『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』その2

★簡単な紹介

2017年4月11日(火)~6月4日(日)

展示替え
4月11日(火)~4月16日(日)
4月18日(火)~4月23日(日)
4月25日(火)~5月1日(月)
5月2日(火)~5月7日(日)
5月9日(火)~5月14日(日)
5月16日(火)~5月21日(日)
5月23日(火)~5月28日(日)
5月30日(火)~6月4日(日)

東京国立博物館、平成館

HP→http://chanoyu2017.jp/

(東京国立博物館のHP→http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1828)


○前口上

二週続けて上野公園へ。
先週は満開だったサクラも終わってました。
東京国立博物館の平成館は今回が初めて。
1999年に開館。
2015年に改築。
明治に出来た本館と違い、超新しい。
初めての博物館、美術館で最初に行くのがトイレ。
国公立のトイレは、、まぁそれなりなんですが、ここは新しいんで、
何と、内装が大理石(@_@)。
こりゃ幸先がいい(^.^)。
少々期待に胸ふくらませ、展示室へ入ると…



1:
こ、これは、凄かった(@_@)。
私の様な焼き物、器、茶器に無知蒙昧の素人が見ても、とても面白かった(^.^)。

茶の湯の歴史が茶器の変遷と共によく分かる素晴らしい展示です。
特に最初に日本に来たのが、12世紀南宋の青磁と天目茶碗と言うろくろで作る最高峰であり、
究極の器が来たので、茶人の趣味と好みは別として、日本人の陶工の創造力と想像力を刺激し、
最高の物を作ろうとしたのが、よ~く分かりました(^.^)。
樂、織部、瀬戸、志野、等々真似をするのではなく、新たな最高のモノを作り出そうとしたのが、
ハッキリと分かりました(^.^)。

この展覧会は会場を五つに分け(第一章から第五章)、第一章から第四章までは各展示室に最低一つの天目茶碗を展示しています。
ろくろを使ったとは言え、人の手で出来た究極の形と器ですから、展示室全体を一部屋づつ引き締める効果があります。

天目茶碗は去年2016年に根津美術館でも見ましたが、これ程の実力(笑)があるのは、まだ分かりませんでした(笑)。
「量の変化が質の変化をもたらす」
が私の茶碗に関する「眼と心」にも起きている様です。



2:
まずは、天目茶碗

2-1:
第一章
足利将軍家の茶湯―唐物荘厳と唐物数奇

展示番号:1
曜変天目 稲葉天目
国宝
静嘉堂文庫美術館

展示番号:2
油滴天目
国宝
大阪市立東洋陶磁美術館

展示番号:43
「玳玻盞 鸞天目」
(たいひさん らんてんもく)
重要文化財
三井記念美術館

展示番号:44
「木葉天目」
重要文化財
大阪市立東洋陶磁美術館

展示番号:45
油滴天目
重要文化財


2-2:
第二章
侘茶の誕生―心にかなうもの

展示番号:61
「灰被天目 銘 夕陽」
(はいかつぎ)

展示番号:62
「灰被天目 銘 虹」
重要文化財
文化庁

展示番号:71
「黄天目 珠光天目」
永青文庫

展示番号:74
「白天目」
重要文化財
瀬戸、美濃


2-3:
第三章
侘茶の大成―千利休とその時代

展示番号:122-1
「黄天目 沼田天目」


2-4:
第四章
古典復興―小堀遠州と松平不昧の茶

展示番号:191
「菊花天目」
重要文化財
瀬戸、美濃
藤田美術館

展示番号:223
油滴天目
重要文化財
九州国立博物館


2-5:
と、書いた様に11口も展示されています(@_@)。
国宝が2口(@_@)。
重要文化財が7口(@_@)。

この高品質(@_@)。
「粒揃い」
と言う言葉はこういう事にしか使えないんだぁ(溜息)。

ろくろを使わなきゃ作れない完璧な円錐形、左右相似形。
ろくろを使ったとは言え、人間の指先でこれ程完璧、完全な形が作れるとは…(溜息)。
口が水平に見える位置まで腰を落として見ると、円錐形と相似形がよく分かります。
中国人の完璧主義、探究心が生み出したのに間違い無く、
同じ様な指向がある日本人が気に入るのも当然です。

