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『太陽への脱出』

★簡単な紹介

○公開
1963年

○上映時間
1時間50分

○スタッフ
企画:高木雅行、林本博佳
脚本:山田信夫、山崎巌
演出:舛田利雄
撮影:山崎善弘
照明:藤林甲
美術:松山崇
特殊技術:金田啓治
音楽:伊部晴美

○出演
石原裕次郎………速水志郎
岩崎加根子………楊愛蓮
二谷英明…………佐伯正平
殿山泰司…………松浦利明
田中明夫…………呉山
南田洋子…………杉浦秋子
高品格……………ダンロム警部
宇野重吉…………社会部デスク
内藤武敏…………野党議員




★評


1:
つまらん映画だなぁ…(溜息)。
単に冗長、ダラダラと引き延ばしてるだけ(溜息)。
映画全盛期終盤に作られたのにこの程度の出来とは、絶望的状態(溜息)。
これではアクション映画でハリウッドに永遠に勝てないよなぁ(溜息)。


2:
この映画を知ったのは、
『MGCをつくった男 総括編』と『世界映画・拳銃大図鑑 小林弘隆ベストワーク集』に出ていたから。
日活からモデルガンメーカーのMGCにP08とトンプソン・サブマシンガンの製作を依頼したとか。

これらの本によると、両方とも撃つと空薬きょうが排莢されとか。

その通り、本当に、ちゃんと排莢された(@_@)。
5秒くらいのカットが3回。

P08のトグルの動きが遅すぎますが、これは、凄い、良くやった(^^♪

当時は両方共モデルガンさえ無かったから、ほぼ手作りじゃなかったんじゃないでしょうか?
現在の目で見ると形のおかしさが目につきますが、それなりの形にはなっていますし、
撃つと空薬きょうがちゃんと排莢されるのには、私の様な銃ヲタクには、ただただ驚きでした(^^♪。

当時の日活アクション映画に出て来るピストルは「日活コルト」と言う銃口から火が出るだけの物でしたからね。


3:
亡くなられた淀川長治さんが、
「映画の中に何か一つでもいいものがあれが、それはいい映画」
と言ってました。
まぁ、この映画もいい映画と認めにゃいけません。






タグ 二谷英明 石原裕次郎 淀川長治






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テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

『図書館戦争 映画版のテレビ特別編集版』

○放送
2015年10月4日(日)
午後9:00~10:54
TBS系


1:
何か、これも詰め込み過ぎて自滅(溜息)。

検閲とそれへの抵抗。

恋物語。

新人の成長物語。

やたらとある銃撃戦。

つまらなくなる要素のてんこ盛り(溜息)。


2:
図書館、本、検閲、焚書、と言えば、
ブラッドベリーの『華氏451度』。

本を燃やすと言えば”fire man”=「焚書官」で、
これも正に『華氏451度』。


3:
新しいものと言えば、話をつまらなくさせるもののてんこ盛り位。
と言う訳で、全然面白くなかった(溜息)。



タグ 図書館戦争 華氏451度



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テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

『弾痕』

★簡単な紹介

○公開
1969年9月10日

○上映時間
1時間34分

○スタッフ
脚本:永原秀一
演出:森谷司郎
撮影:斉藤孝雄
照明:小島正七
美術:村木与四郎
音楽:武満徹
プロデューサー:貝山知弘

○出演
加山雄三…………………滝村憲
太地喜和子………………有村沙織
佐藤慶……………………三宅
岡田英次…………………ジョージ・北林
立花マリ…………………久野薫
納谷悟朗…………………渡海
小沢忠臣…………………野瀬
岸田森……………………楊
ロルフ・ジェサップ……コムルスキー
アンディ・シームズ……トニー・ローズ
田中浩……………………阿洪



★評

『狙撃』が好評だったんで続いて作られた東宝のアクション物。


1:
つまらん。
銃は『狙撃』に続き、工夫してるけどね。

ヒロイン有村沙織を演じた太地喜和子は、悪くないね。
杉村春子が可愛がっていただけの事はあります。



タグ 加山雄三 岸田森 太地喜和子 杉村春子



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テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

