『没後30年 鴨井玲展 踊り候え』 北陸新幹線開業記念
2015年5月30日(土)~7月20日(日)
東京ステーションギャラリー
HP→http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201505_Rey_Camoy_Retrospective.html
フルHDの液晶で見ると雰囲気が悪くないので、見る事に決定。
それでもね、健やかな精神とは言えそうもない絵なんで、どうかなぁ…
琳派、長谷川等伯、圓山應擧、歌川広重、葛飾北斎、川瀬巴水、牙彫の安藤緑山、七宝の濤川惣助、眞葛焼きの宮川香山、その他大勢、
こういう傑作を作り出し、私の好みの絵師や工芸家は、健やかな精神の作品しか残してませんからねぇ…
あの自分の精神状態の疑問を感じていたフィンセント・ファン・ゴッホでさえ、残した絵は健やかです。
今更こう言った「狂気」とも言うべき作風を売りにした絵師の絵なんて、明らかに時代遅れ、時代錯誤なんじゃないでしょうか?
ある種、太宰治風と言えるかもしれません。
太宰治も一通り35年前に読みましたが、読み返す気にならないのも似ています。
この回顧展のチラシに書いてある
「人間の心の闇」
なんて言うものは、「人間」と書いてある通り鴨井玲だけのものだけでなく、人間、誰でも持ってるもんなんです。
同じ様に「放浪癖」とか、「寂寥感」なんてわざわざ書いて強調なぞする必要も全く無く、人間、誰でも多かれ少なかれ持ってます。
こんな感じで全く期待せず、でも、見ないことには何も分からんし書けんので行ってきました。
1:
そして、予想に違わず、私の心の響く絵は皆無。
鴨井玲、他に何か描くべき物、者、モノ、もの、無かったんでしょうか?
精神が病んでると言うか、悪趣味と言うか、フルHDの液晶で見た印象と変わらず。
絵は「病んでいる」、「健やかからは程遠い」。
しかし、漂わせる雰囲気は、なぜか、心地いい。
これも、フルHDの液晶で見た時と変わらず。
おそらく私が高校生の時に見れば気に入ったはずです。
こういうある種の暗い雰囲気を漂わせた絵が大好きだったからです。
今でもこの種の暗い雰囲気を漂わせた絵は好きですが、欲しいとも思わないし、夢中になる事も無ければ、心を捉えられることもありません。
2:
薄塗り
フルHDの液晶で分からないのが、筆使い、筆の勢い、絵具の塗り具合等。
こういうものがどんな感じかと近付くと、
おや、TVとかネット、チラシで見た時の印象とは違い、絵具はかなりの薄塗りです。
ゴッホみたいな盛り上げる様な描き方は殆どしていません。
厚塗りの絵は、
展示番号:12 「蠢く」
展示番号:13 「赤い老人」
などの初期の抽象表現の作品でのみ。
全ての作品でかなり近付けるので、よく見ると、
場所によってはキャンバスの繊維まで分かります。
そして展示された遺品の中にはその薄塗りを証明するかの様に筆は、
白い豚毛の硬毛と同じ位茶色系の軟毛の筆が有りました。
豚の白い毛は硬く、油彩独特の硬毛の筆。
強いタッチや荒々しい表現等、ゴッホの絵等によく使われます。
茶色系の軟毛は、コリンスキー、テン、ミンク、タヌキ等の毛で水彩の様に油を多く使い薄く塗る時に使います。
鴨井玲の遺品には軟毛の筆も多く、まぁ当然ですが、残された作品通りです。
3:
肩を広げ、胸を広げる人々
鴨井玲が描く人々は、姿勢と無関係に肩を広げ、胸を広げる人が殆どでした。
表わすのは、声を上げようとする事。
その後はどうなるか、とか考えるのは面倒なので、無し(笑)。
鴨井玲には、わざわざ考えたくなる程の魅力が私にはありません。
4:
こんな感じで私には大したことない回顧展でした。
残念なのは、笠間日動美術館蔵「蜘蛛の糸」が来なかった事。
題名通り芥川龍之介の短編から。
見られなかった代わりにミュージアムショップでクリアファイルを買いました(笑)。
オマケに赤レンガ模様のマグカップも買いました(笑)。
タグ 鴨井玲
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術