実際に手に出来ないので確認出来ませんし、ケース越しに見た印象からだけですが、
中心線に対し完全に相似形になっている様ですから、手にした時に違和感を感じないはずです。
「掌にすっぽりと収まる」
と言う感覚になると思います。

また、全体の大きさも現代人の我々の感覚から判断すると小さ過ぎますが、
当時の人間の体格からすると、丁度いい大きさだと思われます。
江戸後期、日本人成人男性の平均身長は150cmらしいので、12世紀、13世紀の中国人もそれ程変わらなかったと思います。

胴と見込みに現れる模様。
油滴、曜変、灰被。
灰被は、水墨画の破墨の様な人間の創造力を刺激する景色で、驚くばかり。
稲葉天目の曜変の想像もつかない不思議な、魅力的な模様。
油滴の不思議なリズム感を生み出す模様。
灰被は人間の技と経験が少々は入りそうですが、それでも窯任せが大きく、
曜変と油滴は更に窯任せの割合が多いそうです。

完璧に近い形と運任せ美しい模様、こりゃ欲しくなるでしょう。
フェルメールが描いた室内画同様に緊張感がある茶碗です。


2-6:
これらの中でも、やはり、展示番号:1「稲葉天目」がずば抜けています。
模様の不思議さ、魅力、そして形の完璧さで飛び抜けているのです。

また、作品解説にも書かれていますが、
展示番号:2(国宝)と展示番号:223(重要文化財)の油滴天目は、同じ陶工が作ったのかもしれません。
傾き具合が似ているんです。
隣同士に置いて展示されていればハッキリするんですが、今回は離れているのが残念です。
それに実際に手にすれば私の様な素人にも分かるかもしれません(笑)。
ひょっとすると、この傾き具合、わざと作り、微妙にバランスを崩し、リズム感を生み出そうとしたり、
手に取る人間の関心を引いたり、驚かせ様として、不快感を与えないギリギリの崩し方をしているかもしれません。
そうだとすると、とんでもない陶工で人類史上最高の陶工になります(@_@)。



3:
樂茶碗

展示番号:74「白天目」
重要文化財

展示番号:191「菊花天目」
重要文化財
藤田美術館

この2口は瀬戸、美濃の産、日本製です。
真似をしたと言うより、倣った、追求した物と言っていいでしょう。

完璧を目指したと思われる天目に対して日本で作られた物が不完全を求めたとしても、
おかしくありません。
、とえらそーな事書きましたが、焼き物に関して何にも勉強してない素人の私CYPRESSの愚考にすぎません(笑)。
でも、作品の展示法を見るとそう思えるんです。
樂、瀬戸、志野、織部、これら日本製は完璧な形、完全な形を目指していない様です。
朝鮮の井戸茶碗も日本人は形が不完全なものを選んだ様です。

こうした物の中で、展示順のせいもあると思いますが、私の視線と心を捉えたのが、
長次郎作の樂茶碗でした。


3-1:
展示番号:134
「赤樂茶碗 銘 白鷺」
長次郎
京都、裏千家今日庵

展示番号:135
「赤樂茶碗 銘 無一物」
長次郎
重要文化財
兵庫県、頴川美術館
(えがわびじゅつかん)

展示番号:136
「赤樂茶碗 銘 一文字」
長次郎
重要文化財

展示番号:137
「黒樂茶碗 銘 ムキ栗」
長次郎
重要文化財
文化庁

展示番号:138
「黒樂茶碗 銘 利休」
長次郎

展示番号:140
「黒樂茶碗 銘 俊寛」
長次郎作
重要文化財
三井記念美術館

これらは、天目茶碗を見た直後だったので、ほっと一息吐きました。
実に温かい、人間的な、いい意味で「欠点が有る」物です(^.^)。
天目とは180度反対の方向を目指した作りです。
形が手びねり、ろくろを使わず指と手だけで作った物で、
歪みや曲がり、凹凸をそのまま残してあります。
その不完全さ、不均一さが実に効果的で、人間的な温もりがあるんです(^.^)。

釉薬も同様で、完璧な艶出し仕上げになっていません。
これも、目に優しく、大変好ましい(^.^)。

だからと言って、中心線から大きく外れ均衡を崩している訳ではありません。
天目茶碗の時と同じく、手にすると違和感皆無で、スッポリと収まる感じがするんでしょうなぁ。
並の腕前でないのは容易に想像出来ます。