『誰も知らない』

★簡単な紹介

○公開
2004年8月7日

○上映時間
2時間21分

○スタッフ
脚本:是枝裕和
演出:是枝裕和
撮影:山崎裕
美術:磯見俊裕
音楽ゴンチチ
制作:テレビマンユニオン
プロデューサー:是枝裕和

○出演
柳楽優弥(福島明)
北浦愛(福島京子)
木村飛影(福島茂)
清水萌々子(福島ゆき)
韓英恵(水口沙希)
YOU(福島けい子)
串田和美(吉永忠志、大家)
岡元夕紀子(吉永英理子、大家の妻)
平泉成(中延司、コンビニの店長)
加瀬亮(広山潤、コンビニ店員)
タテタカコ(宮嶋さなえ、コンビニの店員)
木村祐一(杉原、タクシーの運転手)
遠藤憲一(京橋、パチンコ屋の店員)
寺島進(少年野球の監督)



★評

1:
“Pain is a fact of life”

実に退屈な映画。
誤解して欲しくないですが、駄作ではありません。
単なる日常生活を描いているからです。

普段の生活なんて、自分の生活を振り返れば分かる通り、波風立たないもんです。
毎日が興奮に満ちた生活なんて、何かしら生命を脅かされている証明ですから、御免蒙りたい。

しかし、苦痛も不幸も人生の中の事実の一つに過ぎないのも、これまた真実で避けられないもの。

そして人間はどんな物事にも慣れるものですから、苦痛にも慣れ、苦痛に満ちた生活にも退屈を感じるようになります。

この映画の中の福島四兄弟姉妹は、徐々に迫るためか、貧困に対し決して感情的になることがありません。
淡々と毎日を過ごして行くのみ。
誰も文句を言いません。
電気を切られても、
「あ、お兄ちゃん、電気が点かない」
で終わり。

貧困、不幸、餓死の恐怖、こんなものも洗濯や歯磨きやお風呂となんら変わりがない人生の一コマにすぎません。

まさに英語の
“Pain is a fact of life”
です。


2:
幼い兄弟が死んだ弟や妹を葬るのは、『火垂るの墓』を初め、つい60年前迄はそれ程珍しくなかった事。
第二次大戦で何人の方が幼い手で妹や弟のために墓を掘ったことか…


3:
「明るさ」と「たくましさ」

DVDのオマケの演出ノートに

>これは登場人物を演じてくれた子供たちの力の追うところが大きいのだが、
この“明るさ”、“たくましさ”が捨てられたこどもの時間と空間を、
ある種の逆ユートピアとして浮上させたように思う。

と是枝監督が書いてますが、正にその通り。

悲惨さをいい意味で完全に消し去っています。
正に”Pain is a fact of life”です。

続けて

>そのことによって、この子供達が単純な犠牲者としてとらえらてることを、
彼ら自身が拒絶するという逆転が起きたのだと思う。
これは全くの予想外の出来事だった。

この「全くの予想外」というのは、ちと怪しい。
半分位は意図していたような気がします。
それがハッキリ分かるのが、家賃を払えなくなった福島兄弟姉妹に水口沙希(韓英恵)が
出会い系サイトでオヤジを捉まえカラオケで一稼ぎするけど、長男明(柳楽優弥)がその金を受け取らない場面。
子供に純真さ、「明るさ」、「たくましさ」以外の何物でもありません。

そしてこの「明るさ」と「たくましさ」は母親福島けい子(YOU)から来ているように思え仕方ありません。
何回も男にフラれ子供を押し付けられても男を求め続けるのもけい子の「たくましさ」。

そして育児を放棄する事もけい子にとっては大した事ではなく、それもけい子の「明るさ」でしょう。
長男明が何とか家事をやってくれてるし、新しい男と何とか巧く行けば子供達を迎えに来ようとしてたのではないでしょうか?
実際には貧困に陥ってたので決して見逃す訳には行きませんが。


