『驚きの明治工藝』

★簡単な紹介

2016年9月7日(水)~10月30日(日)

前期:9月7日(水)~10月2日(日)
後期:10月4日(火)~10月30日(日)

東京藝術大学美術館

HP→http://www.asahi.com/event/odorokimeiji/


「明治の工藝」の五文字には抵抗出来ませぬ(笑)。

上野へ向かい山手線に乗ったら、何やら車内を撮影するおにーちゃんがかなりいる。
スマホだけでなく、それなりの値段がしそうなEOSで撮影してるいかにもな30過ぎのオッサンも。
よく見りゃおねーちゃんもいる。
「?」
「ラブライブ」とか書いてある。
非常に便利なスマホで「ラブライブ」を検索すると、「ラブライブ」はアニメで人気があるらしく、
山手線で一編成だけラッピング列車が走ってるとか。
改めて車内を見ると確かに「ラブライブ」の中吊りしかなく、ドアの上の液晶には何やらおねーちゃん達が歌ったり踊ったりしている映像も流れている。
ふ~ん、そう言う事か。

参考→http://news.lovelive-anime.jp/app-def/S-102/news/?p=11936

全く関心も興味も無いのでバッハの教会カンタータを聞きながらヒットラーの『我が闘争』の下巻を読み上野駅への到着を待ったのでした。

そして、ここが日本の少々芸術的才能がある学生憧れの大学かぁ、と門を通ったのです。


1:
今回の展示は台湾のコレクター宋培安氏のものだとか。

どれも素晴らしい出来栄えですが、自在はどうもねぇ…
自在は手にして実際に動かしてみないことにはその動きと作りが分からんからね。
全展示品131点中、24点も自在なんだから動画で撮影し、動き具合とか説明して欲しい。
ヴィデオグラムを出せとは言いませんから、その代りにYouTubeに上げて欲しい。


2:
作品番号:061
「月に梅図盆」
濤川惣助

あの濤川惣助の無線七宝で作った四角い盆。
盆と言うより見た目は皿ですね。
大きさは、縦28.5cm×横28.5cm

この展覧会はこれに尽きました。
濤川惣助お得意の筆で描いたような無線七宝。
題名の通り月夜を背景にした白梅です。
濤川惣助の無線七宝はどれも筆で描いた様なんですが、これは私が見た中ではどう見ても筆で描いたとしか思えません。
鉱物の粉末とふのりと水を混ぜた釉薬を金属の上に載せ、800℃で焼成したとは思えません。
色と色の間のボカシ具合、ボカサない部分の色と色のハッキリした境、どう見ても水彩なんです。

特に驚いたのが梅の太い枝の一部に使われている輪郭線。
その細い事細い事(@_@)。
幅は数ミリ。
そんな細い部分を二枚の薄い銀板で仕切り、そこへ釉薬を入れ埋めているんです。
オマケに梅の枝ですから複雑な曲がり具合をしています。
その複雑な形に銀板を加工し、金属板の上に置き、釉薬を入れる。
そのための集中力と指先の器用さ。
当然ですが、そんな細かい事、素人に出来る技ではありません。

そして梅の枝の描写の巧い事(@_@)。
3色の釉薬を使い、墨の濃度の違いと筆致の違いを表しています。
しかも色の境目はボカシがある所と無い所があり、正に筆で描いたのと同じ(@_@)。
とんでもない写実表現です。

更に、背景の月夜。
これが全体にボカシが入ってるんです(@_@)。
筆に薄墨を含ませて描いたのではないんです。

圧倒的な技術。
技術が秀でているだけでなく、絵の巧さ。
実に素晴らしい!(^^)!。

欲しいデス、これ(笑)。


3:
作品番号:060
「秋草鶏図花瓶」
濤川惣助

題名の鶏、その両脚の描写と技術が凄い(@_@)。
1mm程の細線で鱗状の脚鱗(きゃくりん)を描いています、釉薬で(@_@)。
秋草もススキ、オミナエシの細さ、細かさ、目が点状態です(笑)。


4:
お馴染みの森田藻己の木で作った根付、宮川香山の釉下彩、並河靖之の有線七宝、相変わらずのと言うか、当然の出来の良さ、素晴らしさ。
天鵞絨(ビロード)友禅の写実表現の素晴らしさと驚き。
「山姥香炉」、恵順が木で作った「山姥香炉」、何と、口から煙が出る(@_@)。
まぁ、煙が出なきゃ香炉じゃないけど(笑)。

いい作品が多かったのですが、濤川惣助の無線七宝「月に梅図盆」、「秋草鶏図花瓶」が圧倒的、抜群の出来で、
他が霞んじゃいました。

残念だったのは、作品番号:130「大文字焼図壁掛」無銘、刺繍。前期のみ。
傷みが多く糸があちこちで切れていました。


5:
お土産お買い物編
展覧会オリジナル品はよくある物だけ。
クリアファイルを買いました。
もう一つは藝大オリジナルのクロッキー帳、B6サイズ。
メモ帳にちょうどいい大きさで、オマケに藝大のロゴと記章がちょっとオシャレ(笑)。


