『美の巨人たち』でやるんじゃないでしょうか?

まぁ、こうやって色々考えるのがフェルメールの特徴の一つ、楽しみですな、
まだ二つしか本物を見てないけど(笑)。


1-5:
全体の雰囲気は『天文学者』の鋭く強い雰囲気とは無縁。
穏やかな絵です。
天文学者』と比べると退屈と言っても過言ではありません。
注文主の依頼やフェルメールの意図が全く違うのでしょう。
誰がどういう絵にしてくれと注文したのか、気になりますね。

個人的には訴える力が強い『天文学者』の方が好きです。

ところでもう一つ気になったのが(笑)、
画面左下にあった皮脂らしい汚れ。
絵葉書やクリアファイル等写真にすると写ってません。
額のガラスに指が走り、帯状に皮脂が残った様です。
近付くと意外と目立ちます。
画面の構成を完全に壊しますから、フェルメールが描いたはずありません。


2:
ところでこの展覧会は閉館時間が遅く午後8:00。
これは便利です。
私は土曜日の午後6:00過ぎに行き、並ばずに入場出来、場内の観客もそれ程いませんでした。
水差しを持つ女』がやはり一番人気で一番人がいましたが、多くても10人程で楽に、長く、好きなだけ、遠慮せずに(笑)、
見る事が出来ました。
時間に余裕があれば遅い時間をお勧めします。

また、52階にありますから窓からの眺めも中々いい。
天気が良ければ夜景がキレイだし、予算が合えば(笑)夜景を楽しみながら食事も楽しめます。

お土産ではフェルメールかレンブラントの絵のマグカップを期待してましたが、
無し(涙)。




タグ フェルメール レンブラント 真珠の耳飾りの少女 牛乳を注ぐ女 天文学者 水差しを持つ女 美の巨人たち




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『美の巨人たち ヨハネス・フェルメール「天文学者」』

★放送
2015年5月16日(土)
TV東京系


放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/150516/index.html


1:
やはり私の様な素人と違い予算があるTV番組。
絵画に描かれた物を調べる事が出来ます(^.^)。

1-1:
壁に書いてあるローマ数字は、
“MDCLXVIII”
=1668年
(1668=(M=1,000)+(D=500)+(C=100)+(L=50)+(X=10)+(V=5)+(III=3))

これは薄く、実物を近くでゆっくり見れないとよく分かりません。
勿論私も分かりませんでした(笑)。

1-2:
後に掛けてある絵は「モーセの発見」
旧約聖書「出エジプト記」から。
映画『十戒』(主演:チャールトン・ヘストン、ユル・ブリンナー)、最近だと『エクソダス:神と王』を見た方なら御存じ。
ユダヤの民を率いてエジプトから約束の地へと向かったモーセ。
モーセは大移動を行うために現在位置を知り、進む方向を知るために天文学の知識に長けていたと考えられています。

説得力有り。
私の様な素人にはどんな絵なのか、推理する事さえ不可能(笑)。

1-3:
机の上に広げてある本は、
「天文学・地理学案内書」
第二版
アドリアーン・マティウス著
1621年版
、と分かるそうです(@_@)。
描かれている挿絵から第二版だと分かるそうです(@_@)。

1-4:
天球儀の左上の描写は「おおぐま座」、中央は「うしかい座」。
神話の世界を暗示しているとか。
これも私の様な研究不熱心な素人にはお手上げ(笑)。

1-5:
天球儀の手前に置いてあるのは、アストロノーム(=天体観測器)。
これは当時の物がどんな物か調べなきゃ分かりません(@_@)。
日本で調べられるのかなぁ…


2:
下絵を作るために「カメラオブスクラ」を使ったとか。
空気感、つまり、空気中の水蒸気を表し、空気を描いてる訳です。
フェルメールの現存するアトリエからカメラオブスクラの画像を単になぞってるだけではないのも、
研究から分かってるとか(@_@)。

カメラオブスクラは「美の巨人たち」で今迄に数回取り上げれましたナ。


3:
まぁ、こんな能書き(笑)、知らなくてもいい絵です(笑)。
でも、知って損になる知識というものは一つも無いのも事実。
より楽しむには知っていた方が良いデス。

現在、新国立美術館で展示中。
お勧めの一枚です。
展覧会HP→http://www.ntv.co.jp/louvre2015/


4:
この絵の私の解釈と感想文は、
http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-2098.html




タグ 美の巨人たち フェルメール 天文学者 カメラオブスクラ 新国立美術館



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『ルーヴル美術館展 日常を描くー風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄』

★簡単な紹介

国立新美術館
2015年2月21日(土)~6月1日(月)

国立新美術館のHP→http://www.nact.jp/exhibition_special/2015/louvre2015/index.html

展覧会HP→http://www.ntv.co.jp/louvre2015/
(→入場待ち時間がトップページに表示されています)


1:
見たいのはヨハネス・フェルメールの『天文学者』のみ。
展示番号38

見ました。

画像は展覧会HPから→http://www.ntv.co.jp/louvre2015/works/

これも、スゲ~は(@_@)。

1-1:
一言で表すと、
「ちっちぇ~」(笑)。
51X45cmしかありません。
これなら私CYPRESSの家のトイレにも飾れる(笑)。

冗談はさておき、
一言表現に再挑戦(笑)。
お答えは、
「鋭い切れ味」

天文学者』は画面を横に二分してます(@_@)。

こんな絵、見たことないです(@_@)。
これに匹敵するのは、私が見た限りでは、安藤広重の『名所江戸百景 神田明神曙之景』しかありません。
こっちは立木で縦二分し、更によしず張りの骨組みで横に二分してます(@_@)。