4:
地味な死

そして不幸と死は決して賑やかに人の上に降りかかるものではなく、
密やかに、静かに、地味に、他の出来事と同じ様にやって来ます。
だから、末っ子ゆき(清水萌々子)の死の描き方は大変いい。

5:
独立

ゆきを明と埋めに行くのが沙希。
演出ノートを読むと是枝監督はなぜ沙希にしたのか、よく分からなかった様です。
ゆきが震える明の手を抑えるカットを観ると、明が他人に弱さを見せ、他人からの慰めを初めて受け入れたと捉えられます。
自分の弱さを認め他人の力が必要なのも認めたとも、解釈出来ます。
それが母親ではなく、ゆきである事。
親離れ、独立です。
この点は沙希の関しても同様。

深夜にゆきを埋め、夜明けを沙希と迎えた明。
希望への第一歩以外の何物でしょうか?
張藝謀(チャン・イーモウ)の
『至福のとき』(参考→ http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-421.html )

『キープ・クール』(参考→ http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-440.html )
風の終わり方。

後味いい終わり方なのは、このため。


6:
素晴らしい子役達

福島四兄弟姉妹を演じた
柳楽優弥
北浦愛
杉浦飛景
清水萌々子

水口沙希を演じた
韓英恵

全員溜息が出る巧さ。
素晴らしい。


7:
母親けい子を演じたYOUも悪くありません。



タグ 誰も知らない 是枝裕和 YOU 柳楽優弥 北浦愛 杉浦飛景 清水萌々子 韓英恵 ゴンチチ


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テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

『冷たい熱帯魚』

★簡単な紹介

○公開
2011年1月29日

○上映時間
2時間26分

○スタッフ
脚本:園子温、高橋ヨシキ
演出:園子温
撮影:木村信也
照明:尾下栄治
音楽:原田智英
プロデューサー:千葉善紀、木村俊樹

○出演
吹越満(社本信行)
でんでん(村田幸雄)
黒沢あすか(村田愛子)
神楽坂恵(社本妙子)
梶原ひかり(社本美津子)
渡辺哲(筒井高康)


★評

1:
こりゃ、凄いゼ。

血塗れ映画、文字通りの血塗れ映画ですから、万人向けではないし、その点を理解出来る人にだけしか勧められない映画。

2:
ここまで趣味悪く作る徹底ぶりに、園子温監督の決意と覚悟に圧倒されます。

何回か書きましたが、映画やドラマで映像表現で表す表現媒体だと思っていますから、
この手の直接的、説明的とも言える映像は個人的には好みではありません。

しかしここまで直接的に表現すると、ハッキリ言って、見事です。

3:
また、最初から最後迄映画を見入っていたのも、事実です。

殺人、命のやり取りは非常に魅力的だからです。

なぜ犯罪が無くならないか、その答えが仄かに感じられます。
「感じられる」で、「分かる」ではありません。
犯罪、特に殺人には人の心を鷲掴みにする、暗い、魅力が有るのがハッキリ分かる映画です。
『愛と死をみつめて』や『世界の中心で、愛をさけぶ』を同じく生と死を直接扱うからです。

死はそれ位人の心を捉える魅力、力が有るのです。
生と死はコインの裏表ですから、間接的に、月の裏側の様に全く生に触れることなく、生の魅力を伝えていると言ってもいいでしょう。

4:
でんでん演じる村田幸雄は素人善人相手(社本信行)に本音しか言わないから、痛快。
犯罪者の黒い魅力を巧く表す設定。

5:
でんでん
吹越満
渡辺哲
黒沢あすか
皆さん見事に演技してます。

黒沢あすかって、映画版『嫌われ松子の一生』で終盤、中谷美紀(松子)を心配してた親友沢村めぐみを演じた人だね。


6:
東野圭吾の『幻夜』を原理主義的(笑)、根本主義的(笑)、に映画化するとこの映画風になるね。


タグ 冷たい熱帯魚 園子温 でんでん 吹越満 渡辺哲 黒沢あすか 東野圭吾 幻夜


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テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