6:
なお前期展へ行くと、リピート割引券がもらえます。
¥1,300が¥1,000になる割引券です。





タグ 東京藝術大学 濤川惣助 森田藻己 並河靖之 宮川香山 恵順





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『没後100年 宮川香山』

★簡単な紹介

2016年2月24日(水)~4月17日(日)

サントリー美術館
HP→http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2016_1/index.html

宮川香山を知ったのは『美の巨人たち』の放送で。

「渡蟹水盤」
2008年1月19日(土)放送
放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/080119/index.html
私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1641.html

「葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶」
2011年12月10日(土)放送
放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/111210/index.html
私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1656.html

明治の超絶技巧の工芸品なんですが、
『超絶技巧! 明治工芸の粋』(2014年4月19日(土)~7月13日(日)、三井記念美術館)
には、なぜか出品されませんでした。
(私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1758.html)



1:
今回展示されたのは、二つの技法に分かれます。
渡蟹と猫に代表される「高浮彫
それと、
素地に各色の絵や文様を描き、それから釉薬をかけ焼成する「釉下彩」。


2:
高浮彫

2-1:
作品番号139:高取釉高浮彫蟹花瓶

宮川香山と言えば蟹か猫。
その蟹が最初に展示されています。

東京国立博物館にもありますが、重文故か、まだ見たことありません。

見事です。
いつ動き出してもおかしくありません。
形、質感共に素晴らしいですが、今回近付いてよく見るともっと凄いのが分かりました。
目です。
少々知性がありそうな蟹の目をしているんです。

フィギャやプラモデルを作った事のある方なら御存じだと思いますが、
目を入れる、目を塗るのは非常に難しい。
TVで人形師の方が面相筆で目を簡単そうに入れていますが、
その道数十年の方だから簡単そうに入れている様に視聴者には見えるだけです。
我等素人にはとても出来る技ではありません。
我等素人の好き者が人形に目を入れると、単なる黒丸で知性や感情等脳の動きが分かりません。

ところがこの宮川香山の蟹には、本能に動かされてるだけとは言え、蟹独自のあの表情が目にあるのです。

この蟹花瓶、見飽きることがありませんでした(^.^)。


2-2:
ところが、
「第二章 高浮彫の世界」
で他の超絶技巧の高浮彫を見て行くと、5作品も見ないうちに疲れました。
高取釉高浮彫蟹花瓶は二匹の蟹のみ超絶技巧の細密写実表現で、花瓶は釉薬で作った模様だけです。
ところがそれ以外はエラくゴチャゴチャしています。
高浮彫はどれも見事なんですが、視線を跳ね返し直ぐに「満腹」状態。
このコーナー、全部で56作品、更に対になってる物もあるのでそれ以上実際にはあります。

明治時代の外貨獲得のための輸出用が多いので、白人の好みなのかもしれません。
マイセンの磁器を見ると、宮川香山のゴテゴテ具合も納得行きます。
有田焼や『超絶技巧! 明治工芸の粋』で見た薩摩の超絶技巧品のまとまり具合とかなり違います。

と言う訳で蟹以外は私の趣味に合いませんでした。


3:
釉下彩

釉下彩というのは、器の素地に彩色しその上に釉薬をかけ焼成する方法。
こういう風に書くと簡単そうですが、実際には焼成で多くの色を発色させるのは大変難しいらしい。
宮川香山の凄さは一回の焼成で何色も発色出来た事だそうです。

釉下彩の難しさは焼き物に関しては全くの門外漢なので宮川香山の評価を出来ませんが、
作品の出来栄えは、こんな私でも分かります。
特に高浮彫で「お腹一杯」状態だったので、簡素で優雅とも言う作品ばかりで目が洗われる思いでした。

3-1:
作品番号105:青華蟹図平花瓶

精華とは染付の事で、有田焼でお馴染み。
白地に呉須(酸化コバルト)で紋様や絵を描き、ガラス質の透明釉を掛け焼成し、
藍色に発色させた磁器。

高浮彫の蟹同様にこの蟹の目も、ちゃんと蟹の目になっています。

3-2:
作品番号120:釉下彩紫陽花図花瓶

紫陽花の花の中央をくり抜き、透明釉を入れ焼成してます。
内側から見るとどうなっているかと、反対側に回って見ると、
何と、
アゲハチョウが(@_@)。
同じ様にくり抜き、透明釉を入れ羽の模様にしています。

これには意表を突かれました(^.^)。
中々おしゃれな作りです。

3-3:
作品番号89:釉裏紅暗花柳図花瓶
釉裏紅(ゆうりこう)は染付の一種で、銅系の顔料を使い透明釉をかけ焼成し、紅色を発色させる技法。
暗花(あんか)とは中国の陶磁器の技法の一つで、
素地に軽く模様をつけ、釉薬をかけ焼成し、模様が薄く透けて見える技法。