ところで、
展示番号:137「黒樂茶碗 銘 ムキ栗」
は絶対ろくろで作れません。
なぜなら、上半分が四角い(笑)。


4:
志野

展示番号:171
「志野茶碗 銘 卯花墻
(うのはながき)
美濃
国宝
三井記念美術館

これも見事な崩れ具合(笑)。
でも、腰を落し、口が水平に見える高さで見ると、中心線から大きくずれていません。
見事です。
まぁ、当然なんでしょうけど、茶碗に開眼したばかりの素人には溜息が出るだけです(笑)。
さすが、国宝です(笑)。
これも、色と形に暖かみ、温もりがあるんです。
それに実際に手にすれば、違和感を感じずすっぽり収まるんだろうなぁ(笑)。


5:
茶碗、焼き物に関しては、まだ勝負にならん私CYPRESSです。
完全に負けています(笑)。

絵画に関しては小学一年生の時から好きで、絵画教室にも通った下手の横好きです(笑)。
取り敢えず、一応50年の歴史はあります(笑)。

それに比べ立体物に関しては、数年前の明治の超絶技巧の工芸品で始めたばかりです(^_^;)。

でも、今回の「茶の湯」で、漸くスタートラインに立ち、土俵には立てた様です。
天目茶碗は長谷川等伯や雪舟等楊が描く自然と同じ緊張感、厳しさがあるのが分かり、
樂、志野、瀬戸、織部には池大雅、与謝蕪村、田能村竹田の様な暖かさ、柔らかさがあるのが分かりました。
今迄彫刻や焼き物等立体物に心を動かされなかった私CYPRESSには大躍進、”quantum leap”でした。
人生の転換点を体験した数時間でした。
人生の刻み目を感じた一日と言っても決して大袈裟ではありませんでした。

今回『特別展「茶の湯」 日本の美、茶の名品ずらり』では大変いい経験をしました(^.^)。

焼き物、茶器、陶磁器の世界、夢中になる人がいるのが、よく分かりました。
酒飲みの話に例えると、ワインと同じ。
非常に個性豊かで、その個性が非常に多い。
広大で奥深く、興味深く、そして恐ろしい(笑)。



6:
こんな感じで圧倒され、少々焼き物が分かってきたので3回見て回りました。
そして、特設のミュージアムショップでいつもの様にクリアファイルを購入。
展覧会オリジナルは長次郎の樂や志野の卯花墻がなく、何か中途半端な稲葉天目だったんで、
静嘉堂文庫美術館オリジナルらしい稲葉天目のクリアファイルに決定。

それから年二回開園される庭園をそぞろ歩き。
かつては上野寛永寺の境内だけあり、古木巨木が多く、吹き渡る風は季節的にまだ薫風ではありませんでしたが、
中々気持ち良く、足運びは自然遅くなりました。
ただ庭園自体は、年に二回一月半づつしか開園されないので手入れがイマイチ行き届いていません。
茶室が全国から選りすぐりが五棟移築されているし、中央にある池もかなりの大きさですから、
もっとキレイな庭園になるはずです。
トレイラ―のカフェがあり、それも決して悪くありませんが、根津美術館の根津カフェの様なお食事処なら更に良くなり、
お客さんも増えるでしょう。
現状では庭園とは言い難いし、勿体無い中途半端な状態です。
そして改めて分かる、根津美術館の庭園と庭園を利用した根津カフェの素晴らしさです。






タグ 曜変天目 稲葉天目 油滴天目 長次郎 卯花墻





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『コレクション展 中国陶磁勉強会』

★簡単な紹介

2016年9月15日(木)~10月23日(日)

根津美術館

HP→http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html


立体物、3次元の芸術はどうも心に響くものがないんですが、
見たり触れたり使ってみなければ何も分からないので、
有名どころは出来得る限り見に行こうと思ってます。

>うまいまずいは食してから言うものだ!!
~福山庸治画「ドン・ジョヴァンニ」p,129から~

去年2015年、2回も見逃した曜変天目茶碗を見に根津美術館へ行きました。


1:
展示室1
作品番号:96
曜変天目
重要美術品

第一印象。
「ち、小っちぇ~」
茶道とは無縁なので、こんなに小さいとは知りませんでした(^_^;)。
女性用の飯茶碗位の小ささ。
又は、お値段が高い(笑)、日本料理店で出てくるご飯茶碗位。