映画版『テルマエ・ロマエ』

★簡単な紹介

○公開
2012年4月28日

○上映時間
1時間48分

○スタッフ
原作:ヤマザキマリ
演出:武内英樹
脚本:武藤将吾
照明:鈴木敏夫
撮影:川越一成
美術:原田満生
音楽:住友紀人
プロデューサー:稲葉直人、菊地美世志、松崎薫

○出演
阿部寛(ルシウス、古代ローマ帝国の浴場設計技師)
上戸彩(山越真美、漫画家志望)
北村一樹(ケイオニウス、次期ローマ皇帝候補)
市村正親(ハドリアヌス、第14代ローマ皇帝)
宍戸開(アントニヌス、ハドリアヌスの側近)
キムラ緑子(山越由美、真美の母親)
笹野高史(山越修造、真美の父親)
竹内力(館野)


★評

1:
TV放送を観ると…

2:
全然面白くない。
笑いのセンスが合わないから、笑える所が皆無。

お話しの方も、何かなぁ…
大昔のローマ人が現代の日本に来て、お風呂とその環境や習慣に驚き、ローマに真似して作ると言う話は、斬新でいいんですが、
その斬新さを活かしていません。
後半、在り来たりな日本人的発想になり、古代ローマの話になっていません。

当時世界最高の民族だと自負していた民族がそんなに簡単に見たことも聞いたこともない民族の考え方を取り入れるかなぁ?


3:
阿部寛は相変わらずの大雑把な演技。
目立つのは驚いた時の大きな両目。

上戸彩は、意外と良かった。
仕事で巧く行かず、そのため全てにおいて自信が無い頼り無げな雰囲気が良かった。

4:
『のだめ』がいかに優れた作品か、いかに超えるのが難しいか、『のだめ』の監督自身で実証。



タグ ヤマザキマリ 阿部寛 上戸彩


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テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

『劍岳 点の記』

★簡単な紹介

〇公開
2009年6月20日

〇スタッフ
原作:新田次郎
演出:木村大作
脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
撮影:木村大作
音楽監督:池辺晋一郎
プロデューサー:菊池淳夫、長坂勉、角田朝雄、松崎薫、稲葉直人

〇出演者
宮崎あおい
松田龍平
浅野忠信
香川照之


★評

『八甲田山』並のロケ映画と言う事でTV放送を観てみると…

1:
長い。長過ぎます。

2:
地味な仕事を題材にした映画だから地味で退屈になって当然。
盛り上がらないのは殉職者がいないから。「仕事」としては成功しても「物語」としてはかなり苦しい。

3:
山岳ロケを売り物にした映画だと思いますが、音楽を入れ過ぎ。映像で勝負してくると思っていましたから期待ハズレ。



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テーマ : 映画評価
ジャンル : 映画

映画版『タイヨウのうた』

★簡単な紹介

〇公開
2006年6月17日

〇スタッフ
原作:坂東賢治
脚本:坂東賢治
演出:小泉徳宏(ROBOT)
撮影:中山光一
音楽:YUI、椎名KAY太
プロデューサー:榎望、堀部徹、鈴木謙一、守屋圭一郎

〇出演者
YUI
塚本高史
岸谷五朗
麻木久仁子


★評

沢尻エリカ「様」の演技を見たいので山田孝之と共演してる連ドラの『タイヨウのうた』を狙ってます。まずは映画版をTV放送で観ると…

1:
長いなぁ~。「間」じゃなくて「隙間」だらけ。
脚本が悪い。

2:
主演のYUIも苦しい。
台詞の語尾がマズい。語尾の微かな抑揚で台詞に表情が付くんですが、そこが平板、直線的。
喋る時に最後まで集中力が続かない、という感じ。
また、難病で死にそうに見えません。原因は塚本高史に抓られるほっぺた。あのふくよかで健康的なほっぺたはマズいでしょう。少なくとも『セカチュウ』の綾瀬はるかみたいな削げた頬の線がなくちゃねぇ…
歌の方もねぇ、宇多田の影響が強いのか高音が弱い女性の歌手が多く、YUIもその一人。女声の高音は妙なる響きなんですけど…。