つまり、ヤナギの模様を素地に軽く彫り銅系顔料を塗り透明釉をかけ焼成した花瓶。
離れると紅色の花瓶ですが、近くで見るとヤナギが現れてきます(^.^)。
これも凝ったお洒落な作りです。

3-4:
作品番号117:釉下彩籐花図大花瓶
藤の花を描いた花瓶は並河靖之も七宝で作ったのよなぁ、と思って見ていたら、
解説にも書いてあった(笑)。


4:
まとめ

高浮彫の派手さは正にアールヌーボー。
宮川香山の焼き物は殖産興業のための輸出品が多く、商売だから当然お客さんの好みに合わせます。
19世紀後半の欧米はアールヌーボー全盛期ですから、当然この手のゴテゴテ型になるでしょう。
これは日本だけでなく、当時のマイセンでもゴテゴテした作品が少なくありません。
しかし蟹、猫、鳩等、動物をモチーフにした作品は日本独自の物。
蜂の巣と蜂なんか、白人には絶対発想出来ない作品です。
欧米人の度肝を抜いたのも容易に想像出来ます。

とても素晴らしい作品しかこの展覧会には展示されていません。
日本人の発想、想像力、技術力、研究心、これらの特異性、素晴らしさを堪能するには最適の展覧会です。
高浮彫のゴテゴテ感にウンザリするか(笑)、心を奪われるか(笑)、自分で確かめに行くのも面白いと思います。





タグ 宮川香山 サントリー美術館 高浮彫 釉下彩 釉裏紅 暗花 並河靖之





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宮川香山の回顧展開催!

明治の超絶技巧の工芸品の作者の一人、焼き物の宮川香山の回顧展が開かれます(^.^)。

○場所
サントリー美術館

○日時
2016年2月24日(水)~4月17日(日)

○HP
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2016_1/index.html

サントリー美術館はまだ行ったことがなくて、ちょっと油断していて、最近まで開催されるのを知りませんでした(^_^;)。
宮川香山は『美の巨人たち』で2回取り上げられ(2008年、2011年)、以前から知ってました。
(私の記事『美の巨人たち 宮川香山 「渡蟹水盤」』→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1641.html)
(私の記事『美の巨人たち 宮川香山 「葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶」』→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1656.html)

宮川香山 眞葛ミュージアムは知ってたんですが、横浜だし、土日しかやってないんでちょっと行く機会がありませんでした(^_^;)。
(HP→http://kozan-makuzu.com/)

今回は宮川香山研究の第一人者田邊哲人(たなべてつんど)氏のコレクションが中心だとのこと。
田邊氏のHPの「一般公開」によると、かなり展覧会が開かれ、展示されていた(^_^;)。
参考HP→http://www.tanabetetsuhito-collection.jp/open.html

神奈川県立歴史博物館では常設展もやってる(^_^;)。

今から非常に楽しみです(^.^)。




タグ 宮川香山 サントリー美術館 田邊哲人



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『美の巨人たち 宮川香山 「葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶」』

★放送
2011年12月10日

1:
参考
美の巨人たちHP
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/111210/index.html

宮川香山 眞葛ミュージアム
http://kozan-makuzu.com/

Wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%B7%9D%E9%A6%99%E5%B1%B1

2:
前回紹介したのはワタリガニでしたが、今回は更に小さい蜂ですよ、蜂(@_@)。

作品自体も当然ながら素晴らしいですが、こういう偉大な人に圧倒されるのも毎度のことながら心地良い(^.^)。

上記以外にもネットで調べられますから、是非圧倒されて下さい(笑)。



タグ 美の巨人たち 宮川香山 葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶



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『美の巨人たち 宮川香山 「渡蟹水盤」』

★放送
2008年1月19日

気が付けば、もう6年前の放送(^_^;)。


1:
明治になってからの日本の工芸家は、ビックリ仰天の実力の持ち主が非常に多い。
この宮川香山もスゲー陶芸家です(@_@)。

参考
美の巨人たちのHP
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/080119/index.html

宮川香山 眞葛ミュージアム
http://kozan-makuzu.com/

Wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%B7%9D%E9%A6%99%E5%B1%B1


2:
この方の作品も超絶技巧、超絶細密、超絶写実なんです。

その昔、学校に美術の時間で焼き物を作りましたが、とても難しかった。
ですから、こんな写実的なワタリガニを焼き物で作れるとは、ただただ信じられません。

そしてTV画面からも伝わってきた独特の魅力的な雰囲気。

ほ、欲しい、けど買えるハズ無し(笑)。

その内、横浜の眞葛博物館に行きたい。



タグ 宮川香山 眞葛博物館 渡蟹水盤 美の巨人たち



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Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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