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『没後100年 宮川香山』

★簡単な紹介

2016年2月24日(水)~4月17日(日)

サントリー美術館
HP→http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2016_1/index.html

宮川香山を知ったのは『美の巨人たち』の放送で。

「渡蟹水盤」
2008年1月19日(土)放送
放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/080119/index.html
私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1641.html

「葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶」
2011年12月10日(土)放送
放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/111210/index.html
私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1656.html

明治の超絶技巧の工芸品なんですが、
『超絶技巧! 明治工芸の粋』(2014年4月19日(土)~7月13日(日)、三井記念美術館)
には、なぜか出品されませんでした。
(私の記事→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1758.html)



1:
今回展示されたのは、二つの技法に分かれます。
渡蟹と猫に代表される「高浮彫
それと、
素地に各色の絵や文様を描き、それから釉薬をかけ焼成する「釉下彩」。


2:
高浮彫

2-1:
作品番号139:高取釉高浮彫蟹花瓶

宮川香山と言えば蟹か猫。
その蟹が最初に展示されています。

東京国立博物館にもありますが、重文故か、まだ見たことありません。

見事です。
いつ動き出してもおかしくありません。
形、質感共に素晴らしいですが、今回近付いてよく見るともっと凄いのが分かりました。
目です。
少々知性がありそうな蟹の目をしているんです。

フィギャやプラモデルを作った事のある方なら御存じだと思いますが、
目を入れる、目を塗るのは非常に難しい。
TVで人形師の方が面相筆で目を簡単そうに入れていますが、
その道数十年の方だから簡単そうに入れている様に視聴者には見えるだけです。
我等素人にはとても出来る技ではありません。
我等素人の好き者が人形に目を入れると、単なる黒丸で知性や感情等脳の動きが分かりません。

ところがこの宮川香山の蟹には、本能に動かされてるだけとは言え、蟹独自のあの表情が目にあるのです。

この蟹花瓶、見飽きることがありませんでした(^.^)。


2-2:
ところが、
「第二章 高浮彫の世界」
で他の超絶技巧の高浮彫を見て行くと、5作品も見ないうちに疲れました。
高取釉高浮彫蟹花瓶は二匹の蟹のみ超絶技巧の細密写実表現で、花瓶は釉薬で作った模様だけです。
ところがそれ以外はエラくゴチャゴチャしています。
高浮彫はどれも見事なんですが、視線を跳ね返し直ぐに「満腹」状態。
このコーナー、全部で56作品、更に対になってる物もあるのでそれ以上実際にはあります。

明治時代の外貨獲得のための輸出用が多いので、白人の好みなのかもしれません。
マイセンの磁器を見ると、宮川香山のゴテゴテ具合も納得行きます。
有田焼や『超絶技巧! 明治工芸の粋』で見た薩摩の超絶技巧品のまとまり具合とかなり違います。

と言う訳で蟹以外は私の趣味に合いませんでした。


3:
釉下彩

釉下彩というのは、器の素地に彩色しその上に釉薬をかけ焼成する方法。
こういう風に書くと簡単そうですが、実際には焼成で多くの色を発色させるのは大変難しいらしい。
宮川香山の凄さは一回の焼成で何色も発色出来た事だそうです。

釉下彩の難しさは焼き物に関しては全くの門外漢なので宮川香山の評価を出来ませんが、
作品の出来栄えは、こんな私でも分かります。
特に高浮彫で「お腹一杯」状態だったので、簡素で優雅とも言う作品ばかりで目が洗われる思いでした。

3-1:
作品番号105:青華蟹図平花瓶

精華とは染付の事で、有田焼でお馴染み。
白地に呉須(酸化コバルト)で紋様や絵を描き、ガラス質の透明釉を掛け焼成し、
藍色に発色させた磁器。

高浮彫の蟹同様にこの蟹の目も、ちゃんと蟹の目になっています。

3-2:
作品番号120:釉下彩紫陽花図花瓶

紫陽花の花の中央をくり抜き、透明釉を入れ焼成してます。
内側から見るとどうなっているかと、反対側に回って見ると、
何と、
アゲハチョウが(@_@)。
同じ様にくり抜き、透明釉を入れ羽の模様にしています。

これには意表を突かれました(^.^)。
中々おしゃれな作りです。

3-3:
作品番号89:釉裏紅暗花柳図花瓶
釉裏紅(ゆうりこう)は染付の一種で、銅系の顔料を使い透明釉をかけ焼成し、紅色を発色させる技法。
暗花(あんか)とは中国の陶磁器の技法の一つで、
素地に軽く模様をつけ、釉薬をかけ焼成し、模様が薄く透けて見える技法。

つまり、ヤナギの模様を素地に軽く彫り銅系顔料を塗り透明釉をかけ焼成した花瓶。
離れると紅色の花瓶ですが、近くで見るとヤナギが現れてきます(^.^)。
これも凝ったお洒落な作りです。

3-4:
作品番号117:釉下彩籐花図大花瓶
藤の花を描いた花瓶は並河靖之も七宝で作ったのよなぁ、と思って見ていたら、
解説にも書いてあった(笑)。


4:
まとめ

高浮彫の派手さは正にアールヌーボー。
宮川香山の焼き物は殖産興業のための輸出品が多く、商売だから当然お客さんの好みに合わせます。
19世紀後半の欧米はアールヌーボー全盛期ですから、当然この手のゴテゴテ型になるでしょう。
これは日本だけでなく、当時のマイセンでもゴテゴテした作品が少なくありません。
しかし蟹、猫、鳩等、動物をモチーフにした作品は日本独自の物。
蜂の巣と蜂なんか、白人には絶対発想出来ない作品です。
欧米人の度肝を抜いたのも容易に想像出来ます。

とても素晴らしい作品しかこの展覧会には展示されていません。
日本人の発想、想像力、技術力、研究心、これらの特異性、素晴らしさを堪能するには最適の展覧会です。
高浮彫のゴテゴテ感にウンザリするか(笑)、心を奪われるか(笑)、自分で確かめに行くのも面白いと思います。





タグ 宮川香山 サントリー美術館 高浮彫 釉下彩 釉裏紅 暗花 並河靖之





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気になる監督は堤幸彦。
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