3:
XPの恐怖を描いてません。
紫外線、闇、太陽、光、月、夜、等々映画の基本である光で恐怖を表現出来るのになぜ?
XP=Xeroderma Pigmentosum
xero=乾燥した
derma=皮膚病
pigmento=色素の

色素性乾皮症

4:
鎌倉、七里ヶ浜、サーファー、高校生、江ノ電、
ん~、食傷な設定。桑田佳佑、だけじゃなくて『俺たちの朝』、更には『太陽の季節』の影響から未だに脱せず、でしょうか。

5:
棺の中の薫を埋めるヒマワリ。
光と夏の象徴として使っているのでしょう。天国へ行ったら好きなだけ光を浴びろ、好きなだけ屋外へ行け、という事。
しかし花言葉は、
「私の目はあなただけを見つめる」
だからこの使い方は素人っぽい。
夏の花を使えば光と輝く日々を象徴出来ますから、花言葉で選ぶと、例えば、

・朝顔→「愛情、平静」
→天国でも愛されるように、穏やかな日々を送れるように
・ブーゲンビレア→「あなたは魅力に満ちている」
→天国で歌手として成功しろ

こういう使い方をすると最後のラジオの場面に繋がるんです。
また葬儀へ行った事がある方なら分かると思いますが、棺の中に入れる花は菊が普通。
花言葉で花を選ぶ事(=薫の事が大好きだから、一手間掛ける)により遺された人々の薫への深い思いも暗示出来ます。

6:
良いところは、
薫と孝治のキスの場面。踏切ですよ、踏切。橋じゃなくて、踏切。踏切の真ん中。
命懸けの恋に相応しい。
弛んだ映画なので、この場面だけが「ギョッと」する程効果的。この場面はいい。



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テーマ : 映画評価
ジャンル : 映画

映画版『チーム・バチスタの栄光』

★簡単な紹介

〇公開
2008年2月9日

〇スタッフ
原作:海堂尊
脚本:斉藤ひろし、蒔田光治
演出:中村義洋
音楽:佐藤直紀
撮影:佐々木原保志
プロデューサー:佐倉寛二郎、山内章弘

〇出演者
竹内結子
阿部寛


★評

「TV版『仁』その1」で引用したので書きます。

1:
原作を書いた海堂尊は医学で博士号を持つ現役の医師だそうですが、同じ資格を持つロビン・クックが30年前から同じ様な小説を書き続けています。
ですからから個人的には物語自体に新味はなく興奮する内容でもありません。(外科医を主人公にして最も興奮するのは、救急救命室で命を救うために瞬時に判断し秒単位で処置する話)。
映画としては面白いのですが、舞台を病院にした単なる犯人探しで心を捉えるものがありません。
演出も誇張が強過ぎ興醒めな場面が目立ちます。

2:
映画を面白くしているのは主演の二人。
2-1:
竹内結子は『薔薇のない花屋』で心の葛藤を巧く演技しましたが今回のおっとりした「ゆるさ」もいい。
2-2:
阿部寛の演技は相変らず巧いとは言えなんですが目立つ両目とデカい図体で押しが強く傲慢な雰囲気を作っています。
阿部の特徴は幅が広く直立した強力な肩で普段から摂生しているのが分かります。私が観た限りでは阿部は強力な肩を「撓める」事が出来ないのですが、今回の白鳥の様な「力」のある人物だと見事に嵌ります。個人的に好みの演技ではありませんがちょっと気になる不思議な役者。

3:
この映画だけではありませんが(『ガリレオ』等)個性が強い主人公が二人いると、どうしても他の登場人物の描写が弱くなり、作品として物足りなくなります。またこの映画では手術を描写する必要があるため更に人物描写が弱くなります。
つまり主人公一人分、何かを犠牲にする必要があります。医療ミステリーだから医療関係を削る訳にはいかず、削れるものは登場人物しかありません。
『ガリレオ』ではラブコメにして観客の関心を逸らし巧く逃げましたが、あからさまに真似出来るはずもなく、また阿部の演技力不足もありこれは難しい。
主人公二人が魅力的なので次作では工夫してほしい。脚本家に大いに期待しています。