次に目に付いたのが、屈んで下の方から見ると分かる釉薬の厚さ。
釉薬が掛からない高台と高台脇、そこと胴の境目にたっぷりと黒鉄釉が盛り上がっています。
黒釉は流れやすいからこの様になって当然だそうです。

全体を見ると、
こりゃ凄い(@_@)、
門外漢でも簡単に出来る物ではないと分かります。
模様の細かさと技巧の感じの無さ、こりゃどう見ても考えても、人の技ではありません。
筆で描けるものではありません。
明治の薩摩焼の細密な絵付けもいいですが、ちょっと敵わないかなぁ…
見込みと胴の両側にある細かな金の砂子風、砂子の周りに僅かに掛かる青、絵画なら出来そうですが焼き物では無理でしょう。
現在の福建省の健窯で南宋の時代に作られたそうですが現在でも製造法は不明で、偶然出来たのではとも考えられています。

当時はこの「曜変」は不吉の前兆と考えられ破棄されたため、
完品は世界中にこれ以外に3口(藤田美術館、静嘉堂文庫、大徳寺龍光院、MIHO MUSEUMの物は油滴とも考えられているのでこれを加えると4口)しかないとか。

見込みの底、茶溜りは釉が剥げている様に見えるし、その少し上の茶筅摺りの辺りは表面の透明のガラス質の釉にひびが入ってる様にも見えます。
加賀前田家伝来だそうなので、あのお金持ち藩だから実際に使っていたのではないでしょうか?
手に取って見て、触れば私の様な門外漢でも分かるんですが、お願いは出来ませぬ(笑)。

キレイな抹茶の緑も合いそうですが、白いご飯を盛っても悪くないな、これに(笑)。
ご飯の白が映え、「銀シャリ」なんて言葉を実感出来そうです(笑)。


2:
展示室1
作品番号:97
油滴天目

お隣の曜変天目と比べると地味。
地味なためか、この油滴天目は明らかに使ってます。
それも一回や二回ではないでしょう。
茶溜りの釉が明らかに剥げています。


3:
展示室1
作品番号:98
「健盞(けんさん) 禾目天目(のぎめてんもく)」

これは更に地味。
禾目、これは稲の穂先の様な模様だとか。
英語では”hare’s fur”。
「野ウサギの毛皮」模様。


4:
今回は題名の通り中国の陶磁器の歴史と紹介。
土器→灰釉陶器→施釉陶磁器
時代は、
紀元前6,000年から17世紀。

今回展示された物は青磁、白磁、染付、と悪い物はありませんが、
窯と炎頼みの曜変天目油滴天目禾目天目の美しさは、やはり、別格です。
私の様な門外漢でも分かるレベルの高さ。


5:
展示室2
作品番号:1
「漁村夕昭図」
牧谿(もっけい)
国宝

絵です(笑)。
同時開催です。
漁の絵にしては、描かれている空模様が晴朗とは言えません。

ん~、これ位です、わたしにとっては。


6:
庭園

久し振りにそぞろ歩いて気持ちいい気候でした(笑)。
オマケに曜変天目茶碗なんて世界的な貴重、希少品が展示されているのに来場者が少ない。
庭園にいる人も少なく、いつも以上に気持ち良かった(^.^)。
次回圓山應擧の時は、紅葉の見頃に来たいなぁ。


★まとめ

曜変天目油滴天目禾目天目
門外漢でも一目で分かる逸品、レベルの高さ、素晴らしさ。
人知が敵わぬ偶然。
こういう物が存在しているのを目の当たりにすると、襟を正す気分になります。
「目から鱗」です。
世俗、正に汚濁の日常生活を送っているのを気付かせる器です。
偉そうなこと言ったり、傲慢な事を言ったりしてる日常生活に句読点を打ってくれます。
小生意気な小僧なんですな、私は未だに(^_^;)。






タグ 曜変天目 油滴天目 禾目天目 根津美術館





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CYPRESS

Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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