『ダリ展』その2
2016年9月14日(水)~12月12日(月)
新国立美術館
公式HP→http://salvador-dali.jp/
新国立美術館HP→http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/salvador-dali/
日本では約10年振りの回顧展、個人的には実物を見るのは約35年振り。
大々的な回顧展の割には、画集に入っている有名な作品は殆ど来ていません。
有名どころでは、フェルメールを小さく描いた「謎めいた要素のある風景」、福岡市美術館の「ポルト・リガトの聖母」、
「テトゥアンの大会戦」くらいだなぁ。
平日の昼過ぎに行ったら、雨模様にもかかわらず、意外と人出が多かった。
見るのに多過ぎる程ではありません。
ダリの人気に改めて驚きました。
1:
全体に退屈。
昔は好きだったんですが。
ここ4年程日本画の奔放さ、自由闊達さに圧倒され、慣れてますので(笑)、
ダリの夢を描いた程度の絵では、驚きません。
実に平板な絵しかなく、雰囲気を漂わせている絵が一枚もありません。
3Dの様な飛び出る絵も無く、画面の中へ引き込む絵もありません。
視線と心を釘付けにする強力な絵もありません。
フェルメールの時代なら自分程度の人間はいくらでもいたとダリ自身が言っていたと思いますが、
その通りで器用な職人なんだなぁ。
だからと言ってフェルメールの様な技術がある訳でも無し。
フェルメールの様な凝った技術を誇示する絵もありません。
それでも、存在しない物を画面に出現させる、と言う絵の特色の一つを十分に実行し、
題材も悪くは決してありません。
夢を描く、中々面白い。
理論、方程式、定理、公理、法則とは無縁の不条理な夢の世界を描いています。
しかも、見て興味をそそるものです。
ダリの人気があるのも分かります。
でも、何か、コケ脅しだよなぁ。
ダリもピカソも日本画を無視していたのに違いない。
2:
改めて見ると…
まず、初期の作品(1918年~1921年)は、大まかなタッチが特徴のフォーヴィズム。
続いて20世紀の美術の流れに従うサルバドール君なので(1923年~1927年)、
キュビズム。
この頃の作品は、まぁよく見るもので大したことありません。
色もキュビズムの頃はくすんだ色ばかりです。
これ以降はお馴染みのシュールレアリズム。
今回気付いたのが、
木や植物が無い。
空が突き抜ける様に青い。
地面は色が薄く、泥濘が全く無い。
雨や雪とは無縁で、空気が乾燥している。
そう、半砂漠のスペインの大地です、個人的には行ったことないけど(笑)。
雨が降るのは主に平原のスペインです。
褐色の大地と突き抜ける空と乾燥のスペインです。
日本じゃ絶対こういう絵や色使いは自然発生しません、当然だけど。
面白いね、存在しない夢の世界を描いているのに生まれ育った気候風土から決して逃れられません。
では、今回少しは心にかすった作品を。
2-1:
作品番号:034
「謎めいた要素のある風景」
1934年
ここに描かれている手前の人物がヨハネス・フェルメールで、奥の少年がダリ、だとか。
昔は「青いターバンの女」だった「真珠の耳飾りの少女」は小学生のガキの頃から知ってましたが、
フェルメールを改めて意識したのは、この絵です。
40年前かなぁ…(遠い目(笑))
この絵も何にも感興を起こさず、素通り。
ただ、空の表現が面白い。
黄砂か砂嵐、みたい。
こういう空は日本じゃ想像しにくいよなぁ。
2-2:
作品番号:103
「ポルト・リガトの聖母」
1950年
福岡市美術館蔵。
この絵も水平線で上下二分してた(@_@)。
全然記憶に無かった(笑)。
私CYPRESS、何を見ていたんでしょう(笑)?
この絵も他の多くの絵同様スカスカ。
祭壇、柱、山、幕、の一部。
ガラと御子は体の真ん中に空間がある始末。
そして全て透視図法の構成物の一部。
消失点にあるのは、パン。
そう、キリストの体の象徴。
作られた年は1950年。
広島と長崎の核爆弾以降。
現実が芸術家の想像力を越えた時代。
放射能は分子構造を切り裂く力があり、物質は分子まで戻される。
そういう時代に残るのは何?
ダリの答えが、パンで象徴されるキリスト。
それにしても、この絵、デカいなぁ。
275.3cm X 209.8cm
だそうです。
2-3:
作品番号:094-10
「ガラの晩餐」から
「レ・ビオ・ノノシュ」
おや、アルブレヒト・アルトドルファーの
「アレクサンドロス大王のイッソスの戦い」
を使ってる(@_@)。
ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク蔵。
この絵、小学生のガキの頃、好きでした(^.^)。
3:
さて、今回もクリアファイルを求め、特設ショップへ。
な、無い、「ポルト・リガトの聖母」のクリアファイルが(涙)。
オマケに、高い(怒)。
なんと、A4で¥600(怒)。
こんなに高いの、初めて?
それでも買うなら褐色の大地と突き抜ける青空の半砂漠のスペインを舞台した物が欲しく、
「オーケストラの皮を持った3人の若いシュルレアリストの女たち」にしました。
それにマグカップも無し(涙)。
お土産はともかく、絵自体に関しては予想通り退屈でした。
タグ ダリ 新国立美術館 フェルメール アルトドルファー ポルト・リガトの聖母
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
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