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テーマ : 映画評価
ジャンル : 映画

映画版『どろろ』(妻夫木聡+柴咲コウ)

★簡単な紹介

〇公開
2007年1月27日

〇スタッフ
原作:手塚治虫
脚本:NAKA雅MURA、塩田明彦
演出:塩田明彦
撮影:紫主高秀
音楽:安川午朗、福岡ユタカ
プロデューサー:平野隆

〇出演者
柴咲コウ
妻夫木聡
瑛太
中井貴一
原田芳雄

★評

Amazonのレビューには100件以上あるけどそんなに書いてあげる価値の無い駄作です。

1:
こういう欠点に満ちた作品を「評論家を欣喜雀躍させる作品」と言います。
欠点を一つだけ書くと映像が悪過ぎます。
SF(的)映画は映像を作るのが非常に難しく、映像の奇抜さや美しさで観客の関心を捉えるのはほぼ不可能。絵画の天才が多過ぎるからです。欧米人には思いもつかないブっ飛んだ構図の北斎や広重の浮世絵、発想の源を想像することさえ出来ないダリの絵、その他諸々。こういう絵を知ってると「普通」の映像では驚きません。自分の実力を知らないと思わせる映画人が多過ぎます。
傑作と言われる「2001年宇宙の旅」。その中に現われるモノリスでさえアルトドルファーの「アレクサンダー大王のイッソスの戦い」(1529年)の宙に浮かぶ額のパクリだと私は思っています。
ましてや妖怪魔物が跳梁跋扈する世界となるとヒエロニムス・ボッスの数々の絵という強敵があり、まず凌駕するのは不可能。
どろろ」の制作陣はこういう現実をわきまえてないとしか思えず、映像もCGも観るべき価値皆無。更に悪いのは湿度と太陽の高度が違うニュージーランドのロケで、他の場面との光と色が完全に違い違和感が大き過ぎます。

2:
だが演技陣は悪くありません。
2-1:
まず妻夫木は額と首筋がいい。百鬼丸は身体的には人間未満だが心は人間。その心の人間らしさを「物語る」のが広い額。自分の容貌や存在理由を悩むフランケンシュタインの広い額に通じます。
弱々しい首筋は強力な戦闘力を持ちながらも親の愛情を求める人間的な「弱さ」を「物語ってる」。
外見でこれだけ百鬼丸を表せるから文句無。
2-2:
柴咲コウは少年らしさを十分表しています。問題は演技ではなく身長であり、どろろを原作通り少年に設定にした点。黒澤明の「乱」での狂阿彌(道化)の様な設定の方が良かったのではないかな?

3:
私の様に柴咲の演技を観たい等目的が無い限り観る価値無。



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テーマ : 映画評価
ジャンル : 映画

『たそがれ清兵衛』

★簡単な紹介

〇公開
2002年11月2日

〇スタッフ
原作:藤沢周平
脚本:山田洋次、朝間義隆
演出:山田洋次
音楽:冨田勲
プロデューサー:大谷信義(松竹)、荻原敏雄(日本TV)、岡素之(住友商事)、宮川智雄(博報堂)、菅徹夫(日本出版販売)、石川富康(衛星劇場)

