★簡単な紹介
2016年5月26日(木)~7月10日(日)
雪舟展のみ展示替えがあり、
前期:5月26日(木)~6月19日(日)
後期:6月21日(月)~7月10日(日)
根津美術館HP→
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html雪舟等楊の絵が、何と、前期に9点、後期に11点も展示されます(@_@)。
しかも、題名の通り「
拙宗等揚」と名乗っていた若き日の作品を中心に展示されます(@_@)。
「鏡」は
銅鏡の事で、これはどうかなぁ…
前期展の終了間際にまずは行きました。
1:
作品番号:4
「溌墨山水図」、重要文化財
拙宗等揚筆
作品番号:7
「溌墨山水図」、重要文化財
拙宗等揚筆
(正木美術館)
「溌墨」は「はつぼく」と読みます。
墨を垂らして(=溌)描いた墨絵で、中国の唐時代に出来た技法との事。
英語では”splattered ink”と書いてありました。
先日出光美術館で見た
雪舟等楊の「破墨山水図」も同じ系統の技術。
「溌墨」と「破墨」に違いは小さいらしい。
こういう粗いタッチの絵、好きなんです(^.^)。
先日行った立石鐡臣画伯の回顧展でも何点もありました。
「?」
何だ、表現主義(expressionism)、野獣派(fauvism)と同じじゃん(^.^)。
唐の時代だから7世紀頃にはこの表現が完成していたから、白人に先んずること1,300年!
更に、溌墨は見る人間の想像力を刺激する形を描けますから、表現主義や野獣派より繊細な、
細密な表現になっています。
表現力が大変豊かです。
山、森、木立、木々の葉、
この様な風景が見えます、簡単に想像出来ます。
素晴らしい出来栄えです。
2:
作品番号:5
「山水図」、重要文化財
(京都国立博物館)
拙宗等揚筆、龍崗真圭賛
作品番号:6
「山水図」
拙宗等揚筆
作品番号:10
「四季山水図」夏景、重要文化財
(東京国立博物館)
拙宗等揚筆
山水図3幅、細かく描いてます。
「四季山水図」夏景は興味深い。
近景、画面下半分に松を描いちゃってます。
中景に家があって、結構この松の木が邪魔ですが、
松の木の後を霧らしき物で白飛びさせ邪魔し過ぎない描写です。
ジグザグ型、電光型になっていて後景の『小さな中国のお針子』のロケ地の様な急峰へと
視線を誘導しています。
こういう構成を見ると、日本や中国では自然界と人間の世界がそれ程離れてないのが分かります。
西欧社会と決定的にちがいます。
それにしても、重文に指定されているだけの事はあり、いつまでも見ていたい絵でした(^.^)。
3:
作品番号:1
「芦葉達磨図」
(米国スミスカレッジ)
拙宗等揚筆
作品番号:3
「出山釈迦図」
拙宗等揚筆
今回の目玉の「芦葉達磨図」。
2008年、アメリカで発見され日本で修復後、初公開。
構図を考えながら筆で一気に描きあげてあるのは分かります。
とても我等素人の横好きに描ける絵でもないのも分かります。
いかにもよく目にする達磨図で、う~ん、「だから何?」状態。
むしろ「出山釈迦図」の描写に方がいい。
顔が普通のおっさん。
両足の表現が獣じみて「芦葉達磨図」と同じ。
両手は2作品共懐手(?)なので、両足で己の信じる道を進む信念を表しています。
4:
銅鏡ハッキリ言って、こっちの方が凄かった。
中国の持つ底力をまざまざと見ました。
興味が無い
銅鏡でしたが、「美味い不味いは食してから言うもの」を今回も実行して正解でした(^.^)。
静岡の光学機器商の村上英二氏が商売で扱っている鏡の一つとして
銅鏡を手にした事から収集が始まり、
その後2010年にコレクションを
根津美術館に寄贈したとか。
そのコレクションの中から61点が展示されました。
紀元前3世紀の戦国時代から13世紀~14世紀の元の時代までの
銅鏡です。
文様の精緻さと多様さ、これにはただ、ただ、驚くばかり。
全て鋳物ですから、鋳型の彫刻の精緻さと正確さに驚愕しました。
線や形にだれた所が一か所も無く、非常に鋭い。
彫り込みで直角な部分も角が丸なったりしていません。
これだけの精確な作りの鋳物を紀元前3世紀にすでに作れた事、単純に圧倒されます。
複雑な文様でありながらも、多くの文様が入っていながらも、ごちゃごちゃ感、うるささがありません。
非常にスッキリしています。
これも上等な作品である事の証。
逆に『開運!なんでも鑑定団』でよく耳にする「鋭さ」があります。
どの
銅鏡も鋭いんです。
古の中国の職人、芸術家達、美的感覚に優れていたのは間違いありませんが、
それだけに頼らず思い上がらず、工夫し、より良い物を目指したのが分かります。
こりゃ、集める人がいて当然だし、美術館に展示されて当然、納得します。
私CYPRESSの様にまだ見たことない方々、是非見て下さい。
新たな世界が広がりますよ。
5:
まとめ
若き日の雪舟は見飽きず、いつまでも見ていたい絵ばかりでした。
流石です。
予想通りで驚くにあたらず(笑)。
後期展で展示される作品もたのしみです。
しかし、
それ以上に青銅で作られた銅鏡の精緻さ、多様さ、全体に漂う鋭さ、
ビックリしました。
素晴らしい出来の作品ばかりです。
6:
根津美術館、今後の予定
次回は
『コレクション展 はじめての古美術鑑賞 -絵画の技法と表現-』
2016年7月23日(土)~9月4日(日)
HP→
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/next.htmlたらしこみ
外隈
金雲
截金
裏箔
溌墨
白描
付立て
繧繝彩色
「たらしこみ」以外読めない言葉があれば、私CYPRESSの様に(笑)、行った方がいい(笑)。
日本画の技術を
根津美術館のコレクションを使って説明してくれます。
秋が深まると
『開館75周年特別展
円山応挙』
2016年11月3日(木、祝)~12月18日(日)
この展覧会のページはまだ出来ていません。
年間スケジュール→
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/schedule.html應擧のあの重要文化財「藤花図屏風」が展示予定(^.^)。
これも楽しみであります(^.^)。
タグ
雪舟等楊 拙宗等揚 銅鏡
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ジャンル : 学問・文化・芸術