(葛飾北斎の『富嶽三十六景 甲州三嶌越え』も大木で縦に二分してますが、背景の富士山を画面右へかなり寄せバランスを取ってます。
このため二分してる感覚が小さい)

写真や絵の教科書を見ると、水平線や垂直線で絵を二分しない、二分すると力が半分になり絵が散漫になる、と書いてあります。
ところがヨハネス君、この絵を天球儀の赤道の輪で水平に二分してます(@_@)。
正確に上下に二分割してます(@_@)。
普段の展覧会では買わない絵ハガキとクリアファイルを買い、家で物差しで測ったら、
会場で予想した通り正確に二分割してました(@_@)。

この天球儀の赤道の輪の延長上にあるのが、画面左から右へ、
窓枠の下端
天文学者の右腕
天文学者の両肩
壁の絵の額縁の下端

これらが作る水平線が画面を正確に上下二分割してます(@_@)。
迷うことなく一気に画面を切り裂いています(@_@)。
峠や丘の水平線が空を切り裂く様に鮮やかに、鋭く切り裂いています(@_@)。

大胆不敵の正確な二分割(@_@)。

スゲ~(@_@)。

1-2:
何がスゲ~かと言うと、
天球儀の赤道の輪の描写です。
絵葉書、クリアファイル、本展覧会のHPの映像では分かりませんが、
当時の室内と同じ様な照度の会場で見るとよく分かるんです。
天球儀の赤道の輪がこの絵の中で一番目立ち、視線を捉えます。

それも赤道の輪全てが目立つのではなく、立体の上面だけ光が当り反射しているのを正確に描写しています。
その上面の狭い事、狭い事、細い事、細い事(@_@)。
近付いて観察すると、赤道の輪の側面と下面との色の差(=光の当たり具合と反射)が非常に小さい(@_@)。
更に天球儀の球の色との差も非常に小さい。

そ、れ、な、の、に、
赤道の輪の上面が信じられない程目立ち、際立ってます(@_@)。

驚異の描写力(@_@)。
人類史上最高の油彩写実表現画家、絵師の一人です。

1-3:
まぁ、これだけで十分「お腹一杯」になる程衝撃的な絵ですが、
その他の構図を見ると、左右の対角線とそれらと並行する斜線から出来ています。
フォトショップとかあると『天文学者』の画像に線を引いて構図を説明出来るんですが、
無いのでやらない(笑)。

1-4:
この絵の主題は天文学者ではなく、天球儀の赤道の輪です。
そして画面の上部と下部で違う事を暗示しています。
この解釈は、まず間違い無いでしょう。

上半分は窓が入り、窓外、海外。
そして右手。
下半分は室内、国内。
そして左手。

1-5:
天球儀があるからと言っても宇宙ではありません。
時代を考えれば、文字通りの海外です。
天球儀→六分儀→太陽の高度→緯度
です。
つまり、航海です。
海です。
大航海時代の末期です。

1-6:
下半分、机の上にあるのが日本の着物か着物型のガウン。
柄が植物。
暗示しているのは明らかに大地、地面。

1-7:
暗示している物事は分かりますが、それから先の解釈は、
よく分からん(笑)。

天球儀に右手、着物風ガウンに左手。
目の前にある窓。
航海、冒険、異国への関心、この着物はどこから来たのか、
この様な好奇心や探求心が天文学を初めとする学問や技術、科学を発展させていく、
こんな事なんでしょうか?

そう言った知識、学問、科学自体を象徴し、その重要性を象徴しているのが、
赤道の輪を際立たせた天球儀なんです。

題名は『天文学者』になっていますが、実際には天文学者は天文学や科学、学問に仕える人間の一人にすぎず、
科学や学問の発展により人類の幸福、祖国の繁栄と発展に貢献してる「使徒」なのです。

ここまで考えると、なぜ画面を上下二分したのか分かってきました。
絵画の基礎、イロハを知っている人間の関心を捉え天球儀の赤道の輪に関心と注意力を引き付けるためです。
そうすると私の様な半可通が、見事に引っ掛かりこの絵を忘れられなくなるんです(笑)。

1-8:
この絵も構成を非常によく考えてあります。
大変レベルの高い写実描写力です。
そして、この絵も実際のところよく分からないのですが、視線と心を捉えて離さない魅力を漂わせています。
魅力的な絵画の特徴の一つである、想像力を刺激する雰囲気があり、
更に想像力を自由に遊ばせる空間が絵の中に存在してます。
写実絵画ですから、目に見える物を全て描いていると思いがちですが、この狭い空間の中の背景をかなり曖昧に描いていて、
これのおかげで想像力が飛び跳ねやすくなっています。

今回、生れて初めてヨハネス・フェルメールの本物を見ました。
本やTVで観た通り、予想を裏切らぬ作品でした。
世界的に人気があるのも納得の出来具合です。

間違い無く人類の至宝であり、
このような作品を作ったフェルメールは人類史上最高の絵師、芸術家の一人です。


2:
まぁ、こんな至宝を一点でも見られれば後はどうでもいい。
「お腹一杯」ですから、他の作品を見て楽しむ余裕は皆無。
でも、そんな中に

展示番号26
『物乞いたち』
初代ピーテル・ブリューゲル
18.5X21.5cm

がありました。
机の上に置くカレンダー程度の小さな作品ですが、
数メートル離れ他のお客さんの頭越しに一瞥しただけでも、
直ぐにブリューゲルだと分かりました。

この点もブリューゲルの実力です。
今回はブリューゲルの本物を見られただけで満足でした。


3:
この展覧会で気になったの事が一点あります。
観覧料が当日料金で、
¥1,600
これは、高過ぎる(怒)。
映画のロードショウ公開と変わらんゼ(怒)。





タグ フェルメール 天文学者




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プロフィール

CYPRESS

Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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