〇出演者
真田広之
宮沢りえ
田中泯


★評

1:
自然と添い寝する日本、
武士道に根差した生き方、
この二つが大変美しい映画。

2:映像
2-1:驚きの映像。
セットとロケ地が美しく欠点がありません(→よくある「隙が無い)という事)。現在の日本でもこれ程美しい映像を撮れるとは…(溜息)。
撮ろうとすれば自然と添い寝していた頃の日本の美しさを今でも撮れることを山田洋次は見事に実証しました。
素晴らしい。
黒澤明の白黒侍映画と同じ位美しい。当時黒澤がカラーで撮ればこの映画と同じ様な映像になったのでしょう。
セットとロケ地がこの上なく美しい。カラーを活かせ切れなかった黒澤明の『乱』と『影武者』より美しい。
2-2:
黒澤監督の白黒侍映画は、
1,白黒の映像
2,日本の美
3,侍映画
の頂点の一つ。美しさを作り出したのは二科展に二回入選した黒澤の絵心に間違いありません。
美しさを感じる心と繊細であり清濁併せ呑む五感がある芸術家でなければ映画でも美しい作品を作れません。寅さん映画という外見をしていながらも芸術家の心を持つ事を山田洋次はこの映画で示し驚かせてくれました(^_^)v。
『椿三十郎』のリメイクを作った森田芳光とは根本的に違います。
2-3:
また映像は全体的に仄かに橙色を掛け、
2-3-1:
たそがれ清兵衛』の夕方の「たそがれ」を表わし、
2-3-2:
また夕方は一日の終わりですから一つの「時」の終わり、つまり幕末も表わしています。

3:
主人公井口清兵衛と朋江の立ち居振る舞いと行動の美しさは武士道の賜物。信義、礼儀、潔白、質素、倹約、愛情、忠誠、名誉、等の言葉が二人の指針になっているのがよく分かります。

4:
冨田勲の音楽も美しい。『新日本紀行』のテーマ曲を作った腕前を発揮しました。
黒澤映画の音楽は映像と合っていますが、映像と比べると見劣りしてます。やはり画家だから映像で語らせようとしているのが分かります。
この点も『たそがれ清兵衛』を観ると改めて分かり新鮮な驚きでした。

5:役者
真田、宮沢、田中泯を初めに全員文句無し。
5-1:
清兵衛の娘以登の晩年を演じた岸惠子の気品が素晴らしい。武士道の美点によって育てられるとこうなるのだろう、と言う説得力があります。
岸のおかげで清兵衛の清廉さが最後迄途切れず素晴らしい終わり方になっています。
5-2:
田中泯は雰囲気や表情は文句無しですが喋りが少し苦しい。
(→でも『メゾン・ド・ヒミコ』での「あなたが好きよ」を聞けば進歩したのが分かります。並の演技者ではありません。)

6:演出
終盤、上意討ちの場面、余吾が清兵衛と語ってる間は影から出ません。余吾が光の中に入るのは抜刀してから。刀と殺人でしか語る事が出来ない侍の悲哀と無駄。殺陣の見栄えの良さだけの場面ではありません。余吾の「これからは侍の時代ではない」を強調しています。
素晴らしい。

7:欠点
7-1:但し目立つ欠点が一つあります。
物語の終盤、余吾善右衛門の屋敷内が舞台になりますが木の柱や梁が不自然に灰色過ぎます。新築ではなく歳月の流れを表わすためなのは明らかですが灰色が目立ち過ぎています。
桂離宮の解体修理の時の様に100年以上経った家屋の埃を集め木材に刷り込めば歳月の流れを再現出来たのではないでしょうか?
この辺までに予算を使えないのが現在の日本映画の限界でしょう。また白黒なら照明を工夫すれば巧く誤魔化せそうな気もします。黒澤の白黒映画も実際にはこれ位の物だったのかもしれません。
7-2:
もう一つの欠点は山田洋次が30年前に撮らなかった事。30年前にこの映画が撮られたら黒澤の『影武者』と『乱』の映像は全く違ったものになったかもしれません。

8:解釈
清兵衛の小太刀流と言えば宮本武蔵に敗れる京都の吉岡清十郎。吉岡流は京都で発展し、室内戦も想定した市街戦に対応した流派。
一方、余吾善右衛門の一刀流は柳生新陰流等と同じく合戦のための流派。
幕末という時代設定を考えれば勝者は明らか。勝ったとしてもその後も予想が付きます。
(余吾が抜刀した後チラッと梁を見ますが、こいつになら切られてもいいと暗示?)

9:まとめ
黒澤明を継ぐ佳作、素晴らしい。



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Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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