『没後40年 高野野十郎展 -光と闇、魂の軌跡』
2016年4月9日(土)~6月5日(日)
目黒区美術館
HP→http://www.tnc.co.jp/takashimayajuro40/art/#anchor_art
1:
全然知らない洋画家なんで、どんなもんかと目黒まで行って見てきました。
2:
写実の洋画家、大正から昭和にかけての方だとか。
(1890年(明治23年)~1975年(昭和50年))
写実と言ってもバリバリの本格派と言うのではなく、点描風の風景とか、イラスト風の植物とか、そんな感じ。
静物で植物を描くと正面を向いた花を強調、意匠化してます。
3:
木や花を主題にした絵では、木や花の茎をクネクネ曲げて描いています。
今回の展覧会の展示順だと大正14年の作「けし」(作品番号14)はかなりクネクネし、以降の作品の曲り具合を仄めかす様です。
この「けし」の茎で曲がり具合が気にならないのは、実際にけしの茎が曲がる事が少なくないからです。
それでもこの絵でのクネクネ具合は、間違い無く演出、誇張です。
この絵のケシの濃く強い赤い花と全体の雰囲気が何やら怪しい雰囲気を漂わせています。
ケシの一部の亜種、品種からは悪名高きアヘン(生成するとモルヒネ、ヘロインになる)が取れますから、この怪しげな雰囲気はいい。
4:
からすうり
作品番号113
私CYPRESSにとってカラスウリと言えば、月刊アトリエ1974年4月号(通巻566号)「細密画の描き方」を書かれた立石鐡臣(1905年(明治38年)~1980年(昭和55年))。
立石鐡臣が描かれた「月に献ず」(80号F、1972年第46回国画会展出品)の中のカラスウリ。
アトリエ「細密画の描き方」の中でこの絵の制作記があり、カラスウリは画伯が若い頃にも描いたこともありかなり量を書かれています。
去年2015年、丁度1年前に東京銀座の泰明画廊で回顧展をやり、そこで「月に献ず」も展示されました。
う~ん、全然知らなかった(涙)。
行きたかったなぁ(涙)。
80号の大作なので大きな画像で見たいのですが、残念ながらネット上にありません。
泰明画廊のHPにありますので、興味のある方はご覧になって下さい。
『立石鐡臣展 –生誕110周年-』→http://www.taimei-g.com/artist/tateishi/tateishi.htm
また私CYPRESSは人生後半に入りかなり経ってるヲヤヂですから、
子供の頃、都会郊外でも自然がまだ多く残りカラスウリも身近な存在でした。
ウリ科ですから、秋には緑と薄緑の縦縞の実を結び、熟すと橙色から朱色になります。
立石鐡臣の「月に献ず」では、この朱色で絵の色のバランスを取るために使ったのは間違い無いでしょう。
それで、高野野十郎の「からすうり」
蔓性なのでこれもクネクネしてます。
そして冬枯れし熟した橙色の実。
上から下へ流れ落ちる様な構図にしています。
でも、それだけの絵なんだなぁ…
「月に献ず」では少なくとも色のバランスを取る役目を果たしているんですが…
この「からすうり」のクリアファイルがあったので、買いました(笑)。
5:
風景画
5-1:
パリ郊外
作品番号29
これ、全体の構図が紋章学で言う”bend dexter”。
見る人の左上→右下へ向かう線、帯。
この絵もそれだけ。
5-2:
萌え出づる森
作品番号75
自然が今より遙かに残っていた時代の人だし、ハイキングと言わなくても野山をよく歩いていたと思われます。
春、新緑が一気に芽生える時期の森を描いた絵。
この時期、葉の成長具合が進み過ぎず、天気がいいと森の中まで太陽光が十分に入り、森の空間が萌木色、黄緑の空間になります。
秋でも同じ様に黄色になる葉の森だと、森の空間が黄色になる場合と時間があります。
とても美しく、自然の美しさを実感し、一種の至福の時間を満喫出来ます。
「萌え出づる森」は全く違い、高野野十郎はこの貴重な空間と時間を知らなかったんでしょうか?
5-3:
その他に風景を描いてるんですが、光、空気、匂い、何にも伝わってきません(涙)。
川合玉堂が奥多摩で描いた風景とはエラく違います。
6:
まとめ
何にも伝わってきませんでした(涙)。
7:
その他
目黒区美術館は目黒川沿いにあり、緑豊かです。
目黒川沿いには遊歩道があり、桜の大きな木が並木になり天蓋の様に覆っています。
英語の”tree canopies”です。
花見の頃は見事な景観に間違い無く、人出にもウンザリするのは間違い無いでしょう(笑)。
5月現在では、tree canopiesになり緑陰を作りとても美しく気持ちいい(笑)。
散歩にとてもいい所です。
個人的にはこのtree canopiesで気持ちいい多摩湖の周回道路の南側が東京都で一番美しい道ですが、
この目黒川沿いの道は第二位。
一位にならないのは、目黒川が汚過ぎるからです。
タグ 高野野十郎 立石鐡臣 川合玉堂 目黒区美術館 目黒川
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術